ゼカリヤ6章1~6節 「進軍する4台の戦車」

「進軍する戦車」
ゼカリヤ6章1~6節
~ゼカリヤ書連続講解説教 7~
イントロダクション ~ゼカリヤの見た8つの幻のうち、第8番目のもの
① 1章から6章:一夜に見た8つの幻について
 第6の幻(飛ぶ巻物):人は律法によって罪に裁かれる
 第7の幻(飛ぶエパ枡):罪はエルサレムから除去されて、バビロンに運ば
れる
 第8の幻(エルサレム・ヨシャパテの谷から進軍していく4台の戦車):異
邦人諸国が神の審判を受けて滅ぼされる
② 常に覚えておきたい預言の重層的な構造
 当時の歴史的な背景:バビロン捕囚から解放され祖国帰還を果たしたユダヤ
人が神殿・エルサレム再建に励む。困難と妨害ゆえに十数年間の頓挫ののち
にゼルバベル、ヨシュアの指導の下、再建事業を再開する。
 将来の終末が同時に預言さている:反キリストによる世界帝国がイスラエル
抹殺を謀り、そのただ中からメシアの再臨があり、メシア的王国が到来する
本論
Ⅰ
8番目の幻
1~3節
1) 二つの山
 定冠詞付きの山であることから、モリヤの山とオリーブ山であろう
 その山の間にヨシャパテの谷がある:再臨のメシアによって異邦人の裁きが
執行される場所
2) 4台の戦車
 1番目の幻にある4頭の馬と対比(1:8)
 第1の幻:全地を視察し、報告するための巡察天使
 第8の幻:全地に審判を下すための進軍天使
Ⅱ
御使いによる幻の解説
4~7節
1) 御使いの正体は受肉前のメシア:ゼカリヤ1章から
 赤い馬に乗った人(1:8)=話している御使い(1:9)=ミルトスの木
の間に立つ主の使い(1:11)は同一人物で受肉前のメシア
 メシアと万軍の主の会話(12~13):三位一体の啓示
 異邦人諸国への審判とエルサレム復興の約束(14~17)
 第1と第8の幻の相互補完性:神が人間歴史へ介入される最終章の総論
 第一幻:異邦人時代にあってイスラエルの復興と選びとが確認
 第八幻:異邦人の裁き、メシア王国樹立への預言
2) 「天の四方」
 原文では「天の四方の風(霊)」
 東西南北に神の御心を執行する御使い。ゼカリヤ2:6、エゼキ37:9
3) 各戦車の進行方向
 北へは黒と白の馬が進軍
 南ヘはまだらけの馬が進軍
 東西への進軍がない理由:イスラエルは常に北が最大の脅威であり、東西か
らの侵略はほとんどなし
Ⅲ
進軍を開始する戦車群
7~8節
1) メシアによる指令「行って、地を駆け巡れ」
 強い馬(7)とは4つの戦車を引く全ての馬のことであろう
 メシアのことばによって戦車群は一斉に全地へ進軍する
2) 「見よ。北の地へ出て行ったものを」
 「北」が強調。その方角にはバビロンがある。
 原文は「わたしの霊が安んじる」
 バビロンの滅亡によって神の意図完了する
 歴史的に成就したものと、将来の終末預言の二重性がここにある
結論
:世界の終末は来るのか?
1) 疑問:「キリストの来臨の約束はどこにあるのか。先祖たちが眠った時からこ
のかた、何事も創造の初めからのままではないか。」Ⅱペテロ3:4
 天地の変わらない日々が長く続いている
 2千年前から人は同様の疑問を感じてきた
 さらに数千年前から悪の栄えるのを見て神への疑問を抱いていた(詩編7
3:2~3)
2) 回答:神は歴史に介入されている
 バビロンによる捕囚とそこからの解放
 解放後の神殿建設
 メシアの来臨とその死、神殿の破壊とイスラエルの離散
 異邦人世界の審判とメシアの再臨の預言
3) 理由:遅延に見えるのは、神の忍耐とあわれみ故
 第1幻で巡察師が「全地は安らかで、穏やかでした」と報告(1:11)
 「異邦人の時代」が長く続いているのは救いが異邦人へ届けられるため
 神の時が来たならば、終末は成就される
 Ⅱペテロ3:9~10