震災から8か月以上経ってやっと本格復興予算、第3次補正

【 前衆議院議員 田中良生 国政ニュース vol.48 新春号 】
震災から8か月以上経ってやっと本格復興予算、第3次補正が成立した。
自民党は震災直後から577項目の対策を提言し、7月にはすでに具体
的政策とともに総額17兆円規模の本格復興予算の国会提出を政府に申
し入れしてきたものだが。政府の法案提出が10月末に遅れた原因は、復
興のための財源をはなから増税に求めたことにある。本来、復興を優先さ
せなければならないところ、財務省による増税プランを待つこととなった。
国会では、復興財源に関して、復興債の日銀引き受け未消化枠の活用や
国債整理基金への定率繰り入れ停止、政府保有株や資産売却など、様々な
「増税なき復興財源」が提起された。がしかし民主党・野田政権は、終始「増税
ありき」といった姿勢であった。今、円相場は戦後最高値を更新し、円高が止まらない状況にもある。
私は、復興のための10兆円程度の財源は増税に頼ることなく日銀の国債引き受けとすべきであったと考える。
そうすれば、増税に頼らない財源確保になるとともに、結果として円の量的緩和にもつながり円高是正のための
金融政策にもなりえたと。
いずれにしても本格復興予算が成立した今、政府に対しては一日も早い復興のためのスピーディな予算執行
を望むものである。野党・自民党も、被災地の復興に政府への協力を惜しんではならない。
【バラマキをしたままの消費増税。重税国家まっしぐら!】
野田首相がG20首脳会議において、消費税10%増税法案を3月までに
国会提出すると表明した。国内論議をさておいて唐突な国際公約だ。
そもそも消費税10%への引き上げは「税と社会保障の一体改革」の中で
出てきた話であるはずだ。がしかし、増税だけは先んじてはみたものの肝心
の社会保障改革は民主党政権下では何も進んでいないではないか。痛みを
伴う措置には手をつけず、給付の充実だけつまみ食いといった具合だ。
すくなくとも自民党政権下では、持続可能な社会保障制度とするため年金
改革や高齢者医療制度改革など国民に不人気な政策にも挑んできた。
また増税に頼らない成長戦略と財政再建目標を立て、平成19年度には、その年の税収内で同じ年の歳出を
賄うプライマリーバランスの均衡にあと6兆円というところまできていた。
一方、民主党政権下で編成された3度の予算は、税収を国債発行が上回
るという過去にない異常なものとなっている。
消費税増税に関しては、政権交代となった民主党の政権公約には記述も
なく、当時の鳩山代表も「4年間、消費税の増税を考えることは決してない。
歳出削減を徹底していく」としていたはずだ。ましてや、今通常国会に提出と
いうことは、総選挙で国民の信を問う前に消費増税法案を成立させてしまお
うということか。これでは国民主権もなにもあったものではない。
それにしても、09年に政権交代となった「無駄削減と総予算の組み替えで
16.8兆円を捻出する」は一体何だったのか?
無駄削減を早々に断念し、バラマキ政策を執ったまま復興増税に消費増税。安易な増税路線をひた走る財務
省主導の民主党内閣では、日本は重税国家まっしぐらだ。
自民党は、今こそ過去の反省に立ち、国民が期待した無駄の削減、公務員制度改革や議員定数削減、公益
法人改革等々を断行し、そして「新しい自民党」として、「小さな政府」デフレ脱却・成長路線を推し進めるべきだ。
信頼と絆 私はブレない。
討議資料
【政権公約の破綻を認めた今となっては】
野田首相は、TPP交渉参加を表明しAPECにおいて国際公約とした。がしかし、国会では「交渉に入らないと
いう前提もないし、入るという前提もない」と答弁している。「二枚舌」は国内外の信用を失う。本来であればTPP
によって国の形をこのようにしたい、と示すのが一国のリーダーの姿であろう。首相の決意と覚悟がみえない。
私は自由貿易を積極的に推進すべきとの考えであるが、TPPによって打撃を受ける分野の必要な国境措置
の維持や万全な対策の必要性はいうまでもない。政治の役割だ。まずは交渉に参加しなければ日本の主張を
通す事もできまい。
一方の自民党。再び政権政党を目指すのであればTPPに関しての賛否を問われてしかるべきであろう。
曖昧さは残るもののもはや首相が交渉参加表明をした以上、自民党としてはその先の輸出産業の競争力の
強化策や打撃を受ける分野、特に農業における対策に取り組んでいくべきであろう。自民党は、政府に先駆け
て提言を図るとともに、国民に対し自由貿易による成長戦略、日本の通商戦略を示していなかくてはならない。
ASEAN首脳会議では、ASEAN(10カ国)に日・中・韓・豪州・ニュージーランドの6カ国が加わる「広域自由
貿易圏」づくりを進めることが合意されている。仮に、ASEAN+6とTPP交渉表明国(12カ国)が合体すれば世
界のGDPの半分以上を占める巨大自由貿易圏が誕生する。
今、世界の成長センターであるアジアを中心に世界の通商戦略が大きく変わろうとしているのだ。世界経済の
転換期ともいえよう。幸いにもわが国は双方ともにラブコールを送られる立場にある。
今こそ日本も勇気をもって、この変革期をチャンスに変えていくべき時ではなかろうか。
【フォト・ライブラリー】
南区2月5日(日)
戸田市2月12日(日)
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