No.2 2015年10月13日

田辺由美の「第3回南アフリカワイン検定」指南
解答 No.2
2015.10.1
第3回「南アフリカワイン検定」の試験日は 11 月 8 日(日)に開催されます。世界のトップ 10 に入る生
産量、そして品質と価格の面では最も注目されるワインの産出国です。南アフリカの殆どを産出する西ケ
ープ州のワイン産地の全てが、ユネスコ世界自然遺産登録の地域あるのも他の国には見られないことで
す。ワイン業界(生産者)と政府が一体となって行われている自然環境への取り組みは他の国のワイン産
地の模範となっています。加えて、労働環境の改善も積極的に行われています。
試験までの 2 カ月、自然環境と労働環境そして更なるワインの品質向上、輸出の拡大にと様々なことにチ
ャレンジする南アフリカのワイン産業を考えましょう。今年の試験内容の重要ポイントをお伝えします。
第 3 回 目 の 検 定 試 験 は 「 ワ イ ン と 環 境 ( P20~P23 ) 」 、 「 葡 萄 か ら ワ イ ン へ ~ テ ロ ワ
ー ル と ワ イ ン ( P36~P38 ) 」 「 産 地 の 特 徴 ( P54 ~ P68 ) 」 そ し て 、 テ キ ス ト の Part3
のワイナリーについても試験に含めます。しっかりと勉強してください。
また、「恋する南アフリカ~美しきワインの国~」
http://www.wsca.jp/wosa/index.html か ら の 出 題 も あ り ま す 。 指 南 を し っ か り 勉 強 し て
いただけば合格します。
全体の重要ポイント No.2
Part4
①
②
③
ぶどう品種
生産量の多い白ワイン品種(P44~P45)

代表的な白品種の多い順

シュナン・ブランとソーヴィン・ブラン

ケープ・リースリング
生産量の多い赤品種(P46~P47)

ピノタージュ

シラーズ
その他のワインスタイル(P48~P49)

ケープブレンド

キャップ・クラシック

グレート・コンスタンシア
Part5 ワイン法
①
WO の構造(P51)

州域、地域、地区、小地区
②
ラベル表記(P52)

産地名の記載のについて
1
③
品質保証と持続可能性シール(P53)

2 つの新しい認定シールと導入年
➡
<ワイン原産地名称>
①
➡
(P54~P55)
主要産地名
<西ケープ州>

ブレード・リヴァー・ヴァレー(ロバートソン、ウスター)

ケープ・サウス・コースト(エリム、エルギン、ウォーカー・ベイ)

コースタル・リジョン(ダーリン、フランシュック、パール、ステレンボッシュ、タルバック、
コンスタンシア)

Part6
オリファンツ・リヴァー
ワイン生産地
①
南アフリカのぶどう栽培地域(P57)

西ケープ州の上記主要産地の地図上の位置
②
西ケープ州(P58~68)

