第2部 製作編

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第 2 部 製作編
目標仕様から製品開発の流れでは,
事前に立てる動作・性能のプランが重要
構想設計∼原理試作の結果を検
証して実用化への構想を練る∼
中村 黄三
構想設計とは事前に問題点を整理して未知数を最小化する工程で,これを怠
るとドツボにはまります.本章では,一次試作時の問題などを反映して,より
完成度の高い製品開発をするための多岐にわたる構想設計について解説します.
難易度が高い新規設計では,通常,一次試作
(原理
試作)をしてから二次試作(本試作・量産試作)をしま
す.システムの規模が大きい場合はブロックごとに分
けて行い,これを要素設計または要素開発と呼びます.
いずれにせよ,こうした原理試作は失敗のリスクを
低く抑えるのに有効な手段です.筆者の経験として,
時間がないからと一次試作を省略すると,ドツボには
まり時間を空費するだけに終わったこともあります.
一次試作と二次試作を行う上での重要なポイントは,
一次試作の結果
(良いことも悪いことも)に対して,そ
の原因の調査と検討を納得できるまで行った上で,次
の二次試作に反映させることです.はからずも今回の
温度計は同じプロセスを経て完成したので,一次試作
のコンセプトとその結果に対する検討内容について,
現実に筆者が思考した通りに話を進めていきます.
!
第1部
A㿌D変換ICを使いこなす
第4章
原理試作の検討内容と方法
■ 一次試作の結果に対する評価・検討
● 一次試作における設計コンセプト
一次試作の結果に対する評価・検討内容を紹介する
VANA はアナログ用電源,VDIG はディジタル用電源,
VMID は中点電位.REF1,REF2は基準電圧源
DPMはディジタル・パネル・メータ
(市販品)
出力はVMID 基準で,0∼200℃に対応した0∼2V
(例:A 8, 9 はOPアンプ2個使用)
A はOPアンプを表し,数字の添え文字は連番で使用個数を反映
A 2 ,A 4 がINA2132
記載なきI C型番は,A 1, A 3, A 6, A 6 ∼ A 9 がOPA333×6個,
(デュアルI NA)
×1個
表示部
DPM
199.99℃
A 1, 2
VANA 5V
電源
VDIG 3.3V
REF3012
無補正出力
REF1
A 3, 4
1.25V
REF2
2.5∼4.5V
補正用
A
Pt100
A5
A7
INA333
100Ω
基準抵抗
24ビット
ADC
ADS1247
MPU
MSP430
G2402
20ビット
DAC
DAC1220
A 10
補正出力
INA333
0.5∼2.5V
グラウンド基準
B
B
A 8, 9
VMID
A6
2.5V
図 1 一次試作で製作した回路のブロック図
原理試作の検討内容と方法
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第2部
精密温度計の設計と製作
ディスクリート定電流源