平成 27 年度 京都女子大学大学院・京都女子大学入学式

平成 27 年度
京都女子大学大学院・京都女子大学入学式
学長式辞
例年のとおり京都東山の桜が満開となり、新入生をお迎えするときが来し
ました。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
保護者、ご家族の皆様にも、心からお祝いを申し上げます。また、大谷範
子名誉学長様並びにご来賓の皆様には、本日の入学式にご臨席いただきまし
たこと、誠にありがとうございます。
さて、新入生の皆さんは様ざまな思いを抱いて本日の入学式を迎えたこと
と思います。皆さんはそれぞれの形で、これからの大学生活への希望や期待
を抱かれていると思います。その一人ひとりの希望や期待を大切にしていた
だきたいと思います。大学での学びの基本は、学生一人ひとりが科目を選び
ながら、それぞれの学びの形を創っていくことにあります。もちろん、全学
共通の必修科目や、学部や学科で共通の必修科目もありますが、皆さんが履
修する科目の大部分は、皆さんの選択によって決まります。大学で何をどの
ように学ぶのかということは多様で、卒業の時点で見ると、おそらく皆さん
の間で全く同じ形の学びはないはずです。
自分自身で科目を選択しながら、好みの学びの形を作っていくということ
は、高校までの学びにはなかったことです。それは、大きな喜びを伴うとい
えますが、同時にそれはそれなりに悩みが伴い、それを負担と感じる学生さ
んもいることでしょう。私は、自らの責任で一つひとつの選択を行うこと自
体が、大学で学ぶべき重要な事柄であると思っています。大学は学校制度の
中での学びの最終ステージであり、社会へと旅立つための準備をする場とい
うことになります。社会で生きるということは、自らの責任で選択を行うと
いうことだいえます。自ら選ぶということの意義を理解し、それに伴う喜び
を身につけてください。
大学では様ざまな資格を取得することができます。資格取得に挑戦するこ
とは素晴らしいことです。是非、チャレンジしてください。また、実社会で
必要な専門知識を身につけることも大切です。しかし、同時に次のことも申
し上げておこうと思います。特定の職業に就くためには資格が必要となりま
すし、職業によっては一定の専門的知識も求められるでしょう。しかし、資
格や専門知識を身につければ社会が受け入れてくれる、とは考えないでくだ
さい。社会が大学卒業生に求めるものは何かという調査をすると必ず、大学
卒業生にふさわしいコミュニケーション能力という答えが返ってきます。お
そらくそれに加えて、問題発見能力や発想力などもあがってくるかもしれま
せん。
大学での様ざまな講義、演習、実習などの授業の中で、教員との対話や学
生同士の議論などをとおしてそのような能力を培っていくことになります。
大学は、単なる知識や技術の習得にとどまらず、コミュニケーション能力や
発想力を鍛える場である、ということを意識しながら学んでください。その
場合、大学の教育は授業時間外での学びが前提となっています。大学は、何
かを教えてもらう場ではなく、自ら学ぶ能力を身につける場なのです。大学
教育で最も重要なことは、新しい知識やスキルを獲得する力を養うことです。
いま、世界は、グローバル化と情報通信技術の急速な進展によって、大き
な変動の時代を迎えています。大学卒業後も皆さんは絶えず新しい知識、新
しいものの考え方を学ぶことを求められます。大学時代に学ぶ喜びを知るこ
とは何よりも皆さんの力となるはずです。
その上でもうひとつ申し上げます。どうか大学生活を楽しんでください。
サークル活動、ボランティア活動、アルバイトもまた皆さんの人間形成に有
益でしょう。また、それらを通して得た友人は生涯の友となるでしょう。京
都という都市で学ぶという地の利もぜひ生かしてください。長い歴史の中で
造られたこの都市は学ぶ場としても無限の魅力を持っています。それと同時
に、この都市は世界に開かれた国際都市でもあります。京都という場から世
界を見る視野も養ってください。
また、大学院に進学された皆さんにも一言、お祝いの言葉を述べます。皆
さんは学士課程を終えて、さらに大学院で研鑽を積もうとしています。研究
者を目指す人、より高いレベルの知識やスキルの獲得を目指す人、さらには
大学院レベルでの資格を得て高度専門職を目指す人など、その目的も様ざま
です。いずれの場合においても、学ぶこと、研究をすることの苦しさと喜び
を経験することになると思います。その経験は、皆さんの生涯の生きる糧と
なると信じています。
いま、京都女子大学では「学生と教職員がともに学び、ともに成長する大
学」を目指そうとしています。ともに学びましょう。そして、変化の時代に
ふさわしい、しなやかな知と心を鍛えてください。
最後に、皆さんの大学生活が実り多いものであることを心より念じまして、
私の式辞といたします。
平成27年4月1日
京都女子大学長
林忠行