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がん遺伝子治療のご紹介
一般社団法人遺伝子幹細胞等融合臨床応用研究機構
http://www.gene-stemcell.or.jp
株式会社Gene and Stem Research
http://www.gene-s-r.jp
1.がん細胞とは
~ 正常細胞とがん細胞の違い ~
正常な細胞が何らかの原因(外的要因やストレス等)によって変異し、圧倒的な速度で増殖して、
周囲の組織に悪影響を及ぼすようになったものが「がん細胞」です。
~ がん細胞の6つの特徴 ~
がん細胞には主に右図の6つの特性があります。
分かり易い例えとして、以下のような「故障して暴走した車」に例えられることが多々あります。
1.自己増殖シグナル
「がん遺伝子」の作用で
自己増殖のシグナルが活性化
⇒ エンジンがかかる
2.無限増殖
遺伝子異常があっても分裂が
止まらず、無限に増殖
⇒ アクセルを踏込む
3.血管新生
多くの栄養を求めて、
新たな血管がつくられる
⇒ ガソリン補給
5.増殖停止命令回避
遺伝情報の転写ミスなどの際
機能する分裂停止命令が働かない
⇒ ブレーキ故障
4.細胞死回避
本来ある抑制機能が働かず
遺伝子異常があっても死滅しない
⇒ ブレーキが効かない
6.浸潤・転移
体中のどの器官でも浸潤・増殖し、
新たな栄養を求めて転移
⇒ 暴走&事故
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2.がん発生とがん抑制遺伝子
~ 発がんのプロセス ~
① 生活習慣や環境・加齢などが
本来、細胞の遺伝子が傷つくと自己修復機能に
より正常な細胞に修復されます。また、損傷がは
げしい場合は老化(一種の休眠状態)やアポトー
シス(細胞死)などにより細胞のがん化を防ぎます。
このような正常機能が働かず、右図のように遺伝
子が変異した増殖することでがんとなります。
~ がん抑制遺伝子とは ~
本来、私たちの体には細胞のがん化を食い止め
たり、がん化した細胞を死滅させる遺伝子が備
わっています。その遺伝子を「がん抑制遺伝子」と
いいます。
原因で遺伝子異常が発生
がん細胞誕生
② がん遺伝子が活性化
がん細胞の分裂・増殖
③ がん抑制遺伝子が機能しない状態
分裂の活性化
④ 老化・細胞死が起こらず、無限に
分裂を繰り返す
がん細胞の不死化
がん抑制遺伝子の働きは、細胞をアポトーシスに
導いたり、正常な細胞増殖周期に調整する働きを
もつものが多くあります。
主ながん抑制遺伝子としては、「p53」,「p16」,
「PTEN」などが存在します。
⑤ 血管を通して、がん細胞が別の
臓器に転移
がん細胞の増殖・転移
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3.がん遺伝子治療とは
がん細胞とは細胞が変異して、本来の機能が失われた状態です。
「がん遺伝子治療」は、変異した遺伝子を正常にするタンパクを投与して正常化させる治療です。
この遺伝子を正常にするタンパクをベクターと呼ばれる運び屋を介して点滴などで体内に投与します。
がん遺伝子治療の3つのポイント
① なにを持ち込んで治療するのか?
体内に持ち込ませるものは、がん抑制遺伝子の「PTE
N」と「p16」です。それに加え、がんで大量にどの時期に
も作られるCDC6をRNA干渉により細胞死をおこさせる
ようにしています。
① なにを持ち込んで治療するのか?
② どうやって細胞内に運ぶのか?
③ どのように発現させるのか?
主なベクターの種類と特徴
名称
染色体への
組込み
分裂細胞へ
の導入
非分裂細胞
への導入
遺伝子
発現期間
アデノウイルス
ベクター
低頻度
○
○
一過性
レンチウイルス
ベクター
○
○
○
長期
レトロウイルス
ベクター
○
○
×
長期
プラスミド
ベクター
低頻度
△
△
一過性
② どうやって細胞内に運ぶのか?
細胞内にはベクターと呼ばれる運び屋を使用して運びま
す。ベクターにも様々な種類がありますが、最も効果的
な特性をもつレンチウイルス(病原性を外しているので安
全です)を使用しています。これにより長期発現期間が
持てどの時期にも導入できます。また核内に入り重要な
染色体への組み込みも実現できます。
③ どのように発現させるか?
