展望 JAの進むべき道 自己改革の実践で国民の理解につなげよう 平成27年がまもなく終わろうとし 転換期と捉えることが必要ではない ているが、JAグループにとって、 か。後ろを振り返り、反省と憤りを まさに激動の1 年であった。 抱えたままでは、日本国民・消費者 年明けから始まった農協法改正を からいずれ見捨てられてしまうので めぐる大激論も、結果的には①組合 はないかと危惧する。 の事業運営原則の明確化、②理事等 10月15日の第27回JA全国大会 の構成の見直し、③組合の組織変更 で、われわれは「創造的自己改革へ 規定の創設、④中央会制度の廃止、 ⑤監査機構の外出し=監査法人化 太田 実 (JA全中常務理事) の挑戦」と題する大会議案を満場一 致で決議した。 等々、60年ぶりの改正法案としてまとめら その中で、われわれJAグループは「農業 れ、8 月28日に可決成立、 9 月 4 日に公布さ 者の所得増大」 「農業生産の拡大」 「地域の活 れた。 性化」を基本目標とし、組合員との徹底的な また、環太平洋連携協定(TPP)について 話し合いを通じて、自己改革の取り組み施策 も、10月 5 日に大筋合意に至り、重要 5 品目 を策定することとしている。全国のJAで、 も国内農業に大きな影響を与える決着内容と 自己改革の取り組み施策の検討が行われてい なったほか、そのほかの農水産物は軒並み関 ることであろうが、それを内外に示し、広く 税撤廃という、まさに国内生産基盤に激震を 国民から理解を得、さらに、日本農業を共に 与える内容が明らかになっている。 支えるパートナーとなってもらうためにも、 一連の決着を見るにつけ、何が国益にか 取り組み施策をJAの中期計画と単年度事業 なっているのか、日本の農業の成長に何の効 計画に反映させ、数値目標やスケジュール等 果があるのか、まさに国民を巻き込んだ議論 を明らかにした自己改革工程表を作成してい になっていないことは明らかである。 くことが必須の取り組みである。 しかしそれでも、われわれは前を向いて進 5 年後には、准組合員の利用規制の在り方 んでいかなければならない。JA組織の枠組 について、再び議論となろうが、われわれが みが大きく変わり、国内農業の生産基盤が大 実践すべきことをしっかり実践していれば、 きく揺らいでいる今こそ、新しい枠組みを検 何ら恐れることはないものと信じている。 討し、日本農業の新しい姿を模索する大きな 2015/12 月刊 JA 17
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