保健室だより8月(平成27年度第5号)~飲酒について

保健室だより 8月
2015年8月 第5号
発行:札幌大谷大学・
札幌大谷大学短期大学部
保健室
飲酒について
大学生になると、20歳を過ぎている人も多いので、お酒を飲む機会もあるかもし
れません。また、まだ未成年の人もたくさんいます。未成年者は絶対に飲酒はしては
いけません。20 歳を超えていても、その場の雰囲気や気分で、大量飲酒や一気飲み
は絶対にしてはいけません。夏休みは特に、心が解放的になっている分、注意が必要
です。飲み方を間違えると自分の、そして相手の命にかかわります。一人ひとりが飲
酒に対しての正しい知識と、流されない強い意志を持っておくことが大切です。
~飲酒と体の基礎知識 ①酔いってなに?~
アルコールには、脳の中枢神経のはたらきを抑える性質があります。理性をつか
さどる大脳新皮質の活動が鈍くなり、そのあいだ、大脳辺縁系の本能的、原始的な
はたらきが活性化します。こうして興奮状態となるのが「酔い」の初期状態です。
お酒を飲むと開放感を感じ、ストレス解消効果が得られるのはそのためです。
しかし、さらに飲み続けると、血液中のアルコール量が増え、新皮質にとどまら
ず、辺縁系、小脳など、他の部分もマヒしはじめ、酩酊、泥酔状態になっていきま
す。そして呼吸をつかさどる延髄にまでマヒがひろがると、最悪の場合、死にい
たります。
爽快期
ほろ酔い期
酩酊期
泥酔期
昏睡期
・さわやかな
・ほろ酔い
・気がおおきくなる ・まともに立てない ・動かしても
気分になる
気分になる ・怒りっぽくなる
・言語がめちゃ
起きない
・陽気になる
・脈が速くなる ・千鳥足になる
くちゃになる
・死亡
~飲酒と体の基礎知識 ②お酒が飲める人・飲めない人~
アルコールの「適量」というものは、人によって違いがあるものです。それは、体
内のアルコール分解能力に関連しています。一説には、現代日本人において遺伝的に
「飲めない人」が1 割、「少し飲める人」が4 割、「飲める人」が5 割とも言われ
ています。ですから、「あまり飲めない人」は少数派ではないことがわかります。
お酒が飲めない人は、少量のお酒を飲んだだけでも、アセトアルデヒドという物質が
処理されず残ってしまうため、顔が紅潮し、吐き気や頭痛が起こってしまうのです。
お酒が飲める人でも大量に飲めば、同じメカニズムで二日酔いになります。
未成年者の飲酒が良くない理由
1.法律で禁止されている
日本では「未成年者飲酒禁止法」によって、20歳未満の
飲酒が禁じられています。
2.脳の成長・発達への障害が大きい
10代から飲酒を続けている人達のなかには、すでに20代で
脳の萎縮が始まっている例がみられます。
発育途上の脳細胞は、より強くアルコールの影響を受けやすいからです。
3.短期間でアルコール依存になる危険性が高まる
大人の場合、大量飲酒を20
年以上続けるとアルコール依
存症になる危険性が高まると
言われていますが、未成年者
の場合は、数ヶ月から2年と
いう短期間でも発症すること
があります。大人にくらべて
アルコール依存が、より早期
に形成されるというデータが
あります。
4.身体の成長を妨げて、性ホルモンのバランスを崩すことがある
アルコールが二次性徴に必要な性ホルモンに悪影響を及ぼし、 男性性器の発
育を妨げる危険があります。また、女性の場合には、生理不順になり、無月経に
なることもあります。
5.肝臓をはじめとする臓器に障害を起こす危険性が高まる
アルコールは、肝臓で分解されてアセトアルデヒドという物質になりますが、
これは毒性が強く、十分に分解されずに身体の中に残ると、全身に悪影響を及ぼ
します。未成年者は、このアセトアルデヒドを分解して無害にするために必要な
酵素の働きが弱い ため、大人よりもこの有害
な状態で長く身体の中に留まってしまいます。
そのため、全身の臓器に悪影響を及ぼします。