警視庁機動隊の即時撤退、海上保安庁による暴力

平成 27 年 12 月 日←申入れ日
内閣総理大臣 安倍晋三殿
警視総監 高橋清孝殿
海上保安庁長官 佐藤雄二殿
辺野古リレー 辺野古のたたかいを全国へ
警視庁機動隊の即時撤退、海上保安庁による暴力行為禁止、辺野古新基地建設撤回の要請
【要請事項】
1.辺野古地区キャンプ・シュワブゲート前での座り込み抗議行動やカヌー等での海上抗議行動は、「非暴力」であ
り、「反戦・平和」、「安全な生活」を求めるという目的から見ても基本的人権の中で保障される権利です。日本
政府並びに警視庁、海上保安庁はこれを侵害する一切の行為を止めるよう求めます。
2.日本政府は沖縄県の「地方自治権」を侵害しています。これまでの差別的政策や対応を改め、辺野古新基地
建設を即座に撤回するよう求めます。同時に、普天間基地の返還を「移設」という手段に頼らず積極的に進め
るよう求めます。
3.辺野古地区キャンプ・シュワブゲート前に配備された警視庁機動隊は警察法第一条から著しく逸脱した暴力行
為を市民に対して行使しています。即刻、警視庁機動隊員を全て東京に撤退させるよう求めます。
4.大浦湾に配備されている海上保安庁の保安官が海上で抗議する市民を妨害・排除することを禁止し、本来の
職務である海難救助や海の環境保全を全うするよう求めます。
【各項目の要請理由】
1. 翁長知事が国連でも訴えたように、沖縄は1879年に日本から武力をもって併合されて以来、日本から自己決
定権を奪われ、人権を侵害されてきました。沖縄戦では壮絶な地上戦を強いられ10万人を超える県民が犠牲
となり、戦後、27年におよぶ米軍の占領を経て、本土「復帰」後も現在に至るまで米軍基地による被害は続い
ています。だからこそ、昨年行われた 4 回もの選挙で「米軍基地拒否」の明確な民意が示されたのです。このよ
うな背景からキャンプ・シュワブゲート前は、反戦・平和をともに訴える場となり、なにより沖縄の人々にとって、
自身の人権回復を求める場になっているといえるのです。もし新基地が建設されてしまえば、米軍基地による
被害の拡大は避けられません。昨今では、「対テロ」という名目で、世界中で軍備が増強され、世界は混乱し危
機的状況にあります。過去に米国が主導した朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争のように、沖縄の
基地から米兵が飛び立ち、さらなる戦争被害を生み出してしまう苦しみを、またしても沖縄の人々に背負わせて
しまうことにもなるのです。現地では、どんなに声を上げても民意が聞き入れられず、不当に強行される工事を
止める最後の手段として、工事車両を止めるための座り込みや、工事をさせないために海上で抗議行動が行
われています。これら非暴力の抗議行動は、人々が安全で安心した暮らしを守るための重要な権利なのです。
2. 沖縄を訪れると、町の至る所に有刺鉄線が張り巡らされ、米軍に守られているのではなく捕らわれているかの
ようだと気付かされます。長年、日本の多くの人々による無関心によって当然の姿であるかのように常態化され
たのです。2013年のオスプレイ配備撤回を求める建白書提出への対応にも象徴されるように、政府は沖縄か
らの訴えを黙殺し、沖縄の基地負担軽減と基地撤去の責任を放棄してきました。更に昨年夏の基地建設の工
事着工が本格化してからも、政府は沖縄県に対する差別的対応を露骨にしています。20ミリ機関砲を備えた
巡視船を動員して威嚇する、沖縄の要請を無視して米国政府に「辺野古推進」を繰返し主張する、軍事機能を
増強した新基地の建設であるのに基地負担の軽減であると詭弁を繰り返す、行政不服審査法を濫用し法的瑕
