□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 2 軸加速度センサを用いた姿勢制御回路とプログラムの開発 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 秋田工業高等専門学校 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 小林 陽介,田中 将樹,小林 義和 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [email protected] □□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 1. 緒言 2014 年に開催したアイデア対決・全国高 スラロームゾーンはゾーン内部にあるパ 等専門学校ロボットコンテスト(通称高専ロ イロンに当たらないように気をつけて運ぶ ボコン)において, 課題達成のため高く積み 必要がある. しかし, コースの序盤であるた 上げた蒸籠を崩さないように制御すること め, 時間のロスとならないようある程度の が必要となった. そのため, 試供された 2 軸 . 加速度センサ SCA1020-D11 を使用し, 姿勢 機動力が必要とされる 角材ゾーンは, その不安定な足場の上を 制御のためのシステムを構築した. ロボットが移動しなければならない. その ため, 安定した移動を可能とする機構にし 2. ロボコンとは . ロボコンとは 1988 年から始まった, 毎年 なければならない 傾斜ゾーンは , 傾斜角が最大で 15°と急で 発表される課題に沿って技術とアイデアを あるためあまり高く積み上げると, この傾 振り絞ってロボットを作り, 全国の高専が 斜ゾーンで蒸籠が倒れてしまう. 蒸籠の数 競い合う伝統的な競技のことである. 2014 を少なくして運ぶ, 蒸籠を高く積み上げて 年は「出前迅速」という課題名で, その課題 も地面と並行に保てるような機構を搭載す は蕎麦の蒸籠を 3 つの障害物を乗り越えて るなど, さまざまな戦略が考えられる. ロボットが目的地まで運び, その数を競い 合う. ロボコンには地区大会と全国大会が 4. 製作したロボット あり, 地区大会で優勝したチームと審査員 E6 系秋田新幹線こまちを参考に新幹線型 から推薦された 1~3 チームが全国大会に出 のロボットを設計・製作した (図 2). このロ 場することができる. ボットはスラロームゾーン攻略のためのオ ムニホイールと角材ゾーンと傾斜ゾーン攻 3. 出前迅速の課題内容 赤・青の 2 チームに分かれて対戦し, 各チ 略のためのクローラーを自在に変更するこ , 蒸籠を載せたお盆 ーム 1 台のロボットと 3 人の高専生がフィ とができる移動機構と 2 軸ジンバル機構を搭載 ールドで競い合う. 出前ロボットはお盆に の姿勢を制御する している点が特徴である . 高く積み上げられた蕎麦の蒸籠を, スラロ ームゾーン, 角材ゾーン, 傾斜ゾーンの 3 つ の障害物を乗り越えて運ぶ. 競技時間であ る 3 分間の間で少しでも多くの蒸籠を出前 したチームが勝利となる . 図 1 は競技を行 うフィールドの全体図である. [1] 図 2 製作したロボット スラローム 角材 傾斜 図 1 出前迅速フィールド全体図 5. ジンバル機構について 1 1 ジンバルとは つの軸を中心として物体 を回転させる回転台の 種である. 2 つのジ ンバルを軸が直行するように設置すると , 内側のジンバルに乗せられた物体の向きを 常に一定に保つことができる.今回製作した 2 軸ジンバル機構を図 3 に示す. 制御プログラムのフローチャートを図 5 に示す. Arduino と 2 軸加速度センサ間の通信は SPI 通信で行った . 角度データを受信する とき, そのデータは 11bit で送られてくるが, SPI 通信の仕様上, 8bit ずつでしか受信する ことができない. そのため, 2 回に分けて受 信し, 不要な 5bit を削る処理を行った. PD 図 3 2 軸ジンバル機構 6. 姿勢制御システムの概要 2 今回使用する 軸ジンバル機構は2つの モータを制御するためのモータドライバー と, センサから角度を読み取る回路が必要 であった. 作業を並列化するため, 角度読み 取り用の回路とモータ駆動用のモータドラ イバー回路を分けた(図 4). そして, 角度読 み取り回路には Arduino マイコンボードを, モータドライバーにはワンチップマイコン の PIC18F2550 を搭載した自作の回路基板 を使用した. 図 5 姿勢制御システムのフローチャート 図 4 制御システムの概略図 7. 工夫した点 Arduino を使用したことで簡単にセンサ と通信を行うことができた. 今回は姿勢制 御を行う手法として PD 制御を採用した. 始 めに, Arduino 側で2軸加速度センサを用い て角度情報を測定する. そして測定した角 度をモータドライバーに送信し , 目標値 (0 °) との偏差を求める. その偏差に応じて モータを動作させ角度を修正し, 再び測定 を行う. これを偏差が 0 となるまで繰り返 すような制御を行った. 初めは P 制御で行っていたが, PD 制御に 変更してから 2 軸ジンバル機構の揺れが収 まるまでの時間が減少した. 8. プログラム解説 姿勢制御を行うために重要な PD 制御は, ワンチップマイコンの PIC18F2550 で行っ た. 開発環境は CCS 社の C コンパイラを使 用し, C 言語によるプログラミングを行った. 9. 2 軸加速度センサについて 2 SCA1020-D11 , 0.0035 . 20kg , . , , . , 2 30 . , 15 . 使用した 軸加速度センサ は角度分解能が優れており °単位 で角度検出をすることができる さらに 耐衝撃性があり 温度センサも内蔵さ れている そのため 温度補正も行い 精度 よく角度を測定することが可能となる た だし この 軸加速度センサの測定範囲は ± °までしか出来ない しかし 今回の 競技の最大傾斜角は °であったため特に 問題にはならなかった 10. 大会成績・結言 , 大会の成績は 地区大会でベスト 4 の成績 を収めることが出来た. 制御に関しても, PD 制御をプログラム上 で実装でき, 性能の良い 2 軸加速度センサ を用いたことで満足のいく制御を行うこと ができた. 参考文献 [1] 高専ロボコンルールブック http://www.official-robocon.com/jp/kosen/kosen2014/rulebook.html
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