NTN の姿 第三者意見 「NTNレポート2015」第三者意見書 本レポートはアニュアルレポートとCSRレポートを1冊にまとめたものですが、それが 真に統合報告と言えるためには「統合思考」に裏打ちされていることが必要でしょう。 その意識は 、 「事業活動を多様な資本の投入による多様な価値の創造と捉え 、サステナ ブルな社会の構築に貢献します」との記述に表れています。これを御社の社会に対する 実際、新中期経営計画「NTN 100」の中でも高効率の自然エネルギー事業や風力発電・ トンネル・橋梁等に関するサービス・ソリューション事業が新たな事業展開として挙げられて います。これらは自然資本や社会的な価値の創造を企業利益へとつなげる統合思考と言っ ていいと思います。 「軸受そのものが環境負荷を削減するエコ商品」だとの指摘も納得でき 高崎経済大学 経済学部 教授 ますし、環境基本方針の中でも環境貢献商品の開発が第1にあげられています。しかし御社 水口 剛 様 の製品が全体としていかに環境価値の創造に貢献したのかという成果は捉えられていま 略歴 せん。 「B to B」事業で製品を通じた貢献を測るのは難しいのですが、それを強みにしよう とする以上、数値化等、何らかの形で可視化して主張する工夫が必要ではないでしょうか。 でも海外66%と現地化を進めていることも評価できます。ただ、6割を超える海外人材の 処遇について記述が少ないことが気になります。たとえば現地採用の従業員はどのレベル まで昇進できるのでしょうか。また実際の管理職比率はどのくらいでしょうか。こういった ことは現状説明だけでなく、基本方針や目標を定めて公表することが特に海外では社会 的な評価につながりますので、検討されることを期待します。 御社は2011年の国内独禁法及びEU競争法に関する立入検査を契機に2012年に公正取 引監察委員会を設置して法令遵守に取り組んでこられました。今回新たにコンプライアンス 委員会を設置したり、CSRグローバル会議を開催したりしたことも前向きな取り組みとし て評価します。リスクがあるとすれば意図的な不正ではなく、業績目標等のプレッシャー 「NTN 100」を支える環境活動 が厳しい時に陥りがちなグレーゾーンではないでしょうか。それでもいったん不正と認 「NTN 100」を支えるCSR活動 「NTN世界技能オリンピック」や「世界QCサークル大会」の開催など、人的資本を通じた 価値創造も十分意識されていると思います。7割を超える海外売上高に対応して人員構成 商社、監査法人勤務等を経 て 、1997年に高 崎 経 済 大 学 経 済 学 部 講 師、2008年 より 現職。 これまで、中央環境審議会・ 環境と金融専門委員会委員 (2009年~2010年) 、日本 公 認会 計 士 協 会・環 境 会 計 専 門 部 会 部 会 長(2005年~ 2010年)、環境経済・政策学 会 監 事(2008年~2014年) 等を歴任。専門は責任投資、 非財務情報開示、環境会計。 主 な 著 書 に『 責 任 あ る 投 資-資 金 の 流 れで未 来を変 える』( 岩波書店 、環境経済・ 政策学会論壇賞) 、 『 環境と金 融・投資の潮流』(中央経済社) など。 「NTN 100」の戦略 約束(コミットメント)であると理解し、評価したいと思います。 定されれば企業価値を大きく毀損します。売上や利益で意欲的な目標を掲げているだけに、 目先の利益より長期的な価値という優先順位を明確にして、社内に正しいメッセージを伝え 続けることが重要だと思います。 昨年度の第三者意見で指摘のあったステークホルダー・ダイアログを今回初めて実施さ れました。今後より幅広く社外の声を取り入れていかれることを期待しています。 第三者意見書を受けて 水口様には、 「NTNレポート2015」を発行するにあたり、貴重なご意見を賜り厚く御礼申 し上げます。本報告書では、新中期経営計画「NTN 100」の事業活動(攻める経営・稼ぐ経営・ 築く経営)、CSR活動における法令遵守体制の強化、社会貢献、環境保全活動などの取り 成果の可視化やグローバル人事管理などへのご期待やご意見を頂戴しました。これらを 真摯に受け止め、今後の活動を展開していくうえで参考とさせていただきます。 グロ ー バル企業として 、価値創造とともに 、さらなるコンプライアンスの徹底やガバ ナンス、ダイバーシティへの対応強化を図り、それぞれの地域で愛され 、国際社会に貢献 するよう努めてまいります 。 取締役 CSR(社会的責任) 推進本部 本部長 財務報告 組みなどをご紹介し、報告書の統合性などに一定の評価をいただいた一方、価値創造の 仲野 浩史 68
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