産地の特徴
●ブレード・リヴァー・ヴァレー(ロバートソン、ウスター)
●ケープ・サウス・コースト(エルギン、ウォーカー・ベイ)
●コースタル・リジョン(フランシュック、ステレンボッシュ、コンスタンシア)
・その他、小論文(200 字程度)
① 南アフリカの環境維持のためにワイナリーが取り組んでいる事柄
② 南アフリカワインについての考えや思い出
③ ワイナリーやワインについて
指南2回目の説明と模擬問題
■ぶどう品種
・南アフリカのぶどう畑の総面積は、約 10 万 ha で、その内 55%が白ワイン用品種、45%が赤ワイン用品種の
割合です。ワイン業界のグローバリゼーションに対応すべく、世界市場に適した品種への移行が進み、近年は
40%以上のぶどう畑で植え替えが行われ、新しく作付けされた畑のほとんどが赤ワイン用品種となっています。
・古くから広く栽培されているシュナン・ブランが最も栽培面積の広い品種ですが、減少傾向にあり、ソーヴィ
ニョン・ブランやシャルドネ、シラーズ、ピノ・ノワールが栽培面積を広げています。
(白品種:2012 年の生産量の多い順)
1. シュナン・ブラン 2. コロンバール 3. ソーヴィニョン・ブラン 4. シャルドネ
2
(赤品種:2012 年生産量の多い順)
1.カベルネ・ソーヴィニョン 2.シラーズ 3.ピノタージュ 4.メルロ
・シュナン・ブランはケープ地方で古くから広く栽培され、栽培面積が最大の品種です。果実の風味を最大限に
生かしフレッシュさを保ちながら、オークの香りは極力控えて、果実味とのバランスを大切にする方法を取っ
ています。別名「スティーン」という言葉は、今ではほとんど使われることがなくなっています。
・ソーヴィニョン・ブランは冷涼なワイン産地に適応した品種として確立されました。栽培面積も大幅に増加傾
向にあり、国際的な品評会で高い評価を得ています。
・シャルドネはステンレスタンク発酵のアンオークドや、樽発酵やオーク熟成と、様々なスタイルのワインが生
産されています。ロバートソンで造られたワインが高い評価を得、瞬く間に有名になりました。
・コロンバールは生産量が 2 番目に多い品種で、主にブランデーの原料になっています。
・マスカット・アレキサンドリアは 1650 年代にケープ初代総領事ヤン・ファン・リーベックによってスペイン
から南アフリカに導入された品種で、白い花と蜂蜜の風味が特徴的な甘口のデザートワインが造られています。
・ケープ・リースリングはリースリングと思われていましたが、フランス原産のクルーシェン・ブランであるこ
とが分かりました。
・ピノタージュは 1925 年、アブラハム・ペロード教授によってピノ・ノワールとサン
ソーの交配で生まれた南アフリカ独自の品種で、ピノ・ノワールのフィネスとサンソーの汎用性の特性を兼ね
備えています。
・カベルネ・ソーヴィニョンは南アフリカのテロワールに合った品種で、ケープ地方でその重要性がますます高
くなっています。
・シラーズ(シラー)は暖かい気候に向く品種で、急激に広がり、特にステレンボッシュでは高品質ワインの品
種として注目され、この 10 年ほどで栽培面積が 2 倍にまで広がっています。
・サンソーは 1970 年代までは「エルミタージュ」と呼ばれて広く栽培されていました。他の高級品種の植え替
えが進み、現在はロゼワイン用品種として新たに注目されています。
・ピノ・ノワールは 10 年で栽培面積を 2 倍に増やし、冷涼地でのぶどう栽培が広がるにともない、期待できる
品種といえます。
<その他のワインスタイル>
・ボルドーブレンド(赤)は 1979 年にパールにある「ウエルゲミーンド・ワイナリー」で最初に造られ、その
翌年、ステレンボッシュの「ミヤルスト」ワイナリーが発売した「ルビコン」が高い評価を得たことによって、
ワインのカテゴリーとして定着しています。
・ケープブレンド(赤)2000 年頃から、生産者の間ではピノタージュを使用した「ケープブレンド」を造ろうと
する気運が生まれました。ワインは最低 30%、最大で 70%までピノタージュを使うことが義務付けられてい
ます。
・南アフリカの甘口ワインの歴史は、18 世紀後半にヨーロッパで高い評価を受けた「グレート・コンスタンシ
ア」にさかのぼります。
・キャプ・クラッシック(メトード・キャップ・クラシック)は 1992 年にワイン法で制定された、瓶内二次発
酵によって造られたスパークリングワインのことです。品種の規定はありません。
3
問 1.次は白ぶどう品種で栽培面積の多い順に書かれています。空欄に当てはまる品種名を書いてください。
1
① シュナン・ブラン
2
コロンバール
3
② ソーヴィニョン・ブラン
4
③ シャルドネ
5
マスカッット・アレキサンドリア
6
セミヨン
7
ヴィオニエ
8
ミュスカ・ド・フロンティニャン
問2.次の説明に合う品種を選んでください。
(1)生産量が 2 番目に多い品種で、主にブランデーの原料になっています。コロンバール
(2)暖かい気候に向く品種で、急激に広がり、この 10 年ほどで栽培面積が 2 倍にまで広がっています。シラ
ーズ(シラー)
