第2学年 題材名「守ろう自分の命~通学路で地震が起きたら~」

第2学年 題材名「守ろう自分の命~通学路で地震が起きたら~」
1 題材について
紀伊半島から四国沖を発生場所とする東南海・南海地震は、M8クラスと想定され、いつ起きてもおかしく
ない状況にある。それに伴う津波も、瀬戸内海に数メートルの高さに達すると予想されている。そのため、い
かに安全に自らの命を守り抜くか、わたしたちの防災意識を高めていくことが大切である。そこで、低学年時
においても、登下校時に、地震が起きた場合の自分の身の守り方について学習しておくことは不可欠である。
2 目標
登下校時に地震が起きた場合、起こりうると予想した危険から自分の身を守るために何ができるのか、考え
ることができる。
3 授業の様子
(1) いかに自分たちの問題として学習問題を設定するかを大切にする。
事前に、児童は、保護者と共に通学路を歩き、そこで起こ
りうる危険を予測し、ワークシートに記入しておいた。また、
被災地の2年生の作文に感想を書いたり、アンケートの結果
を提示したりした。さらに、地震の映像を見せ、経験のない
地震の状況を知らせようとした。これらのことから、通学路
でもし地震が起きたらという不安や恐怖を感じさせ、自分の
身の守り方を知らなければという課題意識をもたせるのに
有効であった。
<通学路の危険なことを記したワークシート>
(2) 自分の身を守る正しい方法を知り、それを実践する。
消防士さんをお招きして、通学路上での危険からの身
の守り方についてのお話を聞いた。
「はってでも逃げる。
」
「建物が壊れるから、中にじっととどまっておらず、飛
び出す。
」など、予想もしなかった逃げ方を聞き、改めて
地震のこわさを知る貴重な説明となった。通学路上で
様々な危険に対応した逃げ方ができるのかと不安に思う
ところであるが、最後は自分の命は自分で守るという強
い気持ちをもつことができた。
(3) 自分の考えた身の守り方を実践するために
<各自の危険からの身の守り方>
各家庭で、事前に考えていた通学路上で起こるであ
ろう危険をもう一度確認し、その上でどのように逃げ
ればよいのかを話し合ってもらった。授業で学習した
ことも伝え、通学路の安全確保がより明確になり、保
護者の安全に関する意識も少し高めることができたよ
うに思う。 <消防士さんの話を聞いて考えた身の守り方>
4 成果と課題
(1) 成果
・ 避難訓練の経験や学活の防災学習から、もし地震が起きても自分で考えて判断して行動できるという考
えをもつ児童が多くなった。また、予告なしの避難訓練においても、避難する時の「お・は・し・も」の
約束を守って、落ち着いて逃げることができるようになってきている。
・ 保護者が協力的によく動いてくださるので、学校と家庭が同じ歩調で取り組むことができている。
(2) 課題
・ 児童に自分の課題であるととらえさせる導入の段階の扱いが非常に難しい。児童の実態の問題点をどう
取り上げどう扱うかが問われるところである。
・ 災害について専門的な知識をもっている消防士さんから詳しい情報を話していただくことはとてもよ
いと思われるが、何をどう話してもらうのかの事前の打ち合わせがかなり重要である。
・ 学活45分間の授業の中で、課題意識をもたせて、課題解決、実践化という一連の流れの授業をするこ
とは困難であるので、本時どの部分に重点を置くのかを明確にして、そこに時間をかけて進めていくべき
である。できなかった部分については、他の時間をうまく活用して行うことが必要になってくる。
児童の意識の広がりや深まり
登下校中に、こんなに激しい地震がくると、どうしたらいいのだろう。
自分たちだけで、危険から逃れて安全に避難できるのだろうか。
登下校時の地震から、自分の命をまもる方法を考えよう。
2 地震が起きた場合、自分の
通学路で起こりうる危険を回
避する方法を考え、発表する。
3 消防士の方の話を聞き、自
分たちが考えた危険の回避の
仕方をよりよいものにする。
4 本時の学習のまとめをす
る。
ブロッ
ク塀がた
おれてく
るから,
離れよ
う。
屋 根
瓦が落
ちてく
るから、
離れる。
自動販
売機がた
おれてく
るから、近
づかない。
電信 柱が
おれて、電線
がたれてく
るから、近寄
らない。ふれ
ない。
車がつ
っこ んで
くる かも
しれ ない
から,離れ
る。
自動販売機や電信柱など、ふだん何とも思わずに側を通っているけれ
ど、災害時には危険な凶器になるんだね。
・・・・・・・・・・・・・
これらの危険から離れて、学校、公園、広場、農地など、広くて倒壊
や落下物の恐れのないところがあれば、そこへ逃げ込もう。
また、津波の心配がある時は、高いところへ逃げないとたいへんなこ
とになる。
まずは、落ち着いて行動しないとね。
頭を守りながら、これらの危険なものから離れて、広くて安全な場所
へ逃げないといけないね。津波の心配がある時は、高い所へ逃げよう。
落ち着いて行動しよう。
家でも、今日学習したことを伝えて、実際に家の人と通学路を歩いて、
危険箇所や安全な避難場所を確認しておこう。これまで不安だったこと
が、解決されてよかった。
教師の支援と評価(◎個への支援)
○ 地震の映像を見せて、その状況を自分たちの通学路
と重ね合わせて考えるようにしたり、地震についての
意識調査の結果を提示したりして、学習課題への意欲
づけを図る。
○ 事前に通学路のワークシートに予測して書いていた
ものを基に、その危険を回避する方法を考え、本時の
ワークシートに書き込むようにする。
○ みんなの通学路に共通する危険や、自分の通学路に
しかない危険をどのように回避すればよいのか、発表
するようにする。
○ 消防士の方に、これらの危険を回避する対処の仕方
について話していただき、自分に必要な内容を書き留
めるようにする。また、児童が予測できなかった危険
があれば、それについてもふれてもらうようにする。
○ 話から十分に分かりにくいことがあれば、積極的に
質問するようにすすめる。
○ 同じような危険であっても、対処の仕方が違う場合
はどうすればよいのかよく話し合い、よりよい対処の
仕方を見つけるようにする。
評 自分の通学路で起こりうる危険についての対処の仕
方を考え、書き留めることができたか。
◎ 十分に書けていない児童には、今の話の内容につい
てもう一度説明し、一緒に考えて書くようにする。
評 危険物からすぐさま離れたら、広くて安全で高い場
所へ逃げることがまとめられたか。
◎ 書けない児童には、板書を参考にして書くようにす
すめる。
○ 家庭へ、今日の学習内容を伝え、通学路を実際に親
子で歩き、どこが危険箇所や避難場所になるのか確認
してもらうようにする。
5 学習指導過程
学習活動
1 本時の学習課題をつかむ。