2015年度 居住支援部会厚労省要望書

2015 年 8月 7 日
厚生労働大臣
殿
グループホーム及び居宅支援に関する要望書
き ょ う さ れ ん
理事長 西村 直
2014 年に批准された障害者権利条約の第19条では、「居住地選択の権利」とともに、居住
地において必要な在宅サービス・居住サービスを受ける権利を謳い、障害のある人の居住支援
の原理・原則を示しています。また「骨格提言」は「一人ひとりがよりその人らしさを発揮できる状
況を生み出し、住民として暮らしていくことが大切である。グループホームは『特定の生活様式を
義務づけられない』ためにも、自分で自分の暮らしを選ぶ、選択肢の一つだと考える必要があ
る。」と述べており、障害のある人の地域での生活のありようが明確に表されています。
障害のある人の居住支援制度は、どんなに障害が重くても地域で安心・安全に暮らすことが
でき、他の者との平等の生活と、「個」としての生活を保障できるものでなくてはなりません。
そのような中、2015 年度報酬改定では、障害の重い利用者への支援にいっそうの厚みをと、
『夜間支援加算』『重度支援加算』の加算変更が行なわれました。
しかしグループホームの基本報酬そのものは微増にとどまり、報酬額が低い為に正規職員や
常勤職員を配置できない事業所も多く、人材確保に苦しむ多くのグループホームの運営は依然
厳しいままとなっています。
なにより障害の重い人たちの生活の場は圧倒的に不足しており、家族の介護を受けられなく
なった障害のある人がショートステイでの生活を続けざるを得ない、いわゆる「ロングショート」が
社会問題化しており、老障介護の現実とともに障害のある人の生活の場をどう確保するかは、深
刻な問題となっています。
そのような実態を踏まえ、全ての障害のある人が安心して地域での生活を送れるよう、以
下のような抜本的な改善策を要望します。
記
○グループホームに関して
1. グループホームで暮らす全ての障害のある人の地域生活が充実したものになる為に、正規
職員の配置や、深夜や休日も含めて支援する職員の安定的な確保が出来るよう、基本報
酬単価の大幅な増額を行うこと。
また、小規模なグループホームが安定的に運営を続けていけるよう、少なくとも世話人・サ
ービス管理責任者の人件費分は月割での支給とすること。
2. 特に障害の重い人への支援では、休日の手厚い支援を必要とする為に、日中支援加算の
休日への対象拡大と全ての対象者への初日からの算定、及び重度障害者支援加算の対
象を拡大し、実態に即した加算に改善すること。
3. 障害者権利条約第 19 条の実現のためにグループホームを大幅に増やすこと。 そのため
に 土地購入・建設・設備整備の補助を拡充・拡大させること。また、新規を含め、全てのグ
ループホームを対象にスプリンクラー等の消防設備補助をおこなう事。
○居宅支援に関して
2015 年度の報酬改定において、居宅介護報酬単価は「介護報酬の動向」に合わせた
改定となり一部減額となりました。もともと居宅支援事業が置かれている現状は、「地
域間格差の問題」
「ヘルパーの慢性的な不足」
「事業所の数が少ない」等、非常に厳しい
状況にありました。今回の減額は、この厳しい運営状態に追い討ちをかけました。ヘル
パーの確保問題は、猶予がならぬ事態です。
居宅支援は、障害のある人の地域生活を支える要となる支援形態です。多くの問題を
解決し、居宅支援を支えるヘルパーの専門性および雇用、支援の継続性の確保のために
は、現状の極めて低い報酬体系を見直し、実態に即した制度に変えていくことが必要で
す。
1.支援区分によって利用できる支援内容や時間が限定されてしまわないよう、当事者・
行政と協議調整を行ないながら、必要な支援が確保できるようにすること。
2.家事援助を、障害のある人が地域で生活をすすめていくために重要な支援事業と位置
づけ、その充実を図ること。
3.専門性の高いヘルパーが継続的に安定して働くことができるよう、基本報酬単価を大
幅に増額すること。