(3)栽培面積が最大の白品種です。別名「スティーン」という言葉は、今ではほとんど使われることがなくな
っています。シュナン・ブラン
(4)ロバートソンで造られたワインが高い評価を得、瞬く間に有名になりました。シャルドネ
(5)は 1970 年代までは「エルミタージュ」と呼ばれて広く栽培されていました。他の高級品種の植え替えが
進み、現在はロゼワイン用品種として新たに注目されています。サンソー
ソーヴィニョン・ブラン
サンソー
シラーズ(シラー)
シュナン・ブラン
ピノ・ノワール
コロンバール
問3.次の説明に当てはまるワインのスタイルを選んでください。
(1)2000 年頃から生まれた新しいスタイルのワインで、ワインは最低 30%、最大で 70%までピノタージュを
使うことが義務付けられていています。②
(2)最初にこのスタイルのワインが造られたのは 1979 年、パールにおいてでした。翌年にはステレンボッシ
ュのワイナリーで造られた「ルビコン」ワインが高い評価を得ました。①
(3)1992 年に制定されたフランスのシャンパーニュの製造と同じ方法の瓶内二次発酵によって造られたスパ
ークリングワイン。③
① ボルドー・ブレンド
② ケープブレンド
③ キャップ・クラシック
■WO の構造
・1973 年に WO(Wine Of Origin)が制定され、1993 年に改定された時に州域(GU)の規定が設けられた。
1. 州域-GU
西ケープ州、北ケープ州、東ケープ州、クワズール・ナタール州そしてリンポポ州の 5 州が制定されています。
4
2. 地域(Region)は、州域の中にあり、現在指定されているのは西ケープ州のみで、
ブレード・リヴァー・ヴァレー、ケープ・サウス・コースト、コースタル・リジョン、クレイン・カルー、オ
リファンツ・リヴァーがあります。
3. 地区(District)は、基本的には地域内(リジョン)内にある産地です
4. 小地区(Ward)は最少の生産地区名の単位で、有名な小地区にはマルムスベリーと
コンスタンシアがあります。
問4. 次の WO の構造の①と②に当てはまる名前を書いてください。
州域(GU)
①
地区(District)
②
①
地域又はリジョン(Region) ②小地区又はウォード(Ward)
■ラベル表示
・生産地名(WO)は記載の産地のぶどうを 100%使用しなければいけません。
・94 品種がワイン醸造用として承認されています。ぶどう品種名は、含有量の 85%以上を使用している場合に
は品種名を表記できます。
3.記載されている年に収穫されたぶどうを 85%以上使用している場合はヴィンテージを表記できます。
■品質保証と持続可能性シール
・品質保証シールは、ワインのラベルの記載が真実であることの証明です。認 識番号は、
「ワイン&スピリッツ
常任委員会」の責任によって管理されています。
・2010 年から使われるようになったのは、IPW ガイドラインと品質保証の両方を 1 枚に重ね合わせた、
「持続可
能な南アフリカワイン」
(SWSA)認定シールです。シールを使用するワイナリーは 3 年ごとに検査を受けるこ
とが義務づけられています。
・2012 年にはさらに新しいシールの導入が決まりました。それは、自然環境保護に加え、就労者の労働環境に配
慮したワイナリーを対象とした新しい指標で、シールには IPW と W IETA のロゴマークが配置されています。
問5.次の文章や説明が正しい場合は(〇)を間違っている場合は(×)を記入してください。
1.
(×)生産地名(WO)をラベルに記載する場合は記載産地のぶどうを最低 85%以上使用しなければいけませ
ん。
2.
(〇)ぶどう品種名を記載する場合は、EU のワイン本と同じように、含有量の 85%以上を使用しなければな
りません。
3.
(×)次のシールは最も新しく 2012 年に制定されたシールで、ワイン&スピリッツ常任委員会の規定の他、
自然環境を守ったシールです。
5
■ワイン生産地
・57P の地図で代表的な産地が分かるようにしておいてください。
問6.次の産地を地図の番号で答えなさい。
A. ロバートソン 25
B. ウスター 24
C. エルギン 19
D. ウォーカー・ベイ 15
E. フランシュック 8
F. パール 7
G. ステレンボッシュ 2
H. コンスタンシア 5
■南アフリカのワイン産地
・南アフリカのぶどう栽培地域は西ケープ州に集中しています。西ケープ州は州都ケープタウンで知られますが、
6
ぶどう栽培は沿岸地域の険しい山々や複雑に入り組んだ斜面から主に、河川に沿った盆地状の平原に広がってい
ます。
・気候条件も多様で、コンスタンシアなどの海岸側の降水量は年間 1,000mm 近くにもなりますが、ひと山越え
るとまるで砂漠のような気候となります。
<生産量の多い地域>
1.ステレンボッシュ、2.パール、3. ロバートソン
●ブレード・リヴァー・ヴァレー地域は石灰質土壌のロバートソン地区で有名になりました。
ブレード川では早朝に霧が発生し、南東からの涼しい風が川を伝わり、雨量が年間 400mm と乾燥した土地に栽
培されるぶどうに湿度を与えてくれます。
・ロバートソン地区は石灰質が豊富な土壌で、白ワインの産地として、特にシャルドネは古くから高い評価を得