この治療タンパクは多くの細胞に入りますが、テロメラー
ゼ逆転写酵素を使いがん細胞で半特異的に発現させる
ようにしています。
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3.がん遺伝子治療とは
~ がん遺伝子治療のメカニズム ~
がん遺伝子治療は、がん抑制遺伝子である「PTEN」と「p16」、「RNA干渉によるCDC6のノッ
クダウン」などを用いることで、高い治療効果を実現しています。
増殖シグナル
PTEN
効果1 「PTEN」
細胞は「増殖シグナル」を受けて増殖・分裂します。
がん抑制遺伝子「PTEN」は増殖シグナルを抑制する働きをします。
効果3 「RNA干渉によるCDC6のノックダウン」
CDC6はがん細胞が無限増殖するために、どの分裂期でも大量発生してい
るタンパクです。 CDC6sh(ショートヘアピン)を用いたRNA干渉という方法
で、CDC6の生産を抑制します。その結果、がん細胞内にCDC6がなくなり、
細胞増殖が停止し、がん細胞の老化やアポトーシス(細胞自然死)へ誘
導します。
効果4 「P53」ゲノムの守護神
P16
効果2 「p16」
細胞分裂は上図のような周期で行われ、大きく間期
と分裂期に分かれます。がん抑制遺伝子「p16」は
分裂期への移行にブレーキを掛けることで細胞分裂
を抑制します。
1.2.3で P53.RBの抑制遺伝子の機序を回復させてP53投与します。
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3.がん遺伝子治療とは
~ がん遺伝子治療の特徴 ~
① 副作用が少ない
発熱・血圧低下が起こりますが、解熱剤やごく少量のステロイドを投与することで、副作用をほ
ぼ抑えることができます。
② 正常細胞に影響を与えない
導入するがん抑制遺伝子は、正常な細胞にもともと備わっていますので、投与することで正常
細胞に影響を与えることはありません。
③ 抗がん剤や放射線の効果を増強させる
抗がん剤や放射線はがん細胞の分裂期に作用して遺伝子情報を壊して細胞死に追い込みま
す。この仕組みはがん遺伝子治療と同じですので、がん遺伝子治療は抗がん剤や放射線の
効果を増加させたり その使用量を減らしたりすることができます。
④ 細胞レベルでもがんに対処
点滴投与するため治療タンパクは血管やリンパ管より全身すべてに広がります(マイクロ転移部
も)。転移が懸念される術後の「再発予防」にも有効です。
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3.がん遺伝子治療とは
~ がん遺伝子治療の特徴 (つづき)~
⑤ 前がん状態にも対処
まだがんを発症していない場合でも、がん抑制遺伝子が正常に働いていない「前がん状態」の
細胞を自滅に追い込むことで、がんの発現を予防できます。
⑥ 耐性とならない
抗がん剤は繰り返し使用することで耐性ができて、同じ薬が効かなくなることがあります。がん
遺伝子治療は抗がん剤のように細胞のレセプターを介さず、直接細胞に入り作用するため、耐
性ができることはありません。
⑦ 治療適応範囲が広い
がん予防、他のがん治療との併用・がん再発予防や末期がんの延命(副作用少なく、がん腫
の縮小や増大軽減)など、様々なケースに対応が可能です。
⑧ がんの種類を問わない
全てのがんは遺伝子異常から起こり、がん抑制遺伝子の作用が弱まっている状態です。発生
場所が異なっても、遺伝子情報や機序は同じですので、がんの種類は問いません。
⑨点滴投与なので場所を選ばない
通常、点滴投与による治療ですので、特別な施設や装置を必要としません。
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4.標準3大治療とがん遺伝子治療
がんの治療は、標準的に3大治療と呼ばれる「手術」「化学療法(抗がん剤)」「放射線治療」がや
はり有効です。しかし、標準治療にもメリット・デメリットがあります。標準治療と「がん遺伝子治療」
を併用することで、相乗効果により効果増強や標準治療のデメリットを補う効果が期待できます。
~ 手術+がん遺伝子治療の相乗効果 ~
がん遺伝子治療で手術のデメリットをフォロー
手術はがん細胞を残さないのが目的で取りきれば(残存なし)確実に根治となります。周囲浸潤・微
小(マイクロ)転移・広範囲リンパ節転移・取り残し・手技での散布などでがん細胞が残存すると再発
の原因となります。遺伝子治療はこれらの残存したがん細胞に対しても高い効果が期待できます。
遺伝子治療は、これらの
残存したがん細胞に対し
ても治療効果が期待で
きます。
マイクロ
転移
がん
細胞
手術で
がんを切除
がん
細胞
手術の
取残し
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4.標準3大治療とがん遺伝子治療
~ 化学療法/放射線治療+がん遺伝子治療の相乗効果 ~
がん遺伝子治療で抗がん剤や放射線治療のデメリットをフォロー
抗がん剤は、がん細胞がいったん耐性を持ってしまうと効果を発揮しなくなります。また、ストレスに強いがん幹
細胞などには抗がん剤や放射線治療が有効に働かない場合があります。
放射線治療は照射野以外のマイクロ転移などには効果がありません。また、同じ部位に2度照射はできません。
がん遺伝子治療は標準治療の効果増大や副作用を軽減するだけではなく、このようなストレスに強いがん細胞
やマイクロ転移したがん細胞にも有効です。
遺伝子治療で用いる治療タン
パクは耐性とならないので、
抗がん剤が効きにくくなったが
んにも有効です。
薬剤耐性
で効果なし
手術のデメリットと同様、放射線
の照射野外の残存したがん細
胞に対しても治療効果が期待
できます。
がん
細胞
照射野以外
効果なし
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5.がん遺伝子治療の流れ
~ 事前にご用意いただくもの ~
遺伝子治療を受けて頂くためには、現在治療受けている主治医からの診療情報提供書を事前
にご提示していただく必要があります。
ご提示いただく診療情報には以下の内容を必ずご提示ください。
1.これまでの治療経緯がわかるもの
2.血液検査データ
3.画像検査データ
~ 基本的な治療内容 ~
担当の専門医にて患者さんの症状や治療環境にあった具体的な治療計画をご提示いたしま
す。その後、治療開始前の検査(血液検査など)を行います。
治療は基本的に点滴投与となります。治療法に個人差はありますが、約2~3ヶ月間に計6回
投与を行い、これを1クールとします。1クール終了後に腫瘍の縮小率や腫瘍マーカーの低下
などで効果を判定します。
※1クール目の1~2回目は、患者様のアレルギー反応などを診るために、通常の半分の量で
治療を行いますので、2クール目以降は1クール5回となります。
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