はじめに 腎区動脈の 多列検出器CT(MDCT)血管造影での 造影剤沃素濃度の比較 腎動脈狭窄症(RAS): 成人の高血圧症のおよそ5%の原因、改善の可能性あり RAS原因:75%腎動脈開口部近位のアテローム硬化性疾患、 25%末端の線維筋性形成異常 CTAによる検出:シングル MDCT 新潟大学大学院保健学研究科 B04R107F 羽田野政義 目 的 (1)腎区動脈の画像化におけるMDCTでの CTAの診断性能を評価すること (2)一定の総沃素投与量での 一定の注入速度か一定の沃素投与速度の どちらかで異なる沃素濃度の効果を 調査すること 感度,特異度88−100%,92−98% 感度,特異度86−93%,90−100% 過去の研究は主腎動脈のみの評価 MRAにおいては76%の患者で評価可能 CTAでの研究はまだ不十分。 方法1:対象患者 ・3相肝造影CTを行った120人 ・動脈相での腎CTA作成 ・ベルツブルグ大倫理委員会、 ドイツ連邦放射線防護委員会の承認済み ・すべての患者から同意書を得る ・60歳以上、平均71±6歳、87男性 ・平均体重75±16kg、平均身長170±8cm、 平均BMI26±4.4 ・造影剤禁忌症例を含まず(腎疾患、うっ血性心不全) 1 方法3:撮影,グループ分け,判定 方法2:使用機器 ・4列MDCT:Somatom Volume Zoom 4×1mm , ベット送り5mm/回転(ピッチ1.25) , 500ms/回転 管電圧120kV , 実効mAs155mAs(387mA相当) , 頭尾方向スキャン , スライス厚1.25mm , 再構成増分0.6mm FOV:患者毎 , スキャン平均 18cm,18秒 画 像 再 構 成 : ミ デ ィ ア ム コ ン ボ リ ュ ー シ ョ ン カ ー ネ ル (B40) マトリックス 512×512 横断面+MIP画像(腎動脈走行に合わせた) ・造影剤 イオプロミド (肘正中静脈から注入) ・腹腔動脈レベルの腹部大動脈で造影剤投与後10秒で監視開始 スキャン開始閾値は100HUで、同期後10秒遅れて撮影開始 ・患者は6グループに分割 沃素濃度mg/ml 総量ml 注入速度 沃素投与速度mg/s グループ ・診断画質判定は経験者2名によって点数付けした。n=240 (描出無し:0、描出だけ:1、診断できる:2) ・Kruskal.Wallis テストは6つの手順の比較に使用 ・Mann.Whitney Uテストは同一沃素濃度での異なる注入速度の比較に使用 p<0.05で統計的に有意とした。 結果1 結果2 有意差無し:年齢(p=0.38)、体重(p=0.26)、BMI値(p=0.64) 有意差あり:グループ1-6で 身長(172、169、175、169、167、166cm、p=0.003) グループ 第1分枝 腎動脈分枝の診断画質 第2分枝 第3分枝 第4分枝 サブグループ分析 ・主幹と第1分枝の画質 : 有意差なし ・第2分枝の診断画質 : グループ2で最も良かった ・同一沃素濃度における注入速度の比較 : 有意差なし ・300mg/mlでの単相と2相注入の比較:第2分枝において 単相でより良い描出(p=0.001) 2 結果3 考察1 主腎動脈と第1分枝はすべての患者で診断画質を達成する。 第3分枝と第4分枝は、診断できる画像にならない。 (唯一の有意差)第2分枝:300mg/ml、流速4ml/s、120ml サブグループ分析も直接比較も有意差なし。 300mg/dlでの2相より単相の注入の優位のみを示した。 CTA画像 370mg/ml,4ml/sでの右腎動脈MIP像 第1分枝(1)、第2分枝(2) (点数2点)と 診断できない描出のみの第3分枝(3) (点数1点) 文献上、高濃度CMを推薦。しかし、今回高沃素濃度の有意な利点はなし。 16列以上のMDCTで、高濃度高速注入は第3,第4分枝の画像改善の可能性 粘着性:大口径の静脈カニューレ必要、37℃(予熱)による改善なし、 速度8ml/sで制限。 考察2,結語 問題点 ・侵襲的CTAやMR腎血管造影との比較がない ・提示した試験と異なる造影手順の診断価値は判定できない ・腎区動脈の狭窄症での、大人数調査は困難 (区動脈画質の評価で造影手順の診断性能を評価するのが妥当) ・減衰測定の不足 ・区動脈評価で部分容積効果が問題 ・画質評価は視覚分析のみ 結語 一定総沃素投与量で、主腎動脈と第1分枝が4列MDCTの腎動脈 CTAにおいて、すべて濃度イオプロミドで診断画質を達成する。 腎動脈第2分枝は総量120ml、4ml/s、沃素濃度300mg/mlで最も良 く描出される。 3
© Copyright 2024 ExpyDoc