茶栗柿麩(ちゃくりかきふ)(PDF:6.5KB)

ちゃ
くり
かき
むら
ふ
茶 栗 柿 麩
まえ
しょうしょうあたま
しごと
よわ
あそ
おとこ
はたち
す
前 ある村 に、 少々頭 の弱 い 男 がおって、二十歳を過
せがれ
あきな
おぼ
ぎるというのに仕事もせず遊 ぶばあしとった。
りょうしん
くり
かき
ふ
両親 は、 伜 に 商 いというものを憶 えさせようと、
いっか こ
ちゃ
ざる一荷買うてやって、
い
う
い
だ
ごえ
ひと
う
まち
と
で
ちゃ
ちゃ
べつべつ
﹁ここに、お茶 と、栗 と 、柿 と、麩があるから、これを
まち
おく
町 へ行って売ってこい。﹂
せがれ
おや
と、 伜 を送 り出した。
せがれ
伜 は親 に言われるままに、町 へ出て 、
まわ
まち
よ
﹁チャクリカキフ、チャクリカキフ﹂
なが
か
と、流 して廻 りょうた。
とお
う
通 り掛かった町 の人 が 呼び止めて、
くり
べつべつ
い
ある
なに
う
﹁そねえな売り声 じ ゃ あ売れりゃあせん。茶 は茶 で 別々 、
くり
栗 は栗 で別々 に言うて 歩 かにゃあ、何 う売りょんやら
わかりゃあせんが。
﹂
ちゅうい
ちゃ
べつべつ
くり
くり
べつべつ
せがれ
かき
かき
と、 注意 したそうじゃ。そうしたら 伜 は、
ちゃ
ふ
べつべつ
い
べつべつ
﹁茶 は茶 で 別々 、栗 は栗 で 別々 、柿 は柿 で 別々 、
ふ
ある
麩は麩で 別々 。
﹂
い
と、言う て 、歩 いて行ったてえ。