はじめに なくない。 国内の自動車販売は、昨年秋以降、販売台 数の急激な減少に見舞われたが、今年 4 月以 図表-1 エコカー 普及促進策の購入に与える影響 降は、政府の景気対策によって販売台数が回 購入サイク ルを前倒し したい 3.1% 復している。 そこでIRCでは、消費者のマイカー購入 わからない 11.1% に関する意識を把握するためアンケートを行 った。アンケートの概要は以下のとおりであ 購入に影響 なし 17.7% る。 購入は未定 だが興味あ り 58.5% アンケート実施内容 調査対象 もともと購入 予定で、対 象車を購入 したい 9.6% 愛媛県内の乗用車保有者 (n=542) 愛媛県内の伊予銀行本支店にて調 調査方法 2. 60%の人はハイブリッド車の購入を検討 査票を配布し、郵送にて回収 エコカーブームの火付け役となったハイブリ ッド車について尋ねたところ、「ぜひ購入した 回答者の属性 男性:31.3% い」が 6.2%となった。 女性:65.3% 性別 また、 「 値段が安ければ購入したい」(28.1%)、 不明:3.4% 年齢 30 歳未満:24.4% 30 歳代:22.2% 40 歳代:23.1% 50 歳代:17.3% 60 歳以上:11.4% 不明:1.6% 東予:32.2% 中予:48.4% 南予:18.7% 不明:0.7% 「車種が増えれば選択肢として検討したい」 (25.7%)と、半数以上の人は、条件次第で購入 する意向や検討する可能性があるようだ。 「興味はあるが購入は考えていない」の 居住地 回収状況 有効回答数 562(回収率 56.2%) 調査時期 2009 年 6 月下旬∼7 月上旬 29.3%まで含めると、90%近い人が、ハイブリ ッド車に興味を持っている。 図表-2 1. エコカー普及促進策について ハイブリッド車について 今のところ 全く興味が ない 10.7% 政府が実施しているエコカー減税や購入補 助の車購入に与える影響について尋ねたとこ ぜひ購入し たい 6.2% ろ、「購入は未定だが興味はある」が 58.5% 値段が安 興味はある ければ購 が購入は 入したい 考えていな 28.1% い 車種が増 29.3% えれば選 択肢として 検討したい 25.7% (n=539) と過半数を占め、エコカー普及促進策に対す る関心は高いと言える。 し か し 、「 購 入 サ イ ク ル を 前 倒 し た い 」 は 3.1%と、積極的に活用しようとする人は少数 で、 「購入に影響なし」(17.7%)とする人も少 1 3. 4. 参考にする情報源 車を購入する際、参考にする情報源は、ど 次は、 「経済性」と「環境への配慮」で車を 選ぶ の世代でも「販売店の営業スタッフ」とする 「今の車を購入したとき重視したこと」と「次 意見が最も多く、特に、50 歳代、60 歳代以上 回買い替え時に重視したいこと」の回答を比較 に多かった。 してみた。 年代別の傾向を見ると、30 歳代では、「カ 今の車の購入時よりも次回買い替え時に重視 タ ロ グ 」 (48.8 % ) や 「 イ ン タ ー ネ ッ ト 」 する割合が上回った項目は、 「燃費」 (19.3 ポイ (34.4%)も多く、さまざまな情報源を上手に ント増加)、 「維持費の安さ」 (7.9 ポイント増加)、 活用しているようだ。 「価格」 (6.9 ポイント増加)と、経済性を重視 ま た 、 30 歳未満では、「 家 族 ・ 友 人 の 話 」 する傾向が強く表れた。 (43.8%)も多く、車の知識・経験が不足す また、「環境への配慮」も 11.7 ポイント増加 る分、身近な人のアドバイスが貴重な情報源 し、地球温暖化など環境に対する関心の高さが となっているようだ。 うかがえた。 逆に、 「車両の大きさ」 (15.0 ポイント減少)、 「メーカー・ブランド」 (9.2 ポイント減少)、 図表-3 車を購入する際、参考にする情報源(複数回答) 「デザイン」(5.7 ポイント減少)、など、車 の商品性に関する項目を重視する割合は下が 56.9 52.0 53.8 販売店の営業スタッフ った。 69.1 今後の買い替えでは、車種に対するこだわ 59.7 りよりも経済性が優先するようだ。 39.4 48.8 カタログ 38.5 34.0 25.8 図表-4 車を選ぶときに重視するポイント(複数回答) 29.2 28.0 28.5 25.8 19.4 広告 価格 43.8 17.7 11.3 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上 4.8 16.8 19.2 17.7 雑誌 8.2 1.6 0 20 40 57.6 60 34.7 40.4 車両の大きさ 28.5 34.4 インターネット 50.7 デザイン 28.8 21.5 23.7 19.4 家族・ 友人の話 次回買い替え時 (n=550) 今の車を購入したとき (n=544) 14.2 29.2 燃費 26.7 運転のしやすさ 25.9 メーカー・ブランド 25.4 46.0 29.5 16.2 機能・ 装備 16.5 乗り心地 16.4 維持費の安さ 15.4 18.2 13.8 23.3 エンジン出力 4.6 環境への配慮 3.9 60 ( %) 80(%) 2 50 40 30 20 10 9.6 15.6 0 10 20 30 40 50 60 ( %) 5. 