紙上講演会❶ トとし、トラブルがあっても上部構造を壊さない 工夫をしている。補綴的トラブルを回避するには 歯科インプラント治療 歯科インプラント治 歯科 ト治療 治療 療 トラブル回避 トラブル ラブル回避の鉄 ブル回避の鉄則 回避の鉄則 回 避の鉄 避の鉄則 の鉄則 治療の適応外としている。 萩原 敏之 7.心理的トラブルを回避するには 7. 心理的トラブルを回避するには 心理的トラブルとなるケースは改善することが 少なく、経過が長引くことが多い(図3) 。術前に 場合、死亡事故となる可能性がある。 きない患者については、治療を行わないことも選 択肢の一つである。 1 インプラントとは何か? 1.インプラントとは何か? イ プラ トとは何か? 5.外科的トラブルを回避するには 5. 外科的トラブルを回避するには インプラントは生体にとって異物である。これ 8.正しい歯科インプラント 8 正し 正しい歯科インプラント 歯科 歯科イ プ プラ ト 情報を発信しよう は生体治癒の原則から外れており、視点を変え 外科的トラブルを回避するには、危険を予知し れば新たな病態を創りだしているともいえる。イ て十分な治療計画を立てることである。そのため ンプラントは、単に機械的に生体と接着している には、①インプラント手術のリスクファクターとな ホームページなどで医療広告ガイドラインを逸 ものではなく、ごく薄い数十 nm のタンパク質層 る全身疾患の検討、②インプラント治療の成功を 脱した表現が散見され、患者にインプラント治療 を介するオッセオインテグレーションと呼ばれる 妨げるリスクファクターの検討、③残された口腔 に対しての誤解を生んでいる場合がある。このた 接着様式で生体と一体化する(図1) 。 機能を悪化させるリスクファクターの検討、④イ めに患者が過大な期待を抱くことも少なくない。 ンプラントを行うことによって新たな疾患を発生さ 問題となる情報は、手術件数を宣伝する報告、 インプラント埋入術そのものは、口腔外科の一 分野ともいえる技術で、見てすぐにできる技術で せるリスクファクターの検討、が必要である。こ 無料相談、比較広告、客観的事実を証明できな れらの検討のために当科では、全身的疾患の把 い内容、虚偽・誇大広告、費用を強調した広告な 握、喫煙や内服薬の有無などの十分な問診、口 どである。臨床歯科医は、医療広告ガイドライン 腔内診査、3DCT 撮影、血液検査などを行って を遵守し正しいインプラント情報を発信すべきで いる。また、術後感染のリスクを低くするため、 ある。 埋入術前の歯科衛生士による口 はないことは、豊富な臨床経験をもつ先生であれ 腔清掃、外来手術室での術衣着 ばお分かりのことと推察する。ひとくちにインプラ 用での清潔操作なども必須であ ント埋入と言っても、歯肉や歯槽骨の残存量およ る。サージカルテンプレートは非 び形態、上顎洞の大きさ、下顎管との距離など、 常に良いツールで筆者も使用す 症例個々ですべて違うため、その解剖生理学的 ることがあるが、微妙な誤差が 知識、術前検査の精度、診断能力の高さなどが あったり、固定不備などでの埋 すべて要求される。それらは口腔外科手術その 入位置異常があったりするため もので、わずか数時間のメーカー主導の講習会で 過信してはいけない。 図1 Osseointegration 達成後のチタンインプラント 会得できるものではない。インプラント埋入施行 医は、指導医等のもとで十分な研鑽を積むことが トラブル回避の大原則である。私見ではあるが、 インプラント治療をしてはいけない臨床歯科医に 6.補綴的トラブルを 6. 補綴的 補綴的ト 補綴的トラブルを ブルを を 回避するには ついてまとめた(表1) 。 補綴的トラブルでは、臼歯咬 合面の破損、過度のカンチレバー 3.歯科インプラントに 3 歯科 歯科インプラントに 歯科イ プ ト ガイドラインはあるのか? による動揺、上部構造の辺縁が 可動粘膜となった場合のインプ 表1 歯科インプラント治療をしてはいけない歯科医 ラント周囲炎などが問題となる。 ガイドラインはないが、日本歯科医学会、日本 筆者は、患者がブラキサー(歯 口腔インプラント学会からそれぞれ治療指針が ぎしりの強い人)の場合、最後 発表されおり、インターネットから自由にプリント 臼歯の咬合面は金属にしている。 アウトできる。もし裁判になったとき問われるの ハイブリッドでは磨耗で擦りきれ は、治療結果の良し悪しではなく、行った行為が ることが多く、ジルコニアでは硬 行った当時の医療水準に達していたかどうか、で すぎて顎関節症を起こすことが ある。医療水準について裁判官は素人なので、ガ あるからである。また、メンテナ イドラインや治療指針を頼りにする。原則的に上 ンスのしやすさや将来認知症と 記の治療指針に沿った治療を行っている限り、ト なったときの除去のために、可 ラブルがたとえ起こっても通常悪い結果は回避で 能な限り複数臼歯部補綴ではス きる。歯科インプラントを行う歯科医師は、必ず クリュー固定にしている。さらに 上記の治療指針を熟読すべきである。 セメント固定の場合は仮着セメン (5面につづく) 舌神経損傷 ておくことも大切である。このような説明に納得で 眼窩下神経損傷 記載し、承諾書、治療費確認書等を取り交わし 下動脈の損傷出血による気道閉塞である。この 異常出血︵全身的原因︶ はないが重篤なものは、オトガイ下動脈または舌 誤飲・誤嚥︵手術中︶ ルなくインプラント治療を継続させるかについて 述べたい。 隣在歯の損傷 前説明が必要である。また、説明内容をカルテ 術後蜂窩織炎 の結果になるわけではないこと、などについて術 心理医学的障害などである(図2) 。また、多く 顎骨壊死 槽神経損傷、上顎洞インプラント迷入、上顎洞炎、 引き起こすという前提で、どうしたら患者とトラブ インプラントの骨外穿孔 スもある。本稿では、誰でも臨床的なトラブルを 異常出血︵局所的原因︶ て起こりうる危険性、医療では必ずしも期待通り 軟組織に対する長期的障害 インプラント治療のトラブルで多いのは、下歯 オトガイ神経損傷 インプラント以外の方法、インプラント治療によっ 及に伴いトラブルも増加し、裁判となるようなケー 心身医学的障害 広く知られるようになった。インプラント治療の普 インプラントの費用、インプラント脱落の可能性、 上顎洞炎 4.歯科インプラントの 4 歯科 歯科インプラントの 歯科イ 科 プ トの トラブルで多いものは? ブ 上顎洞内インプラント迷入 過度の期待を抱いている患者が多く、術前の説 明不足が原因である。インプラントの利点と欠点、 下歯槽神経損傷 歯科インプラント治療は、最近欠損補綴の一 2.インプラント埋入は講習会で 2 イ インプラント埋入は講習会で プ ト埋入 埋 講習会 覚える技術ではない 図 3 心理的障害の転帰 できない患者については、最初からインプラント 筑波 筑波大学医学医療系顎口腔外科学 臨床教授 般歯科医によっても行われるようになり、国民に 図2 インプラント手術関連の重篤な医療トラブル発生件数 メンテナンスは必須で、筆者は、メンテナンスが 公益社団法人 団法人地域医療振興協会 石岡第一病院 口腔外科部長 方法としてインプラント専門医だけでなく多くの一 (4面からのつづき) n=45
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