Ⅰ、次の二つの言葉の関係または違いを説明せよ。 1、Insulin と Glucagon 血糖濃度のホメオタシスに働くホルモン。高血糖時には Glucagon が膵α細胞から分泌され肝臓 でグリコーゲンが分解され血中グルコースが増加する。低血糖時には膵β細胞から Insulin が分 泌され肝臓でグルコースが取り込まれグリコーゲンとして貯蔵される。 2、Bcl-2 と Bax Bcl-2 と Bax は共に細胞のアポトーシス関連分子で、ダイマーを形成して働く。Bcl-2 はミトコ ンドリアからのシトクロム c の遊離を抑制(ミトコンドリア膜チャネル阻害)することでアポトー シスを抑制し、逆に Bax は遊離を促進する事でアポトーシスを促進する働きを持つ。 3、RTK と non-RTK RTK(受容体型チロシンキナーゼ)は、細胞膜を貫通する構造を持ち、細胞外に受容体、細胞質領 域にチロシンキナーゼ活性部位を持つ。non-RTK(非受容体型チロシンキナーゼ)は、細胞外に代 表的構造が無く、細胞内で細胞膜に結合し細胞内末端にチロシンキナーゼ部位を持つ。 4、MHC-1 と MHC-2 MHC とは主要組織適合遺伝子複合体のことで T 細胞に抗原提示を行う。MHC-Ⅰは全ての細胞 に発現し、内因性抗原と結合・抗原提示を行う。MHC-Ⅱは抗原提示細胞にのみ発現しエンドソ ームで分解を受けた外因性抗原と結合・抗原提示を行う。 5、Th と Tc Th(ヘルパーT細胞)は、CD4 を持つ細胞で APC の MHC-Ⅱと結合・抗原認識をし、B 細胞によ る抗体産生を補助する働きを持つ。Tc(キラーT 細胞)は、CD8 を持つ細胞で APC の MHC-Ⅰと 結合・抗原認識し、標的細胞を直接殺す働きを持つ。 Ⅱ、現在考えられている「細胞周期制御のメカニズム」について、下記の語群の言葉を全 て用いて説明せよ。なお、言葉を用いるときは言葉の下にアンダーラインを引くこと ‐語群‐ Bax、Bcl-2、Cdc2、Cdk2、MPF、p21、p53、pRb、PI-3 キナーゼ、アポトーシス、がん 抑制遺伝子、サイクリン B、サイクリン E、チェックポイント、プロテアソーム 細胞周期は周期的なサイクリンの発現・分解に依存し、サイクリンの分解はプロテアソーム活 性の周期的変動に因るものである。動物細胞において M 期では Cdc2 にサイクリン B が、G1 期には Cdk2 とサイクリン E が、S 期では Cdk2 とサイクリン A が複合体を形成することでそ れぞれ次の周期である G1 期、S 期、G2 期を誘導する。酵母細胞では M 期において、Cdc2 に サイクリン B が結合することで不活性な MPF を形成する。これが活性化されることで、サイク リンは分解され G1 期に移行する。 また、正確な細胞周期の進行のために、周期内にはチェックポイントが存在する。チェックポ イントの一つとして R 点が存在し、 その R 点でブレーキの役割を果たしているのが pRB である。 pRB は E2F/DP-1 に結合した状態で存在し G1/S 期の移行を阻害している。pRB が Cdk/cyclin 複合体によってリン酸化されると pRB は E2F/DP-1 から解離し E2F/DP-1 によって G1/S 期の 移行を促進される。また、DNA に損傷があると、PI-3 キナーゼファミリーである ATM と ATR の複合体が、がん抑制遺伝子である p53 を活性化し、p53 が転写因子として働くことで p21 が 転写され Cdk/cyclin 複合体に結合・不活性化する。DNA 損傷がひどく修復ができない場合には 細胞のアポトーシスが行われる。アポトーシスのシグナルが細胞に伝わると Bax 二量体によっ てミトコンドリアから Cytochrome C の遊離が促進されカスパーゼ‐9・カスパーゼ‐3 が順に 活性化されアポトーシスが行われる。アポトーシスの行われないときには Bcl-2 二量体によって ミトコンドリアから Cytochrome C の遊離が抑制されている。 Ⅲ、生体内シグナル伝達に関する細胞膜受容体について 1、G タンパク質を介するシグナルシャットダウン機構について説明せよ ①GPCRkinase(GRK)を Gβγサブユニットが活性化させ、GRK が受容体をリン酸化 ②GRK が膜構造を変化させ、GPCR 連結型受容体を膜内に閉じ込め、リガンドが結合できない ようにする。 ③RGS による GTPase の活性化 ④GTPase による Gαに結合している GTP の GDP への分解 以上①~④の反応を介して G タンパク質を介するシグナルのシャットダウンが行われる。 2、A キナーゼ活性化機構について説明せよ 不活性な A キナーゼは、触媒サブユニット(C)と調節サブユニット(R)が結合した状態で存在して いる(C・R)。この状態において、触媒サブユニットの活性部位は調節サブユニットと結合してい て不活性となっている。調節サブユニットに cAMP が結合すると二量体(R・cAMP)2・C2 を形成 し、さらに、調節サブユニットのもう一つの cAMP 結合部位に cAMP が結合すると、A キナー ゼ(C) は、調節サブユニットから離れ活性化する。 3、以下の語句について説明せよ (a)P ボックス Gαサブユニットにある G タンパク質(Gβγ)結合部位 (b)G ボックス Gαサブユニットにあるグアニンヌクレオチド(エフェクター)結合部位 (c)GAP GTPase Activating Protein のこと。エフェクターにシグナル伝達をした後で、Gαに結合して いる GTP を分解するときに働く GTPase を活性化するのに働くタンパク質。 Ⅳ、免疫機構について(問題は省略)
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