4 多変数の関数の微分

微分積分 2 補助資料 No. 2
担当:松田 晴英
4
多変数の関数の微分
4.2
偏微分
2 変数関数 z = f (x, y) において,y を一定値 b に固定すると,z は 1 変数 x の関数とみ
なせます。このとき,x で微分します。
¶
³
点 (a, b) に対して,
f (a + h, b) − f (a, b)
h→0
h
が存在するとき,z = f (x, y) は点 (a, b) において,x について偏微分可能であるとい
い,この極限値を
µ ¶
µ ¶
∂z
∂f
∂
,
,
f (a, b), fx (a, b), zx (a, b)
∂x (x, y)=(a, b)
∂x (x, y)=(a, b) ∂x
lim
などと表し,(a, b) における x についての偏微分係数という。
µ
´
同様に,2 変数関数 z = f (x, y) において,x を一定値 a に固定すると,z は 1 変数 y の
関数とみなせます。このとき,y で微分します。
¶
³
点 (a, b) に対して,
f (a, b + k) − f (a, b)
k→0
k
が存在するとき,z = f (x, y) は点 (a, b) において,y について偏微分可能であるとい
い,この極限値を
µ ¶
µ ¶
∂f
∂z
∂
,
,
f (a, b), fy (a, b), zy (a, b)
∂y (x, y)=(a, b)
∂y (x, y)=(a, b) ∂y
lim
などと表し,(a, b) における y についての偏微分係数という。
µ
´
fx (x, y),fy (x, y) をそれぞれ,x,y の関数とみなし,これらを偏導関数といいます。
例題 1 z = x3 + y 3 − 3xy において,
みなして,x で微分する。
∂z
を求めるには,y を定数と考え,z を x の関数と
∂x
∂z
= 3x2 − 3y
∂x
∂z
を求めるには,x を定数と考え,z を y の関数とみなして,y で微分する。
∂y
∂z
= 3y 2 − 3x
∂y
1
図形的な考察 fx (a, b) は y 軸に垂直な平面 y = b と曲面 (グラフ) との交線の (a, b, f (a, b))
を通る接線の傾きを表しています。また,fy (a, b) は x 軸に垂直な平面 x = a と曲面
(グラフ) との交線 (a, b, f (a, b)) を通る接線の傾きを表しています。
練習問題 1. 教科書 92 ページの問 1(ii), (iv), (vi) を解け。
fx (x, y),fy (x, y) がさらに x,y に関して微分可能であるとき,次の 4 種類の偏導関数
を 2 次の偏導関数といいます。
µ ¶
µ ¶
∂ ∂f
∂ 2f
∂ ∂f
∂2f
=
=
f
=
z
=
= fxy = zxy
xx
xx
∂x ∂x
∂x2
∂y ∂x
∂y∂x
µ ¶
µ ¶
∂ ∂f
∂ 2f
∂ ∂f
∂ 2f
=
= fyx = zyx
=
= fyy = zyy
∂x ∂y
∂x∂y
∂y ∂y
∂y∂y
例題 2 z = ex sin y の 2 階の偏導関数を求めよ。
まず,1 階の偏導関数を求めると次のとおりである。
zx = ex sin y,
zy = ex cos y
これらより,2 階の偏導関数は次のとおりに求められる。
zxx = ex sin y,
zxy = zyx = ex cos y,
zyy = −ex sin y
練習問題 2. 教科書 92 ページの問 2(i) を解け。(はやく終わった場合は fyx も求めよ。)
今日のまとめ :教科書 89∼92 ページ
次回 :教科書 93∼98 ページ
復習問題 :教科書 92 ページ 問 2(ii), (iii)
2