廃瓦等を利用した環境負荷低減コンクリートブロックの研究開発 流守博・村田 浩行*・青山 宏昭** 要 旨 福井県は越前瓦の産地であり,廃瓦の有効利用は重要な課題となっている.そこで,廃瓦を粗骨材として利用 したポーラス状のコンクリートブロックを作製し,強度試験ならびに連続空隙率試験を行った.その結果,40% 程度であれば,粗骨材の代替材として十分に利用できることが明らかとなった. キーワード: 越前廃瓦,ポーラスコンクリートブロック 表-1 試験供試体の寸法および本数 1.はじめに 越前瓦の廃材(以下,廃瓦という)については, これまでも防草材や化粧材料として研究開発を行っ てきた.しかしながら,廃棄物の縮減と CO2 排出量 の削減が重要な課題となっている中で,さらなる廃 瓦の再利用促進が必要であると言える. そこで,廃瓦を粗骨材の一部として混入したポー 3.供試体製作方法 ラスコンクリート連接ブロックを製作し,比較用に 供試体の製作には,㈱ミルコンの即時脱型成形機 製作した一般砕石によるブロックと共に,強度試験 を用いて作成した.表-2 に使用材料,表-3 に配合を ならびに必要空隙率を満足するかどうかの試験を行 示す. った.また現地にて植生回復の程度を確認するため 表-2 使用材料一覧 に試験施工を行ったので,その結果を報告する. 2.試験方法 供試体による室内試験として,圧縮強度試験,連 続空隙率試験を行った. 圧縮強度試験は、JIS A 1108「コンクリートの圧 縮強度試験方法」に準拠した。 連続空隙率試験については, 「ポーラスコンクリ 練り混ぜは、即時脱型成形専用のミキサーを使用 し,1 バッチの練り混ぜ量は,0.3m3 とした. ートの空隙率試験方法(案) 」 (ポーラスコンクリー 練り混ぜ方法は、一般砕石(最大粒径 20mm)と廃 ト河川護岸工法の手引き: (財)先端建設技術センタ 瓦骨材 (最大粒径15mm) を3:2 で混合した粗骨材に, ー)に準拠した. セメントを加えた後 30 秒練り混ぜ、 水と混和剤を投 供試体については, 「ポーラスコンクリートの供 試体の作り方(案) 」 (ポーラスコンクリート河川護 岸工法の手引き: (財)先端建設技術センター)に準 拠して製作した円柱供試体(φ10×h20cm)を 3 本, 実際にブロックを製作したものからコア抜きした供 試体(φ9.4×h15cm)を 3 本製作し,廃瓦入りと一 般骨材との2 ケースで計12 本 (圧縮強度試験:6 本, 連続空隙率試験:6 本)ずつ製作した. 表-1 に試験供試体の寸法および本数を示す. 入して 80 秒練り混ぜた. ミキサーにて練り混ぜ後,即時脱型成形機にて供 試体を作製した。 表-3 配合 4.室内試験結果および考察 (1) 圧縮強度試験 表-4 は圧縮強度試験結果を示す。 表-4 圧縮強度試験結果 (3 本平均値) 廃瓦入り 一般砕石 通常供試体(2 週) 18.9N/mm2 18.9N/mm コア抜き(2 週) 19.1N/mm2 19.9N/mm 製品と同一で標準養生した円柱供試体と,製品を コア抜きした供試体で, 材齢 14 日の圧縮強度を確認 した結果,廃瓦を混入したコンクリートの圧縮強度 図-1 試験施工位置(福井県坂井市三国町楽円) は,所定の強度を満足し,一般砕石のコンクリート 写真-1 施工状況 と比較して問題ないことが確認できた. (2) 連続空隙率試験 表-5 は連続空隙率試験結果を示す。 表-5 連続空隙率試験結果 廃瓦入り(%) 通常 供試体 19.1 コア 抜き 18.4 18.1 18.3 一般砕石(%) 18.9 18%以上 18.9 18.7 18.9 18%以上 18.4 18.9 18%以上 18.6 18.2 18%以上 廃瓦を混入したコンクリートの連続空隙率につい ても, 一般砕石のコンクリートと比較して問題なく, 写真-2 完成状況 基準となる 18%を満足することが確認できた. 5.現地試験施工 一級河川竹田川において,ポーラスコンクリート の連接ブロックが植生状況にどう影響するかを見る ため,現地にて試験施工を実施した。 図-1 は,試験施工位置を示す。 施工規模としては,竹田川左岸の護岸として,廃 瓦混入ポーラスコンクリート連接ブロックを L=36.3m(面積 126m2) ,一般砕石で製作したポーラ スコンクリート連接ブロックを L=18.1m(面積 63m2) を設置した.植生の回復を確認するため,水面上に 出る位置にそれぞれ設置した.(現地試験にあたっ ては,三国土木の北部 G に多大なるご協力を得た. ) 写真-1 は施工状況, 写真-2 は完成状況写真を示す。 5.現地試験施工結果 現地試験施工において,写真-3 に 3 ヶ月後の状況 写真を示す.廃瓦混入ならびに一般砕石のブロック ともわずかに植生の回復が見られるが,全体的には まだ回復途中である. 写真-3 植生回復状況 (1) 圧縮強度試験 1)一般砕石を用いたコンクリートに比較して大 きな差はなく,十分な強度の発現がみられた. (2) 連続空隙率試験 1) 一般砕石を用いたコンクリートに比較して大 きな差はなく空隙率を確保できることが確認 できた. これは,降雨による水位上昇に伴いブロックが水 没し種子が流されたため,植生の回復が遅れている ものと考えられる.植生の回復については,今後も (3) 現地試験 1) 廃瓦混入コンクリートにおいても,問題なく 植生の回復が図られている. 経過を観察していく. 以上の各種試験結果から,廃瓦を粗骨材として 40%(一般砕石と 3:2 で廃瓦を混入)程度利用できる 6.まとめ 本研究の結果,以下の知見が得られた. ことがわかった. 図-2 連接ブロック割付け図
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