教 え て 私 の セルフメディケーション 適切な初期手当で化膿を防ぐ ンの基本 セルフメディケーショ すり傷・切り傷 の正し い対処法 ◦監修 東京大学医学部附属病院 内科医師 関谷 BASIS 康維持 ❶ 日々の健康管理で健 ルフケアで症状を緩和 ❷ 不調が生じたら、セ ときなどは病院へ ❸ 症状が重い・長引く 剛 初期手当で細菌感染を防ぐ 皮膚の一番外側にある表皮がこすり取られた浅い傷を「すり傷」、刃物などで表皮 が切り裂かれた傷を「切り傷」といいます。傷口の大きさや出血量などにより対応 が異なりますが、軽傷の場合には、適切な初期手当で細菌感染による化膿を防止す 初期手当として 注目される 「湿潤療法」 とは…? 消毒液を使わずに傷を流水で洗い、ラップ等で覆って湿った環境を保つことで、傷口か ら出る浸出液を活かして治りを早める「湿潤療法」が注目されています。一方で、傷が深 いときや異物が残っているとき、動物に咬まれたとき、持病のある方等が自己判断で実施 して重い感染症を引き起こしたケースが報告され、湿潤療法が適さないケースもあるとし て注意が呼びかけられています。 れば、セルフケアで十分対処が可能です。 また、治りかけにかさぶたができて強いかゆみが生じることがありますが、かさ ぶたをはがしてしまうと感染リスクが高まるので、触らないように注意しましょう。 ❖正しい初期手当 出血量が少ないとき 医療機関への受診が必要なケース 出血量が少し多いとき 医療機関(形成外科や外科)を受診しましょう。 破傷風 破傷風菌に感染することで発症し、感 ●傷口を圧迫して止血 ガーゼや清潔なハンカチを傷口に当てて 手で圧迫して止血する(傷口を心臓より高 い位置に上げると血が止まりやすくなる) ●傷口を水で洗う 傷口の砂や泥などの異物を流水でていねいに洗い流し、傷用の 消毒液等で殺菌・消毒する ●保護する 傷が服などにあたる場合は、傷口を清潔なガーゼなどで覆って 包帯を巻くか、ばんそうこうを貼る ●細菌感染が心配なときは軟膏を 傷口がじゅくじゅくする、腫れる、赤くなるなど化膿の兆候があるときは、 抗生物質成分の入った市販の軟膏で傷口を保護して感染を予防 14 危険な細菌感染 次のようなケースは細菌感染を引き起こす恐れがありますので、 染すると約1~2週間で、口や手のしび □ □ 動物に咬まれたとき 汚染された場所でケガをしたとき □ 異物が深くくい込んでいるとき □ 錆びたカミソリや釘でケガをしたとき □ 化膿(ただれや腫れ)がひどいとき □ 傷が深いときや出血が止まらないとき れや全身のこわばりなどの症状が現れ、 死に至ることもあります。錆びた刃物の 切り傷や、汚染された川などでケガをし たときは要注意。 破傷風はワクチン接種によって予防が 可能で、効果はワクチン接種後約 10 年 間持続します。 ほ う □ 頭をケガしたとき □ 5日間セルフケアをしても改善しない とき か し き え ん 蜂窩織炎 小さな傷からブドウ球菌や連鎖球菌な どの細菌が侵入し、皮膚の深い部分に炎 症を起こします。幼児や高齢者に多く、 広い範囲の皮膚が熱をもって赤く腫れ上 がり、強い痛みを伴います。進行すると 化膿したり、高熱や悪寒が出ることもあ ります。 no.101 15
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