ています
・ウスター地区は歴史の古い産地で、世界最大のブランデー蒸留所「KWV ブランデーセラー」があります。
●ケープ・サウス・コーストは西ケープ州の最南端に広がる、海岸から内陸にかけて入った、小さなワイン産地
です。近年、冷涼な産地でのワイン造りが注目され、高品質ワイン造りを行うブティックワイナリーが増えてい
る、新しい産地です。
・エルギンは標高の高い、冷涼な気候の産地で、古くからリンゴの栽培が盛んです。果実味とエレガントさを持
ったワインが造られ、シャルドネ、リースリング、ソーヴィニョン・ブラン、ピノ・ノワールとシラーズ栽培さ
れています。
・ハーマナスの海辺の町を取り巻くウォーカー・ベイ地区はシャルドネとピノ・ノワールのワインによって高い
評価を受けています。また、卓越したピノタージュの生産でも知られ始めるようになりました。
●コースタル・リジョンはステレンボッシュ地区、パール地区、スワートランド地区、フランシュック地区そし
てコンスタンシア小地区、ダーバンヴィル小地区など、州都のケープタウンからほぼ 100km 圏内にあり、南ア
フリカワインの中心産地が広がっています。
・ダーリンはケープタウンから車で 1 時間ほどの距離にあり、ワインルートそして海岸沿いの観光の要所ともな
っています。大西洋に近い産地では冷涼な海風の影響を受け、ソーヴィニョン・ブランで有名になりました。
・ フランシュックの地区は、フランスのユグノー派の人々によって開かれた地域です。雨量も多く年間 900〜
1,050mm ほどになります。標高の高いフランシュック・ヴァレーの斜面に広がる畑でぶどう栽培が行われてお
り、特にシュナン・ブランから造られるスパークリングワインは古くからの歴史を持っています。
・ パール地区の中心地パール市には大きな花崗岩の山があり、その形と色から「真珠」と呼ばれる名前がつき
ました。歴史的にもまた生産量においても重要なワイン産地で、1918 年から続く KWV の本社がある街です。
カベルネ・ソーヴィニョン、ピノタージュ、シ
ラーズ、シャルドネと、シュナン・ブランが主要品種として挙げられます。
・ステレンボッシュ地区は「オーク樹の街」の意味を持つステレンボッシュ市が中心地で、 ワインの歴史も古
く、17 世紀後半に遡る伝統を誇っています。山岳地帯、適度な降雨、深い水はけのよい土壌と多様なテロワール
によって、高品質のワインが造られ、有名なワイナリーを含め約 150 のワイナリーがこの地域に集まっていま
す。
・コンスタンシア小地区はテーブルマウンテン山脈の南斜面に位置する、ワイン醸造の発祥の地です。17 世紀に
サイモン・ファン・デール・スティルが創設したワイナリーがあり、18 世紀にヨーロッパ全土で有名になったコ
7
ンスタン・デザートワインの起源の場所です。フォールス湾から吹く涼しい海風の恩恵を受けたコンスタンシア
バーグの東向きの斜面に畑が広がっています。雨量は年間約 1,000mm と灌漑が不要の数少ないワン山地です。
●
オリファンツ・リヴァー地域はオリファンツ川に沿って北から南へ広がっています。夏期は南アフリカの他
のワイン産地と比べると相対的に暖かく、雨量も少ない地域です。西海岸地区のバンボス・ベイで造られるソー
ヴィニョン・ブランは高評価に値する素晴らしい品質です。
問7.次の産地の説明に当てはまる、産地名を選んでください。
(1)標高の高い、冷涼な気候の産地で、古くからリンゴの栽培が盛んです。ャルドネ、リースリング、ソーヴ
ィニョン・ブラン、ピノ・ノワールとシラーズ栽培されています。エルギン地区
(2)花崗岩の山があり、その形と色から「真珠」と呼ばれる名前がつきました。カベルネ・ソーヴィニョン、
ピノタージュ、シラーズ、シャルドネと、シュナン・ブランが主要品種として挙げられます。パール地区
(3)
「オーク樹の街」の意味を持ち、高品質のワインが造られ、有名なワイナリーを含め約 150 のワイナリー
がこの地域に集まっています。ステレンボッシュ地区
(4)石灰質土壌のロバートソン地区で有名になった地域。ブレード・リヴァー・ヴァレー地域
(5)冷涼なハーマナスの海辺の町を取り巻く地区ではシャルドネとピノ・ノワールの他、ピノタージュの生産
でも知られ始めるようになりました。ウォーカー・ベイ地区
(6)フランスのユグノー派の人々によって開かれ、雨量も多く標高の高い産地です。特にシュナン・ブランか
ら造られるスパークリングワインは古くからの歴史を持っています。フランシュック地区
(7)古い産地で、世界最大のブランデー蒸留所「KWV ブランデーセラー」があります。ウスター地区
(8)はテーブルマウンテン山脈の南斜面に位置する、ワイン醸造の発祥の地です。18 世紀にヨーロッパ全土で
有名になったコンスタン・デザートワインの起源の場所です。コンスタンシア小地区
パール地区
ステレンボッシュ地区
コンスタンシア小地区
エルギン地区
ウォーカー・ベイ地区
ウスター地区
ブレード・リヴァー・ヴァレー地域
フランシュック地区
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