疵のある埋立て承認を取り消す知事権限を奪う代執行を請求する。これに加え、新基地建設撤回の声を一層
大きくする沖縄に対し、警視庁機動隊を動員して座り込む市民一人ひとりを力でねじ伏せようとしています。こ
れは憲法21条「集会の自由・結社の自由・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密」や31条「人身の自由」に違
反した弾圧行為です。日本政府は沖縄を未だに植民地扱いしていると言わざるを得ません。なぜ、沖縄に対し
ては、そのような暴力的対応を可能とするのでしょうか。沖縄の人々の正当な訴えに対する正当な回答さえしな
い政府の態度は断じて許されません。私たちは「本土」の立場からも即刻、沖縄への差別的政策を改め、新基
地建設の撤回と普天間基地の即時返還を求めます。
3. 11月4日に警視庁機動隊が配備されて以降、市民への暴力が激化しています。たとえ警察法60条に則って派
遣されているとしても、その目的が政府の意向に合わせた市民排除であることは明らかです。座り込む市民を
相手に訓練された機動隊員が数人がかりで屈辱的な態勢を強いて座り込み現場から排除し、仮設の「檻」に囲
い込んで行動の自由を奪っています。その間にも、指や腕の関節をひねる、激しく引き倒す、殴る、蹴る、数人
で羽交い締めにして気絶させるなどの暴力がふるわれ、負傷者が続出し、救急搬送者も出ています。非暴力で
座り込む市民への警察の暴力的介入は、警察法の逸脱どころか犯罪行為に等しいと言えます。更に、「本土」
の機動隊員が沖縄に乗り込み、沖縄県民を排除する行為は、「本土」の加害者性の無自覚、沖縄の歴史と痛み
への無理解という恥ずべき側面を公然と上塗りするものであり、米軍基地による被害にあわれた方や、新基地
建設に体を張って抗議している住民の方、そして直接的には声をあげられないでいる沖縄の人々に、いわゆる
「本土」への怒りと憎しみを植えつけるだけです。このような配備は不当であり許されません。
4. 昨年の海上作業開始時から、カヌーに乗って作業を止める市民に暴力をふるい続ける海上保安庁の違法な介
入を今すぐやめることも求めます。2004年の防衛局によるボーリング調査の時には、「流血の事態を招く恐れ
がある」として強制排除を拒否する判断を下したにも関わらず、なぜ今回は強制排除に乗り出したのでしょうか。
海上保安庁が防衛局に全面協力をして市民を暴力排除することは決して許されません。現地や全国から多くの
非難と抗議が寄せられても海上保安庁は暴力行為をやめません。そもそも、埋め立て承認には大きな瑕疵が
あると専門家が指摘するほどにずさんなものであり、その計画を元に定めた臨時制限区域自体が法的根拠に
乏しいものです。それにもかかわらず、海上では危険が伴う事を承知で、抗議船を転覆させる、カヌーチームの
人の顔を何度も海に沈めて呼吸困難に陥れる、抗議船の船長を4人がかりで羽交い締めにして気絶させたうえ、
嘔吐しているのに救急搬送のために陸へ向かうことを怠るなど、生命に危険が及ぶやり方で過剰警備がなされ
ています。取り返しのつかない事態になる前に、海上保安庁こそが守るべき海上での安全と、沖縄の人々が大
切にしてきた豊かな海を自らが壊していることを自覚し、暴力行為を止めるよう強く求めます。
いま、キャンプ・シュワブ周辺での抗議行動の現場は、多くの方が怒りを持って集まっています。これ以上工事を
強行することは現実的にも不可能であり、さらなる危険が市民に及ぶことが懸念されます。沖縄の人々と、沖縄の
歴史、沖縄戦で亡くなった方々や、沖縄戦の体験者、米軍基地があることで被害を受けてきたすべての人々に対
し敬意を払い、辺野古新基地建設の即時中止、普天間基地の即時返還を要求します。
【賛同団体】
*確定後に載せます。