1 訴訟進行申入書 - TPP交渉差止・違憲訴訟の会

平成 27 年( ワ) 第1 30 29 号、 23 56 7号
TPP 交 渉 差 止 ・ 違 憲 確 認 等 請 求 事 件
原告
原 中勝 征
被告
国
外1 58 1名
訴訟 進行 に関 する 申入 書
2 01 5年 11 月1 6 日
東京 地方 裁判 所民 事第 17 部合 議 B 係
第1
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御中
原 告ら 訴訟 代理 人弁 護士
山
田
正
彦
同
岩
月
浩
二
外
申 入の 趣旨
本 件 訴 訟 の 各 口 頭 弁 論 期 日 に お い て 、原 告 1 名 当 り 各 10 分 、1 開 廷
当り 原告 3 名 につ い て、 原告 らの 意見 陳述 の機 会を 保障 され たい 。
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本 件訴 訟の 各口 頭弁 論期 日に おい て、原告 代理 人に よ る準 備書 面の
口 頭 で の 陳 述 の 機 会 を 、 最 低 限 30 分 間 保 障 さ れ た い 。
第 2
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申入 の理 由
口 頭主 義、 直接 主義 こそ 民事 訴訟 の大 原則
( 1 ) 民 訴 法 87 条 1 項 本 文 は 、「 当 事 者 は 、訴 訟 に つ い て 、裁 判 所 に お
い て 口 頭 弁 論 を し な け れ ば な ら な い 。」 と 規 定 し て 、 必 要 的 口 頭 弁
論の 原則 を表 明し てい る。こ の原 則に 基づ いて、 口 頭弁 論を 行わ な
け れ ば 判 決 で き な い し 、口 頭 で 陳 述 な い し 顕 出 さ れ た も の だ け が 裁
判資 料と なる 等、 口頭 主義 の原 則が 具体 化さ れて いる 。
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も ち ろ ん 書 面 の 合 理 的 利 用 は 民 事 裁 判 に と っ て 不 可 欠 で あ り 、不
正確 な訴 訟行 為を 回避 し、また 複雑 な事 実関 係や 計 算そ して 精緻 な
法律 論の 説明 のた めに は、書 面利 用が 有効 であ り、 口頭 主義 を補 完
する ため の書 面利 用が 民訴 法に 規定 され てい る。
しか し、書 面利 用を 強調 する あま り、口 頭主 義を 前 提と する 審理
を形 骸化 させ るこ とが あっ ては なら ない こと は、裁 判に 関わ る法 律
家と して は当 然の 常識 であ り、また 講学 上も 確定 し た謂 わば 公理 で
ある 。
( 2 ) ま た 、 民 訴 法 249 条 1 項 は 、「 判 決 は 、 そ の 基 本 と な る 口 頭 弁 論
に 関 与 し た 裁 判 官 が す る 。」 と 直 接 主 義 を 規 定 し て い る が 、 こ れ は
口 頭 主 義 が 民 事 裁 判 の 原 則 と さ れ て い る こ と に 符 合 し て い る 。つ ま
り、 口頭 弁論 に直 接臨 んだ 裁判 官だ けが 判 決 で き る と い う こ と は 、
口頭 弁論 にお ける 審理 をめ ぐる 様々 なや り 取 り を 体 験 す る こ と が 、
判決 に至 る心 証形 成に とっ て重 要な 意味 を有 する こと を日 本の 裁
判は 前提 とし てい るの であ る。
(3 )本 件裁 判に おい て、 松本 裁判 長を はじ めと する 裁判 官諸 氏は、原
告訴 訟代 理人 によ る準 備書 面の 口頭 での 陳述 の時 間を 制限 しよ う
とし、 また 原告 本人 の意 見陳 述の 機会 を剥 奪し よう とし てい る。代
理人 を選 任し てい るか ら原 告の 意見 陳述 は認 めな くて いい とい う
こと かも 知れ ない が、原告 本人 訴訟 も国 民の 当然 の 権利 とし て存 在
し、代理 人を 選任 した 時も 原告 は原 告固 有の 裁判 を 求め る権 利を 放
棄し たわ けで はな い。従 って、 代理 人の 訴訟 行為 に 対し てだ けで な
く、原 告の 訴訟 行為 に対 して も、口 頭主 義と 直接 主 義を 原則 とす る
民事 裁判 が保 障さ れな けれ ばな らな い。
裁判 官諸 氏が 本日 の法 廷で 強行 しよ うと して いる 上記 各制 限は 、
本件 原告 に対 して 口頭 主義 と直 接主 義を 原則 とす る民 事裁 判を 保障
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し な い と い う こ と で あ り 、ひ い て は 憲 法 32 条 が 保 障 す る 国 民 の 裁 判
