豊南小学校 1 6学年 理科 「水溶液の性質」 ねらいと方法 (1) 実践のねらい 本学級は、男子15名女子16名の合計31名の児童がいる。今年度は最高学年として、学校をより よくするために低学年の見本となるような行動を意識して生活を送っている。授業では、5年生のとき に比べて多くの子が発言するようになった。しかし、自分の考えを問われる発問については発言する子 が固定されてしまっている。理科の学習においても、その傾向が顕著である。実験や観察については意 欲的に取り組めるが、考察に対して苦手意識をもっている子が多く、表面的な理解に留まってしまうこ とが多い。そこで、本単元では、話し合い活動を充実させ、身近な自然事象についての理解を深めたい と考えた。 (2) 実践の方法 話し合い活動を充実させるための手立てとして、本単元では話し合いの中で、子どもが「あれ?」と 立ち止まるような実験結果を教師が出したり、子供の対立意見を取り上げたりする「ゆさぶり」を取り 入れることとした。個人実験の結果を全体が共有して正しい結論に達するために、実験の様子を写した 写真を大型テレビにて提示したり、実験で使った実物を OHC で拡大して提示したりする。 2 実践 学校訪問では、『塩酸にアルミニウムが本当にとけたのか』を課題にして、自分たちの実験結果を持 ち寄り、結論を導く授業を行った。前時までに、子どもたちは課題を解決するための方法を自分たちで 考え、計画をもとに一人一実験を行い、自分なりの結論を出していた。子どもたちの多くは、実験結果 をもとに「塩酸にアルミニウムは溶けた」と結論を出していたが、 “反応前と反応後の塩酸の重さを 量る”方法をした子たちは、食塩を溶かしたときとの実験結果との違いから「よくわからない」 「溶け ていない」と記述していた。そこで、これらの対立を取り上げ、どちらが正しいのかを議論させた。子 どもたちは、塩酸の重さが減った理由について、塩酸にアルミニウムを入れたときに出てきたあわ(水 素)が原因であると考え、やはり「塩酸にアルミニウムは溶けた」と結論付けた。また、子どもたちは 実験をしていく中で、蒸発させる出てくる“白いもの”が何か疑問に持っていた。そこで、「白いもの は何かな?」と投げかけると、子どもたちの多くは5年生での学習を思い出し、 「アルミニウム」と答 えた。さらに「塩酸の塩」 、「塩酸とアルミニウムが混じったもの」と答えた子もいた。そこで、 “白い ものを塩酸に入れる”演示実験を行った。白いものがアルミニウムであるならばあわが出るはずと子ど もたちは考えていたが、結果は予想外の変化なし。 「この実験を見て何か気づいたことは?」と問いか けると、 「アルミニウムを入れたときと違ってあわが立たない」との発言があった。そこで、 「なぜあわ が立たなかったの?」と問いかけると、 「白い物はアルミニウムじゃないから」 「塩酸は塩化水素が溶け た水溶液(前時に疑問が出たときに説明済み)で、水とは違うから、食塩を溶かしたときとは違う」な どの発言があった。そこで、モデル図を用いて、塩酸にアルミニウムを溶かしたときと水に食塩を溶か したとき、さらにそれらを蒸発させたときの仕組みを順番に説明した。塩酸にアルミニウムを溶かした ときに水素が出て行ったこと、蒸発させたときに水がなくなったことから、最後、子どもたちは“白い もの”が“塩化アルミニウム”であることを自分たちで発見することができた。さらに、塩化“アルミ ニウム”であることから、 「塩酸にアルミニウムが溶けた」ことを再度確認することができた。 資料 活用したモデル図 資料「塩酸にアルミニウムが本当にとけたのか」板書 3成果と今後の課題 本実践を通して感じたことは、話し合いの中に子どもたちの思考を「ゆさぶる」場面を設定すること は、より深い理解を促すために有効であるということだ。また、子どもたちの思考を「ゆさぶる」ため には、子どもたちの考えを事前に教師が把握しておく必要があるということである。そうしないと、 「ゆ さぶり」が的外れなものになってしまう。その意味でも、以前から本校が行っている板書座席表が有効 であると実感した。今後も、これらの手立てを様々な場面で活用していきたいと思う。 - 49 -
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