そんなに凄いの?過大評価じゃない? 独立性はそんなに大事か • 民主主義の否定なんて含意は誤解じゃない? • 4つの条件の中でパレート原理が果たしてい る役割は実はとても小さい • 二つの選択肢の順序関係が他の選択肢の有 無や順序関係で変わることはそんなに不自然 か?そんな基準は厳しすぎやしないか? • 決定にあたって選択肢の情報をどこまで取り 入れるべきかという問題,これは個人の意思 決定の中でも顔を出す問題 – 逆独裁者ルールと無作為決定ルールを排除する だけの役割しか果たしていない(村上の定理) • 単に複数の決定主体の選好をまとめると独 立性が保てなくなる,という程度のもの? 不可能性とは単に集約ルールとして独立性 が不可能であるということ? 自由主義とSenのパラドクス • 社会的決定は個人の自由を前提としなけれ ばならない • 何でもかんでも全て,というわけではないが, 誰もが全く個人の自由意思で選んでよいこと があってもよい 平たく言うと • 自由主義のパラドクス – 条件L:どんな人でも,自分の好きに決めることの 出来る選好を1つは持つことが出来る – 条件L*:“少なくとも2人”⇒“1人”にしてしまうと, 独裁者を認めてしまうことになってしまう • 個人選好の無制約性,およびパレート最適と 両立しない⇒つまり,自由主義という原理を 突き詰めていくと独裁者を許容してしまう Senのパラドクス • 個人選好の無制約性,および社会のパレート最適性と,下 の条件L*を満足させる決定関数はない • 条件L:社会の全ての構成員は,自己の選好順序に従って 選択することが社会的に承認されている,相異なる選択肢の 対を少なくとも一つは持たなければならない • 条件L*:いかなる社会でも,少なくとも2人の構成員はそれぞ れの自己の選好順序に従って選択することが社会的に承認 されている,相異なる選択肢の対を少なくとも一つ持たなけ ればならない チャタレイ夫人の問題 • 謹厳実直で不道徳なものなど何人たりとも読 むべきではないと考えているA氏と,不真面目 で冗談好き,不道徳なものはむしろ堅物のA氏 が読むべきだが、Aが読まないなら自分が読 みたいと思っているB氏がいるとする • この2人の社会的決定はどうなるか? 1 投票のパラドクスのもう1つの含意 • 戦略的な投票の操作の影響を受けてしまう – 自分の選好の表明ではなく,望ましい結果を得る ためだけに投票を行なうこと – 社会的決定はあくまで個々人の誠実な意見表明 の要約の結果として下されるべき,望ましい結果を 得るために意見を偽る方が得になる状況が可能で あれば意見の集約という行為自体が成立しない Gibbard-Satterthwaiteの定理 • 戦略的な操作が不可能な決定方式は独裁性だけ – 3人以上の候補者がいる選挙の場合,以下の3つのうちのど れかが成り立つ • ある1人の有権者の投票だけで結果が決まる • どうやっても当選できない候補者がいる • 他の全ての有権者の投票にあわせて自らの投票を変え ることにより,自分の望みどおりの結果を手にすることの 出来る有権者が居る 2
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