100年続く会社を目指す経営者必見!! 発行日 株式 会社 平成27年9月1日 前田会計事務所 儲かる会社の条件 その11 優秀な社員には、特別な報奨制度がある 青色発光ダイオードの開発によって2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二博士は、青色発 光ダイオードが製品化された1995年当時勤務していた会社から受け取る発明に対する報奨金のあまり の少なさに驚いたアメリカの研究者仲間から「スレイヴ・ナカムラ」(スレイヴ=奴隷)というあだ名で呼ば れていたそうです。 中村博士はその後アメリカに渡りますが、元の会社からトレードシークレット(営業秘密)漏洩の疑いで 提訴されます。この訴訟は結局棄却されたのですが、捜査当局に自宅や大学の研究室を調べられたり、 裁判中の会社側の執拗な攻撃に心身ともに疲弊した中村博士は裁判をやめさせるために、日本で裁判 を起こしました。東京地裁は会社側に200億円を支払うよう命じましたが、東京高裁では約8億4000万円 を支払うことで和解が成立しました。 当時の我が国の常識では、会社の施設と資金を使わせてもらっているのだから成果物は会社のもの だろうし、成果が出たからといっていちいち報奨金を支払うなんてどうなんだろう?というところでしょうか。 中村博士も受賞当時は創業社長のおかげで成果が出せたと感謝していたそうですが、渡米後の会社 側の対応が我慢ならないものだったため、逆提訴をすることになったのです。 社員が成果を出したときの対応については、各社それぞれ異なります。一昔前までの我が国の会社は 固定給だけで一切成果給はないというところがほとんどでした。しかし、最近はストックオプションをはじ め、さまざまなインセンティブ(報奨制度)を導入する会社が増加しています。 優良な研究環境や高額の成果報酬等の条件を提示して世界各国から優秀な人財をヘッドハンティング する専門の会社が現れ、日本からの頭脳流出がマスコミを賑わすようになりました。優秀な研究者が転 職すると企業機密が転職先に奪い取られるので、危機感を持った企業が転職防止策の一環として成果 報奨制度を採用することになったのです。中村博士の一件も影響しているのかも知れませんね。 しかし、転職した人たちの中でバラ色の人生が待っているのはほんの一握りの人だけで、大半は本人 が持っている技術や知識がこれ以上利用できないと判断されたらすぐに辞めさせられるのだそうです。 結局、使い捨てにされるだけなので、転職しないことがお互いに良いというのが本当のところでしょう。 社員が創意工夫を重ねて今までにない成果を揚げたとき、客観的な報奨制度が整備されていればそれ に報いることができます。報奨制度は金銭的なものだけでなく、職制への連動や成果内容の公表なども 考えられるでしょう。 優秀な社員がやる気を持って一所懸命に成果を出したとき、即座に応えてあげられる報奨制度のある 会社が、儲かる会社であり続けるのです。
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