今後の買い替えサイクル 図表-6 買い替えサイクルを長くする理由(複数回答) 今後の買い替えサイクルについて尋ねたと ころ、「特に考えていない」(54.0%)が最も 64.9 できるだけ車にお金をかけたくない 多く、次いで、 「 長くする」(26.6%)となった。 今の車が気に入っている 41.2 「短くする」(0.9%)は、ごく少数だった。 意識的に買い替えサイクルを長くするとい 古くても故障しない 21.6 う人が、全体の 4 分の 1 を占め、買い替えサ 収入が減った 13.5 イクル長期化の傾向は、今後も続くものと予 想される。 車に乗る機会が減った 11.5 車に対する興味が薄れた 図表-5 5.4 今後の買い替えサイクルについて (n=148) 特に理由はない 2.0 0 特に考え ていない 54.0% 長くする 26.6% 7. 10 20 30 40 50 60 70 (%) 車は生活必需品 自分にとって車とは何かを尋ねたところ、 「生 活の足として必要なもの」の 85.1%が最も多く、 変えない 18.4% 次いで「行動範囲を広げるために必要なもの」 (55.8%)、「レジャーや趣味、旅行・余暇を楽 短くする(n=548) 0.9% しむために必要なもの」 ( 52.9%)の順となった。 「自分のステータス性の表現」(5.7%)は少 数意見で、 「所有すること」に価値を感じる人よ 6. 買い替えないのは「お金をかけたくない」 りも、車を「使うこと」に価値を感じる人の方 から が多いようだ。 今後の買い替えサイクルを「長くする」と 回答した人に、その理由を尋ねたところ、 「で 図表-7 あなたにとって車とは (複数回答) きるだけ車にお金をかけたくない」(64.9%) と、車選びで重視することと同様に、経済的 85.1 生活の足として必要なもの な理由を挙げる人が多かった。 55.8 行動範囲を広げるために必要なもの 「収入が減った」(13.5%)はそれほど多く ないことから、「お金がない」というよりも、 52.9 レジャーや趣味、旅行、余暇を楽しむもの 節約志向が表れた結果だと言えよう。 ドライブを楽しむもの 20.8 自分のステータス性の表現 0 3 (n=543) 5.7 20 40 60 80 100 (%) 8. 車に関するサービスについて 図表-9 中古車レンタカーについて 最後に、車を「所有する」のではなく、 「利 用する」という視点に立った自動車関連サー 利用したい 16.8% 利用したいと 思わない 39.6% 中古車 レンタカー 知っている ビスについて質問してみた。 49.1% まず、サービスそのものを知っているかど うか、次にサービスの概要を示した上で、利 用したいかどうかを尋ねた。 初めて聞いた 50.9% (1)カーシェアリング 「カーシェアリング」を「知っている」と わからない 43.6% (n=515) (n=500) 答えた人は 52.2%と、県内ではカーシェアリ ングサービスが行われていないにもかかわら ず高い認知度を示した。 【中古車レンタカー】 しかし、 「利用したい」と答えた人は 6.8% 中古車を活用したレンタカー事業のこと。 と、認知度に比べると低い結果になった。 一泊/24時間の利用でも 3,000∼4,000 円と、 通常のおよそ半額程度の料金でレンタカーを 図表-8 利用できる。営業拠点も、既存のガソリンスタ カーシェアリングについて ンドや立体駐車場、中古車販売店などを活用す 利用したい 6.8% 知っている 利用したいと 52.2% 思わない 52.3% カーシェアリング ることで、格安料金を実現している。 観光客やビジネス客をターゲットとする従 来のレンタカー業者とは違い、日常の生活の足 として利用できる手軽さから、主婦やファミリ ー層の利用も多い。 初めて聞いた 47.8% (n=519) フ ラ ン チ ャ イ ズ チ ェ ー ン (F C )方 式 で 全 国 わからない 40.9% 展開している企業もあり、店舗網が急速に拡大 している。 (n=499) おわりに (2)中古車レンタカー エコカーブームにより、新車ディーラーには 「中古車レンタカー」について、「知って 一見の来店客も増加しているという。このチャ いる」と答えた人は 49.1%と約半数を占めた。 ンスを生かし、一時のブームで終わらせないた 一方、「利用したい」と答えた人は 16.8% めにも、ユーザーの求めるものは何か、新車デ と、カーシェアリングに比べて高い水準とな ィーラーに求められる役割は何かを真剣に考え、 った。 各社独自の取り組みにより差別化を進めること が望まれる。 (石川 4 良二)
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