TPPの協定書作成作業から撤退し、調印中止を求めます(声明) 10 月 5

TPPの協定書作成作業から撤退し、調印中止を求めます(声明)
10 月 5 日、米国で閣僚会合が開かれていた環太平洋連携協定(TPP)交渉が「大筋合意」
されました。これを受けた 6 日の記者会見で安倍首相は、
「TPP 交渉参加に先だって掲げた
国民との約束はしっかり守ることができた」と語りました。また、コメ、麦、牛肉・豚肉、
乳製品、砂糖など重要 5 品目について、交渉から「除外」「再協議(先送り)」するとした
2013 年 4 月の衆参両院農水委員会の国会決議にも反しないとの認識を示しました。
しかし今回の「合意」は、農業分野において、コメは無関税輸入枠の新設、麦、牛肉・
豚肉は関税削減、乳製品も関税撤廃や低関税枠の新設など農産物重要 5 品目の輸入の大幅
な拡大をふくむもので、国内農業生産への深刻な打撃が予想されます。とりわけ長野県で
は、中山間地における家族型の小規模農家も少なくなく、農業を営む農家の切捨てや地方
の衰退につながりかねない内容をふくむものと言わざるを得ません。
こうした点をふまえれば、「関税ゼロでないのだから公約は守った」などという言い分は
到底通用するものではありません。また今回の交渉は徹底した秘密主義で進められ、「交渉
により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報
提供を行い、
幅広い国民的議論を行うよう措置する」
とした 2013 年 4 月の国会決議に反し、
政府は「大筋合意」まで交渉内容を明らかにしませんでした。
農業分野以外でも、関税・非関税障壁の撤廃や削減、政府調達や知的財産、労働、環境
などの新しいルールづくりなど米国多国籍企業の利益を優先する内容が盛り込まれ、とり
わけ投資企業が進出先の政府を訴えることができる ISD 条項も含まれており、国のあり方
そのものを変える可能性があります。
今回の「大筋合意」は、農林漁業や雇用、医療など、国民の暮らしや地域経済に深刻な
影響を及ぼすものであるとともに、秘密主義で国会決議さえふみにじる国民無視の姿勢で
あり、ただちに TPP の協定書作成作業から撤退し、調印中止することを求めます。
2015 年 10 月 15 日
長野県教職員組合執行委員会