⻭科訪問診療を⻭科医院経営にどう⽣かすか? 〜 在宅療養⽀援⻭科診療所施設基準届出のすすめ 〜 ⽇本の超少⼦⾼齢化に伴う保険医療財政を考えたとき、⻭科医院内での待ちの診療形態は限界を迎えつつありま す。今後、⽇本の⾼齢化はそのスピードを速め、世界の国々が経験したことのない状況を迎えます。そのことによ り、来院できる⼈⼝が減少し、訪問⻭科診療を必要とする患者様が急激に増加します。そのために厚労省は在宅⻭ 科医療の推進を重点項目として挙げています。今後、在宅⻭科医療に対応できない⻭科医院は経営的に窮地に陥る 可能性が⾼いといえるでしょう。 さて、来院患者主体の⻭科医院経営が軌道に乗り、患者様の増加に対応するためには多額の設備投資が必要とな ります。先ずは医院の施設規模拡大、ユニットの増設、スタッフの確保が必要となり、その投資額は 1 千万円を軽 く超えてしまいます。しかしながら、今後も投資に見合うだけの来院数が見込めるとは限りません。前述のように 来院患者様が減少していくことを踏まえ、経営者として考えないといけないのは、時代の変化に対応し、最小限の 投資で最大限の効果をどう得るのかということになります。まさに、⻭科訪問診療はその⽅向性に合致した診療形 態ではないかと思われます。 現実に、厚⽣労働省の資料によりますと、多くの⻭科医院経営者が既にそのような方向に動いています。今後、こ の動きはさらに加速するものと推察されます。 ある⻭科医院では、そのような時代の変化に対応し、3 年程前から⻭科訪問診療の強化を図り、徐々に方向転換し 始めました。そのための投資は総額で 300 万円にも満たず、(訪問診療車両 50 万円、訪問診療ユニット 80 万円、 訪問診療用レントゲン 50 万円、そのほかの必要器具など)ユニット 1 台分のほうが⾼いくらいです。 そして、NPO 法⼈⻭科医療情報推進機構(IDI)主催の在宅療養⽀援⻭科診療所の施設基準に係る研修会を 2014 年 4 月に修了した後、同年 5 月に届出を行い受理されています。 ⻭科訪問診療を実施している⻭科診療所の割合(訪問先別) ・ 施設において⻭科訪問診療を実施している⻭科診療所は、調査を重ねるごとに増加している。 ・ 居宅において⻭科訪問診療を実施している⻭科診療所は、減少傾向にあったが、今回調査では増加している。 20 15 13.5 13.0 12.2 12.1 10.1 10.8 10 5 0 (%) 8.7 7.5 平成11年 14年 13.8 13.8 居宅 17年 20年 施設 23年 (平成 23 年医療施設調査) 1 ⻭科診療所当たりの⻭科訪問診療実施件数(毎年 9 月分) ・ 1 ⻭科診療所当たりの⻭科訪問診療実施件数(9 月分)は、調査を重ねるごとに増加しており、特に介護老⼈福祉士 設などでの増加が顕著 30 25 20 15 10 5 0 (件) 居宅 平成11年 4.3 14年 16.2 15.1 12.3 10.0 2.9 26.2 大幅に増加 施設 6.3 17年 8.0 20年 注: 平成 23 年は宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏及び福島県の全域を除いて算出 8.4 23年 (平成 23 年医療施設調査) 今後多くの⻭科医院の参入が予想される訪問⻭科診療 成功するためには何が必要なのでしょうか? 摂食嚥下障害の予防・改善 滅菌・清潔の維持管理 機能的口腔ケア 全身管理 嚥下内視鏡検査 インプラントのメンテナンス 嚥下スクリーニング ※ 内視鏡検査は点数が高い!! それには、今後の訪問⻭科診療で求められる、上記のような高度な技術と資格を持つことではないでしょうか!! そして、在宅療養⽀援⻭科診療所施設基準(⻭援診)を算定している⻭科医院になることです。 下表から⻭援診算定⻭科医院数の推移がわかります。このように⻭援診算定⻭科医院がどんどん増加しています。 ⻭援診を申請することで、⻭科診療報酬は約 1.5 倍にもなるのです。 ⻭援診届出医療機関数の推移 6,000 4,000 4,941 3,039 3,744 3,996 4,015 2,000 0 平成20年 21年 22年 23年 24年 退去時共同指導料Ⅰ ⻭科疾患在宅療養 指導管理料 (⼝腔機能管理加算) ⻭援診 ⻭援診以外 600 点 300 点 140 点 (+50 点) 130 点 同一建物居住者 以外の場合: ⻭科訪問診療補助加算 110 点 【平成 24 年度改訂対応】 同一居住者の場 合:45 点 ― 在宅療養⽀援⻭科診療所は増えているものの、全⻭科診療所の 7%にとどまっている。 では、⻭援診を算定するために必要な要件にはどのようなものがあるのでしょうか。 在宅療養⽀援⻭科診療所施設基準 1 ⻭科訪問診療料を算定していること 2 高齢者の⼼⾝の特性、⼝腔機能管理及び緊急時対応に係る研修を修了した常勤の⻭科医師が 1 名以上配置さ れていること 3 ⻭科衛⽣⼠が配置されていること 4 必要に応じて、患者又は家族、在宅医療を担う医師、介護・福祉関係者等に情報提供できる体制を整えている こと 5 在宅⻭科医療に係る後⽅⽀援の機能を有する別の保険医療機関との連携体制が確保されていること ⻭援診がまだの方は、今回の研修会で外来環との同時受講をお勧めします。 ⻭援診の修了証明書は 4 年間有効です。特に、外来環施設基準を充足される先生方にとっては、 「在⻭管」の 算定をするための設備・機器がすでに揃っていることにもなりますので、⻭援診を取得することで更に大きな メリットを生むことができます。 今回は、外来環・⻭援診の研修会を午前・午後に分けて開催しています。是非この機会に両方の研修会を受講 し、安全な診療環境の構築と今後の⻭科訪問診療の需要増加に対応する準備をしてください。 IDI は⻭科医療機関を審査・認証し、安⼼・安全な⻭科医療機関情報を国⺠に発信するわが国初の第三者評価機関です。 ⻭科医療情報推進機構(IDI) 〒113-0033 東京都文京区本郷 3-26-6 NREG 本郷三丁目ビル 6F TEL: 03-5842-5540 FAX: 03-5842-5541 E-mail: [email protected]
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