を受 ける 権利 を奪 うこ とに 外な らな い。 裁判 官諸 氏は 憲法 違反 の訴
訟 指揮 を 敢 え て行 お う とし て い る とい う 自 覚 を有 し て おら れ る の か。
裁 判 官 諸 氏 の 行 為 は 憲 法 99 条 が 定 め る 裁 判 官 の 憲 法 尊 重 擁 護 義 務
に悖 るも ので あり 極め て由 々し き問 題で ある 。直 ちに 上記 各制 限を
撤回 する よう 求め る。
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口頭 主義 ・直 接主 義の 尊重 こそ 審理 の充 実に つな がる
( 1 )憲 法 82 条 は 、
「 裁 判 の 対 審 及 び 判 決 は 、公 開 法 廷 で こ れ を 行 ふ 。」
と 規 定 し て お り 、「 対 審 」 と は 民 事 裁 判 に お い て は 口 頭 弁 論 手 続 、
刑事 裁判 にお いて は公 判手 続が これ に当 る。そ して 、民 事裁 判に お
ける 口頭 弁論 手続 に関 する 裁判 の公 開を 実質 的に 担保 する のが 、既
に述 べた 口頭 主義 と直 接主 義で ある こと は論 を俟 たな い。
実 際 に 公 開 の 法 廷 に 臨 ん だ 傍 聴 人 に と っ て は 、口 頭 主 義 と 直 接 主
義 が 形 骸 化 し た の で は 、具 体 的 に 何 を め ぐ っ て 審 理 が 行 わ れ て お り 、
何が 争点 なの かが 分か らな い。口頭 主義 と直 接主 義 が保 障さ れた 審
理が なさ れる こと が絶 対に 不可 欠で ある 。
( 2 )ま た 、 憲 法 32 条 は 、「 何 人 も 、 裁 判 所 に お い て 裁 判 を 受 け る 権 利
を 奪 わ れ な い 。」 と 規 定 し て い る が 、 こ こ に い う 「 裁 判 の 権 利 」 を
実 質 的 な も の に 高 め る こ と が 現 在 必 要 で あ る 。実 質 的 な も の に 高 め
る に あ た っ て 重 要 な の は 、「 裁 判 を 受 け る 者 」 の 納 得 で あ る 。 納 得
でき るた めに は、判 決内 容が 妥当 なも ので ある こと 、判 決の 理由 が
証拠 に基 づい て合 理的 に示 され てい るこ と、審理 の 進行 が拙 速的 で
あっ たり 強権 的で あっ たり しな いこ と等 様々 な改 善が なさ れな け
れば なら ない が、当事 者が 能動 的に 参加 でき るこ と も重 要な 要素 と
して 保障 され なけ れば なら ない 。
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民事 裁判 にお いて 通常 原告 が行 える 訴訟 行為 は法 廷供 述等 限 ら
れ て い る の が 現 状 で あ る が 、可 能 な 範 囲 で 合 理 的 な 訴 訟 行 為 は 極 力
認め られ るべ きで ある 。原 告の 意見 陳述 は ま さ に そ の 一 つ で あ り 、
原告 の裁 判へ の能 動的 参加 によ って 納得 のい く裁 判に なる 可能 性
が 広 が る の で あ り 、 憲 法 32 条 の 趣 旨 に か な う の で あ る 。
(3) 訴訟 当 事者 や傍 聴人 の民 事裁 判へ の関 与が 強ま るこ とは 、裁 判官
や訴 訟代 理人 とい う法 律家 にと って も、自ら の行 う 訴訟 行為 をよ り
分か り易 く説 得的 に行 わな けれ ばな らな い と い う 緊 張 感 が 生 ま れ 、
より 一層 真剣 な訴 訟行 為に よっ て審 理の 充実 が実 現す るこ とに な
る。こ のよ うに あら ゆる 意味 にお いて、 口頭 主義 と 直接 主義 は審 理
の充 実に つな がる 原則 であ る。
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結語
本 件 裁 判 に お い て 原 告 代 理 人 は 、充 実 し た 審 理 を 実 現 で き る こ と を
第 一 義 と 考 え て 、 裁 判 長 の 訴 訟 指 揮 に 協 力 し な が ら 、被 告 の 訴 訟 活 動
も 尊 重 し て 、こ れ ま で 訴 訟 活 動 を 行 っ て き た し 今 後 も 行 う 所 存 で あ る 。
従っ て、裁判 所に おか れて は、原告 代理 人 の合 理的 な要 請に は適 切な
対 応 を し て 頂 き た く 、申 入 の 趣 旨 記 載 の と お り の 訴 訟 指 揮 を さ れ る よ
う強 く要 請す る次 第で ある 。
以上
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