「生きがいのある仕事のために」 校長 米森美智夫 皆さんは「エイブ

「生きがいのある仕事のために」
校長 米森美智夫
皆さんは「エイブ・リンカーン」を知っていますか。奴隷解放宣言を出した歴史に残る
偉大なアメリカ合衆国大統領です。貧しい農夫の子に生まれながらも独学で勉強し、数々
の苦難を乗り越えてついに大統領になります。奴隷制度の賛否を巡って南北戦争が起こり
ますが、北軍を勝利に導き南部の奴隷解放を決定付けます。しかし、北軍の勝利に沸く数
日後、劇場で暗殺されるという悲劇の大統領でした。
リンカーンは何のために学ぶのか何のために生きるのかを、深く問いながら青年時代を
過ごしました。
「今の世の中の問題になっていることに自分を結び付ける。その有益なこと
のために力を尽くして名を残せたら・・・」。皆さんはこれから就職に進学に向けて勉強が
本格化してきますが、皆さんの受験勉強もリンカーンと同じように、世の中の問題を解決
する力に生きてきますから、しっかり頑張ってください。
リンカーンは森の中の貧しい農夫の子に生まれ、貧しさゆえに小学校に4か月通ったく
らいでまともに勉強を教わっていません。読み書きもほんの少し手ほどきをしてもらった
だけです。ですが、毎日の厳しい労働の中に少しの時間を見つけて熱心に勉強を続けます。
勉強といっても本を買うお金はありませんから、村人から手に入る限りの本を借りて読む
のです。この時代本は少ししかないのですが、同じ本を何回も繰り返し繰り返し読み、自
分の頭に完全に消化するまで読む習慣を持つようになりました。このような読み方をする
と、たった1冊の本からも豊富な知恵を手に入れることができます。深く人間や社会を見
る目を養っていきました。ただ単に数多く本を読んでいる物知りや、次から次へ本を読み
飛ばす人には身に付きにくい、しっかりとしたものの考え方の骨組みや豊かな中身を持ち、
問題に対して自分の頭で徹底的に考える人になりました。
これは、私たちの勉強の仕方にも大いに参考になります。一冊の教科書や参考書を徹底
的に何度も繰り返して学習し、内容を完全に自分のものにする。基礎がしっかり身に付い
ている人は、多くの問題を解くに比例して学力がぐんぐん伸びていきます。
受験生になると目の前の就職や進学の合否が最大で絶対の目標になります。皆さんの持
てる全精力を進路の一点に集中させてください。
“ビリギャル”は模試の偏差値が30点で
学年でビリの女子高生。一念発起して猛勉強を始め、1年間で偏差値を40も上げ、難関
の私立大学に合格した奇跡の実話です。彼女は「あの人は元々能力があったからだと言わ
ないで欲しい。私は本当に普通の人間。ただ、思いついて本気で頑張っただけ。必死でや
ればこういうことになるという証拠になって、誰かの励みになれたらうれしい」と言って
います。
皆さんが世の中に出るといろいろな仕事が待っています。大きな仕事、生きがいのある
仕事。皆さんの進路選択と受験勉強が、世の中にとって有益で生きがいのある仕事につな
がっていくことを期待しています。