事前調査・検討 ∼温度センサの扱い方∼

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精度出しの第 1 歩は,
適切なセンサのドライブ方法の見極め
第2章
事前調査・検討
∼温度センサの扱い方∼
中村 黄三
回路内での信号処理は電圧がベースなので,抵抗性信号源である RTD をド
ライブして電圧で引き出す(R −V 変換する)必要があります.本章では,ベスト
な R −V 変換および本体との接続方法について考察し,選択します.
接励起する方法[図 1
(a)]と,電流制限抵抗(負荷抵抗)
を介して定電圧源に接続する方法[図 1(b)]とがあ
ります.いずれも,
Pt100 の両端電圧を電圧出力V O(以
RTD のR −V 変換方式の検討
■ 抵抗性信号源の励起によるR −V 変換
● 励起やR −V 変換とは何か
Pt100 のような抵抗値の変化を信号とする信号原を,
抵抗性信号源と呼びます.抵抗性の信号に対して回路
における信号処理は電圧ベースなので,抵抗性から電
圧への信号変換(以下,R −V 変換)が必要です.R −V
変換とは,抵抗性信号源に電流を流すことで発生する
両端電圧を,電圧性信号として取り出す変換方式です.
ここで,抵抗性信号源(ここでは Pt100)のような能動
素子に,
電流や電圧を与えて活性化する措置を励起(エ
キサイテーション)と呼び,ストレイン・ゲージなど
の他の抵抗性信号源にも用語として同様に使われてい
ます.
● 励起の方法
電流を流す方法として,Pt100 を定電流源により直
下,センサV O )として取り出します.
図 1
(a)に示した定電流源(丸に矢印のシンボル)は,
実際に回路で組むとなるとかなり複雑になり,コスト
面から見ると負荷抵抗 1 本で済む図 1(b)の電圧励起方
式の方が有利です.
● シミュレーションにより励起方法の回路方式を検討
ならば 即,電圧励起を採用 とするのは早計です.
この構想設計の段階で,回路方式に関して慎重に検討
する必要があります.何の調査もせずに決めてしまう
と後でツケが回ってくるかもしれません.幸い現在で
は,部品購入費と製作労力が発生しない,回路シミュ
レータを使う解析という手段があるので,候補回路の
全てを前もって評価することができます.
▶電子回路シミュレータもフリーで入手
シミュレータも同じくフリーで入手できる TINA−
TI の Ver.9 日本語版
(以下,シミュレータ)を使います.
負荷抵抗
電圧出力
RL
VO
IS
100Ω
VE
IE
0.2V
Rt
Pt100
100Ω
at 0℃
Rt
抵抗性信号源
励起電流源
Pt100
100Ω
at 0℃
抵抗性信号源
励起電圧源
(a)電流励起による R −V 変換
Pt100に電流を流し,その両端電圧を
電圧出力
(VO )として取り出す方法
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電圧出力
VO
IE
第 2 章 事前調査・検討 ∼温度センサの扱い方∼
(b)電圧励起による R −V 変換
RL とPt100との分圧効果により
電圧出力(VO )を得る方法
図1
抵抗性信号(Pt100)から電
圧信号に変換(R −V 変換)
する方法