スライド51-59

多呼吸の有無と洗浄喀痰培養成績
1歳未満
多呼吸
+
−
細菌性
4
4
ウイルス性
8
18
感 度:50.0%
特異度:69.2%
1∼4歳
多呼吸
+
−
細菌性
23
5
ウイルス性
16
41
感 度:82.2%
特異度:71.9%
千葉市立海浜病院小児科
小児肺炎におけるスコアリ
ングを用いた細菌性肺炎と
非定型肺炎の鑑別の試み
方法
千葉県内の5病院で小児市中肺炎症例を診療録・看護記録 より後方視的に検討した。
細菌性肺炎
血液培養または喀痰培養で起炎病原体が優位に分離され 臨床的に抗菌薬治療が有効であったもの
非定型肺炎
・ 肺炎マイコプラズマ:血清抗体価(PA法)が単血清で1280倍以上、
または急性期と回復期で4倍以上上昇
・ 肺炎クラミジア:血清抗体価(EIA法)でIgGのindexが
急性期と回復期で1.35以上上昇
かつ、培養結果や臨床経過より混合感染が否定的であったもの
症状・所見の10項目
① 年齢が6歳以上
② 基礎疾患がない
③ βラクタム系の抗菌薬の前投与がある
④ マクロライド系の抗菌薬の前投与がない
⑤ 全身状態が良好である
⑥ 乾性咳嗽である
⑦ 眼脂が無い
⑧ 中耳炎合併が無い
⑨ 胸部聴診上cracklesが聴取されない
⑩ 胸部レントゲン写真上、肺炎像が区域性である
10項目のスコアの分布
スコア
1
2 3
4
5
6
7
非定型
0
肺炎
0 1
3
6 13 14 6
細菌性
0
肺炎
1 9 17 17 5
1
8
0
9 10 計
4
3
50
0
0
50
感度・特異度
スコア
1 ∼5
6∼10
計
非定型肺炎
10
40
50
細菌性肺炎
44
6
50
54
46
100
10項目中6項目以上合致した場合 非定型肺炎疑い
10項目中5項目以下の合致
細菌性肺炎疑い
この場合の非定型肺炎の感度は80%、特異度は88%
小児重症細菌感染症の鑑別ポイント
正常(1点)
中等度の異常(3点)
重度の異常(5点)
泣き方
強くしっかり泣く
満足げで泣かない
ぐずり泣き
泣きじゃくり
弱々しくうめき泣く
甲高い声で泣く
抱っこでの反応
短く泣きやむ
満足げで泣かない
泣いたり泣き止んだり
泣き続ける
ほとんど反応がない
起きているかどうか
起きている
刺激ですぐ起きる
少し開眼し起きる
長い刺激で起きる
目覚めない
眠ってしまう
皮膚色
ピンク色
四肢蒼白
末梢チアノーゼ
全身チアノーゼ
大理石様
脱水の有無
皮膚/眼/口唇正常
皮膚/眼/口唇軽度乾燥
皮膚の緊張がなく,
眼は落ち込み口唇乾
く
あやした時の反応
笑顔,すぐ反応
少し笑う,少し反応
笑わない
表情乏しい
反応しない
(McCarthy PL et al. Pediatrics 1982; 70: 802-9)
*合計16点以上で重症細菌感染症の可能性が高い。
まとめと今後の課題(2)
・ 多呼吸の有無により、細菌性肺炎とウイルス性肺炎はある程
度鑑別可能。(ただし1歳未満では感度・特異度が低下する。)
・ 10項目を用いたスコアリングによる細菌性・非定型肺炎の鑑
別は充分な感度・特異度が得られた。
• この鑑別方法に呼吸数、全身状態の評価(重症度)を加えた
コアリングシステムを作成し、より的確に抗菌薬投与を行える
指標としたい。
・ しかし、実用的にするためには項目数を減らし(5項目程度)簡
潔でわかりやすくすることが必要。
乳幼児の肺炎対策
発熱・気道症状
コミュニティレベル
呼吸数・スコアシステム
重症例
病院・診療所へ
軽症例
自宅で対症療法
ホスピタルレベル
スコアシステム・喀痰塗抹検査・
マラリア検査*
非細菌性肺炎疑い
脱水に対する治療
*マラリア侵淫度の高い地域
細菌性肺炎疑い
マラリア陽性であれば
抗マラリア薬投与
抗菌薬投与
ST合剤 (AMPC)
CP (ABPC+GM)