2 研究研究活動報告書中心市街地活性化におけるイノベーションを考える ∼西広島駅周辺地域を事例に research ひろみら研究領域人間環境学部教授三浦浩之専門分野：都市・地域デザイン研究概要中心市街地を活性化するためには、これに関わる主体である市町村、地域住民、民間事業者、 London 市内でも若者が自ら生産・製造・取 NPO、地域金融機関、地域交通事業者等が、まず地域ごとに「活性化とは何か、何を目指しているり寄せした品々を売るチャレンジングなお店を出のか」等、目指すべき中心市街地の在り方（基本理念）を共有していくことが必要である。その上しているBroadway Market（商店＋露店）、バで、中心市街地活性化協議会の場等を通じて、各主体が中心市街地活性化について濃密な議論をスターミナルを有するGolders Green 駅の周辺交わし、適切な役割分担の下で、各主体が個別の中心市街地活性化事業に主体的に取り組んでいの通りに沿った商店街、いずれも人々で賑わってくことである。いた。これらを進めていくには、この「目指すべき中心市街地の在り方（基本理念）」を、従来にはない新いずれにも共通するのは、高齢者を中心にしい視座で共有化していくことが重要だと言える。この新しい視座として、イギリスの商店街で見られ人々の過ごしやすい公共空間を持っていること、商店主のこだわりが商品に表現されていること、そしるセンス・オブ・プレース（Sense of Place；街の愛着の価値）を考える。地域への愛着が地域て、そこで出会う人々やお店の人々と語らい、陳列してあるものを見て回ることで、楽しい時間を過ごのアイデンティティにつながり、まちづくりへの参加を促しているのである。せることであった。これらがセンチメンタル価値を形成しているのだと理解した。本研究では西広島駅周辺地域を取り上げ、以下の研究を実施した。 1. イギリスにおける中心市街地活性化事業と郊外型開発の両立を図れた事例の調査 2. 西広島駅の都市計画の整理とこれによる将来像の把握 3. 西広島駅周辺地域の現状調査分析（SWOT 分析、センチメンタル価値調査） 2. 西広島駅の都市計画の整理とこれによる将来像の把握広島市の担当部局より当該資料の入手と、今後の整備計画についての説明を受けた。 3. 西広島駅周辺地域の現状調査分析（SWOT 分析、センチメンタル価値調査）西広島駅周辺にぎわいづくり委員会との毎月の会合、周辺地域の実地調査、関連資料分析より、 4. 西広島駅周辺地域の住民、駅乗降客のセンス・オブ・プレースのヒアリング調査 SWOT 分析を行った。また、大規模 SC アルパーク利用者と対比することで、当該地域のセンチメン 5. 西広島駅周辺地域のセンチメンタル価値を高める手法の検討タル価値の存在を分析した。西広島駅周辺地域では、JR 西広島駅南北自由通路の整備や駅舎のバリアフリー化、北口への駅前 4. 西広島駅周辺地域の住民、駅乗降客のセンス・オブ・プレースのヒアリング調査広場・アクセス道路の整備が予定されており、アストラムラインの延伸も漸く進もうとしている。一方、地域住民、駅乗降客が西広島駅周辺の商店街についてどのように捉えているのかを、アンケート調駅前商店街に人々が繰り出して街道のまちとして発展してきた風情を楽しんだり、地元商店街で買い査により分析した。物や飲食を楽しみながら過ごしたりする状況にはなっていない。 5. 西広島駅周辺地域のセンチメンタル価値を高める手法の検討成果要旨 1. イギリスにおける中心市街地活性化事業と郊外型開発の両立を図れた事例の調査 London 北部の工業都市 Sheﬃeld では中心部よりトラムで約 15 分程度の所に大規模 SC 後背地である住宅団地の高齢化の進展を踏まえ、これら人々にとって、コミュニケーション（店主と来店者、来店者同士）しながら買い物等の行動が行える場を生み出していくことが必要であると考えた。また、各店主のお店や来店者に対する想いを伝えることの大切さを、全国的に広がりつつある商店街ポスター展より実感した。 Meadowhall（店舗数 280）がオープンしたことで、中心部の Market は一時的には衰退したものの、新たに中心部にデパートやスーパーマーケットをコアとする商業エリアが整備され、そこに Moor Market として再生して活況を呈していた。また、London 東部の郊外都市 Dartford では教会を中心に発展してきた街の様相をパネル展示して歴史性を誇りに思っている商店街が健在で、隣接するスーパーマーケットに空き店舗姿が目立つことと対照的であった。 29 ひろみらプロジェクト 2014 報告書地域の未来を創る 3 つの取り組み／研究 30