実施報告書

別紙様式1
平成26年度 新任女性教員スタート支援経費(平成26年
度以降に採用された本学女性教員のための研究助成)実施報告書
平成
27 年
3月
20 日
岩見沢校 芸術・スポーツ文化学科
所 属 部 局・職名
芸術・スポーツビジネス専攻 准教授
氏
角
名
美弥子
《新任女性教員スタート支援経費を受けて得られた効果等について》
テーマ:イタコの祭文における宗教的構造の研究
主な活動:従前から関わっていたイタコの研究における未判明の詞章の原典調査。
効果:
対象となったイタコは八戸市南郷在住の中村タケ氏であり、以前中村氏の唱える
祭文を全て書きおこし、出版しているが、そのうち未判明の部分の原典を求め、富山県と
青森県の博物館・図書館で調査を行った。
富山県では、祭文のうち、口寄せの導入部で「越中立山様」の文言が先頭にくるため、
立山信仰との関連を考え、調査を行った。立山信仰は山岳信仰・山岳宗教・民間信仰から
成り立つといわれ、イタコの祭文には他にも修験道の経文があるため、それと同等と考え
ていたが、実際に訪問すると、その中心に「地獄」があることが特徴だと判った。口寄せ
を行う際には、地獄まで亡者を探しに行くため、非常に関連性の高い文言だといえ、立山
信仰がイタコ祭文における地獄のルーツに繋がる一つであり、
「地獄」の解明がイタコの習
俗の部分的な解明に繋がるのではないかという糸口を得た。
青森県では、弘前市立図書館で「因果経和讃」の古典籍を確認し、祭文の原典を得た。
同名の和讃は翻刻等を含め今まで各地で十数点見てきたが、いずれも内容が違っており、
漸くイタコ祭文と合致する文を発見できた。地理的にも、対象地域ではこの和讃が使われ
ていたと考えることができる。また、
「十三仏和讃」の書籍の出典も確認できた。他にも「目
蓮尊者地獄巡り」の古典籍を確認し、前述の地獄との関連性を得た(これは訪問直前に研
究者の手により翻刻がまとめられているものを発見できた)
。
様々な信仰に関する論文・書籍はあっても、経文、祭文等は文字にされることが少なく、
されていても古典籍であったり、地方出版・自費出版であったりと入手が難しい。現在は
ウェブに掲載されていることも多いが、研究上の典拠としては弱いので、書物での確認は
必須である。今回の調査では古典籍や地方出版書籍により典拠を確認でき、また新たな糸
口をつかめ、有意義なものとなったのに加え、現地調査の必要性を感じた。今後も諦める
ことなく計画的に出典を調査し、研究に反映していく。
別紙様式1