3-4. エコ建築の基準を明確に~「ポートフィリップ」

ポートフィリップ
エコ建築の基準を明確に
∼「持続可能なデザインの手引き」と「採点表」の作成∼
都 市 名
ポートフィリップ
人 口 81,000人
面 積 20km2
目
的
より環境にやさしく持続可能な住宅建設を促進すること
期
間
2002年11月より現在まで、手引きと採点表の作成と適用対象建物の拡大、およびそ
れらの活用事業を実施中。
事業内容
ポートフィリップ市は、より環境にやさしく持続可能な住宅建設促進政策を強化するた
めに、海外の事例を参考に「持続可能なデザインの採点表」と採点を行うための「手引
き」を作成した。これによって、持続可能性を加味した住宅を建設するためには、どの
ような点を考慮しなければならないかが、個人でもわかるようになった。
また、建築許可申請の際にはこの採点表の提出を求めるようにした。さらに2001年か
らは、市内の建物を対象とした「デザイン及び開発賞」の中に『持続可能な発展への貢
献』部門を新設し、優秀な住宅を表彰している。
採点表の内容
持続可能な住宅のデザインかどうかを評価する方法は、以下の通りである。
① 住宅分類
住宅は以下の3タイプに分類されている。
>タイプⅠ 一戸建
>タイプⅡ アパートなど
>タイプⅢ 50㎡以上の増築
② 採点表への記入
以下の2通りがある:
>自己評価:「持続可能なデザインの手引き」に従って、必要項目にデータを記入
して、採点する。
第3部 オーストラリア > 61
>基準評価:「持続可能なデザインの手引き」に書かれている各項目の基準ランク
のどれに当てはまるかをチェックし、どのような持続可能性のランクにあるかを
採点する。
③ 採点分野と項目
環境に影響を与える5分野と任意の1分野(1戸建住宅の場合)について、チェッ
ク項目を設定している。
1.エネルギー分野:エネルギー効率が良いデザインとは、建物のエネルギー消費を
最小限にする建築的、工業技術的なデザインである。
1-1 エネルギー消費評価
これには、専門の資格を持った「公認エネルギー監査人」
による、ソフトウェアを使ったエネルギー消費評価が必
要である。監査結果は、星の獲得数により表す。150∼
300豪ドルの費用がかかるため、市は100豪ドルを補
助している。
1-2 暖房システム
居住人数、床面積、部屋数、暖房システムによるエネル
ギー消費
1-3 温水装置
温水装置のエネルギー消費
1-4 洗濯物
洗濯物の乾燥方法による採点
2.水分野:シャワーや風呂に節水効果がある器具を使用しているかをチェックする。
3.雨水分野
3-1 貯留と再利用
雨水の貯留とトイレの水への再利用のチェック
3-2 排水管
デザインや排水調整
3-3 浸透面積
浸透面積の拡大
4.建築資材分野:再利用を進め、建物完成後に不要になる廃棄物を最小限にする。
5.交通分野:車の利用を減らすことが推奨されるので、自転車置き場が採点される。
6.(任意分野)
卓越した環境・持続可能性分野:以下の各項目で基準を上回るものに加点する。
62 > 第3部 オーストラリア
6-1 エネルギー
再生可能エネルギーの利用や、グリーン電力、太陽光の
最大限利用、効率の良い照明技術利用
6-2 水サイクル
効率的な水利用のための敷地のデザインや排水、水の再
利用やリサイクルシステム、廃水処理
6-3 生物多様性
屋根や玄関の緑化、土地原産の植木
6-4 資材・室内環境
持続可能性に配慮した材木、リサイクル材の利用、化学
物質の利用削減等
6-5 廃棄物
事前の建築廃材最小化計画の策定等
6-6 交通
公共交通機関からの距離が400m以内
ポートフィリップ
事 業 費
そ の 他
詳しい情報を
知りたい方は
「持続可能なデザインの手引き」と「採点表」作成費として8,000豪ドル
2005年6月までに、商業ビルや工場を対象とした指針も作成する予定である。
>http://www.portphillip.vic.gov.au/sustainable_design_scorecard.html
ポートフィリップ市ウェブサイトの「持続可能なデザイン指針」に関するページ
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