脳血管研究所リバイバル 平田温先生を迎えて

 VOL.
2015.10
27
YOSHIDA
HOSPITAL
http://www.yoshida-hp.or.jp/
(財)日本医療機能
評価機構認定受領
脳血管研究所リバイバル 平田温先生を迎えて
院から院長の娘が神戸大学に留
学していて吉田病院で脳血流測定
2015 年 6月から吉田病院附属脳血管研究所に所長として
着任した平田 温(ひらたゆたか)です。1973 年に京都大学医
学部を卒業後、京大老年科・神経内科で研修、次いで設立直
後の国立循環器病(研究)センター内科脳血管部門(現=脳
血管内科)山口武典部長の下で超急性期脳血管障害の診療
や研究に従事しました。その後、当時脳卒中診療でトップレベ
ルだった秋田県立脳血管研究センター神経内科に移り、20 年
間ほど臨床例の診断と治療のほかポジトロン(陽電子)CTによ
る脳循環・代謝研究などを行いました。21 世紀になって秋田県
や宮崎県の病院で脳卒中・認知症・パーキンソン病など老年
神経学の診療にあたり、最近の 5 年は秋田県の北秋田市民病
院で過疎地の地域連携などの仕事にも携わってきました。
ここ吉田病院は1968 年、現会長の吉田耕造先生が脳神
経外科を開設した当時、個人病院の脳神経外科は日本でも数
少なく先駆的な存在だったとお聞きします。吉田病院附属脳血
管研究所は1971 年に法人化を契機に併設したもので、群馬
県の脳血管研究所附属美原記念病院にならって命名。吉田
耕造先生のライフワークである脳循環研究では1980 年アイソ
トープ 133Xenon(ゼノン)
を用いたSPECTによる脳血流量
測定を開始、くも膜下出血のスパズム治療にCa 拮抗薬ニカル
ジピンが有効だと言われていた頃です。
「ちょうど北京の天壇医
の研究を一緒にやってもらった。良
いデータが取れて、私は天壇医院
に招かれて英語で講演したことがあ
る」
とのお話。研究所と病院はいわ
ば車の両輪として位置付けられて
いたわけです。
そのあと曲折を経て吉田病院は
脳卒中の超急性期治療や早期か
らのリハビリテーションに取り組み、
吉田泰久院長に引き継がれた現
在も現場での診療と研究を両立させるパイオニア精神に満ちて
います。私は吉田病院の脳血管研究所長をお引き受けするに
あたり、原点であるこの研究面の継続を第一に掲げたいと思い
ます。オリジナル研究以外にも兵庫医科大学脳神経外科や鹿
児島大学、広島大学との多施設共同研究が現在進行中です
し、日本脳卒中データバンクの登録業務も当研究所が受け入
れ窓口になって継続を予定しています。さらに看護部やリハビリ
テーション科、連携室、給食科、薬局などで行われている研究
や他部門の研究支援も重要な仕事です。年内には医局・研究
所秘書も着任し、よりきめ細かい支援活動を拡大します。また
研究所主催の講演会を企画して各病院・診療所との連携を広
げ、病院内でも多くの職種との情報共有を進める仕事に取り組
みます。さらに現在は脳神経外科医が主体の脳卒中診療に、
脳神経内科医を新たに招いて、外科と内科が協同して診断・
治療する病院につなげられたらと願っています。病院の理念で
ある「患者さん、地域の医療者・介護職、病院職員にやさし
い」研究所めざして微力ながら最善を尽くすつもりです。
Durch Leiden Freude (悩みを突き抜けて歓喜に至れ=
!
ベートーヴェンの言葉から)
吉田病院附属脳血管研究所
医療法人 榮昌会 吉田病院
所長 平田
附属脳血管研究所
温
Yoshida hospital information magazine
MRI装置を更新しました
当院では2台のPHILIPS社製MRIが稼働してお
MRI装置を更新しました
り、今回Intera 1.5TをInginia CX 1.5Tに更新いたし
ました。更新した装置は最高クラスの傾斜磁場シス
テムと世界初のデジタルコイルシステムの融合によ
る優れたMRIシステムです。
デジタルコイルはコイル内でMRI信号をアナログ
からデジタルに変換することで、最もノイズ混入のな
い理想的な信号処理を実現しております。高い磁場
強度により短時間で高画質、高分解能の拡散強調
画像(DWI)
【画①】や非造影血管撮影(MRA)
【画
②】が撮影可能となり急性期の脳血管障害の診断
に役立ちます。更に、体動補正技術(Multi Vane XD)
【画③】により動きの抑制の効かな
い患者様でも良好な画像を提供でき、診断能の高い検査が可能となりました。また、寝台
下部には200cmのコイルが内蔵されており、前面の頭頚部コイルと腹部コイルを組み合わ
せることによって広範囲をカバーでき、更に各部位に応じた専用コイルを自動選択すること
により、全身の高 画 質 検 査【画 ④】が短 時 間で行えるようになりました。もう1台の
Achieva 1.5Tを最新ソフトウェアに更新し、2台が同じユーザーインターフェースを持つこ
とによって、更に特殊な検査から救急検査まで速やかに確実な運用が可能となりました。
同時に、最新ネットワークタイプのワークステーションも導入しました。CT、MRI、
Angioの3つのモダリティのデータ処理や高度な画像解析を離れた4箇所で同時に作業が
行えるため、処理の分散化や業務の効率化が可能になりました。
【画⑤】今回の更新に
よって、より多くの患者様の診断・治療に貢献できるものと考えております。
今後ともよろしくお願い致します。
画①
画②
画③補正あり
画⑤ ワーク
ステーションで作成
画④
画③補正なし
(平成 27 年 11月1日現在)
平成27年 10月31日 発行