ロボット技術はこんなに

ロボット技術はこんなに
使われている
ロボットテクノロジー
(RT)産業の一大集積拠点、大阪。人と機械をつな
ぐ究極のヒューマンインターフェースであるロボットに使われる技術は、私
たちがより安全に、快適に、そして楽しく生活を送るためのサービスを創造
するコア技術として、あらゆる場面で活用されている。新規ビジネスを創出
するエンジンとしての役割にますます期待が高まる、RTの今を紹介する。
ロボット
ロボ
ロボットを構成するRT例
ットを構
を構成す
成するR
るRT例
T例
認識技術
いわゆるセンサ技術。人間でいう五感の部分で、
音声や画像などを扱い易い別の信号に変え、ロボ
ットが働くために必要な情報を伝える。超音波を
感知したり、加速度を正確に把握するなど、人間
にはない認識技術がロボットの可能性を広げる。
ソフトウエア
人間では脳にあたるロボットの中枢部分。セン
サなどから集まってきた情報を総合的に解析し、
制御技術を担う部分やアクチュエータなどに対
し、目的通り作動するように指示するよう組ま
れたプログラム。
認識技術・センサ
(五感)
自己位置検出技術
画像認識 音声認識
超音波センサ
触覚センサ
力覚センサ
ジャイロセンサ
ソフトウエア
人工知能ソフトウエア
移動制御ソフトウエア
センサ情報処理ソフトウエア
動作制御ソフトウエア
動力源
ロボットを動かすためのエネルギー源で、充電可
能な二次電池や水素電池、太陽電池などを指す。
重量の問題や安全性の確保の問題など、ロボッ
トを今後普及させていくためには動力源の技術進
歩が求められている。
制御技術
ロボットが目的通りに働くように、動作の幅や方
向を調節する技術。足を動かす、といった動きを
伴うものだけでなく、エアコンの温度を一定にす
るなど、設定した目標に対して調節するのも制御
技術に含まれる。
アクチュエータ
電気や油圧などのエネルギーを動力源として、指
示された仕事を機械的に行う装置。人間でいえ
ば筋肉に当たる部分で、手や足などが目的通り
に作動するように、さまざまな方法で力を加える。
高分子やゲルなどで作動させる方法もある。
研究機関 大学など
動力源
バッテリー
二次電池
燃料電池
制御技術
移動制御
(車輪・クローラ)
二足歩行制御
他足歩行制御
ロボットマニュピレーション制御
アクチュエータ
(筋肉)
サーボモータ
リニアアクチュエータ
高分子アクチュエータ
減速器
【緊急地震速報読み上げ装置】 【地域見守りシステム】
利用者固有のIDが登録された
「携
帯型無線通信装置」が利用者の
位置情報を巡回中の警備員に知
らせて安全を守るほか、マンショ
ンの施錠、エレベーターの昇降を
自動で行う。感知した情報を位置
情報に変えるソフトウエアがこの
システムを可能にした。
次世代ロボット産業の創出拠点「ロボットラボラトリー」
【健康管理ロボット】
複数のセンサを組み合わせるこ
とで、寝るときの癖や体の状態を
検知し、最適な寝心地を提供す
るベッドや、尿の成分を自動的に
検査し、健康状態を知らせてくれ
るトイレなどが開発されている。
サービス開発
ロボット・RTの機能と市場ニー
ズとを付き合わせることで、ロボ
ットが貢献できるさまざまなサー
ビスが開発されている。例えば、
入退室の確認やセキュリティ、
物流の管理、自走式掃除機によ
る清掃作業といった、オフィス
での活用はもちろん、テレビ会
議やエアコンの体感センサ、街
角で見かける電子広告など、私
達の周りには、意識せずともRT
が使われており、私達の生活の
中に浸透しているのだ。
また、動物型ロボットが、玩具
商 業・オフィス
【自律移動型清掃ロボット】
広いフロアを“自動”で掃除する。
人や壁を認識する「超音波セン
サ」と、進む方向をまっすぐに修
正する「ジャイロセンサ」を併用。
センサで人を認識すると、自動
的に声がけもする。遠隔操作で
きるソフトウエ
アも組み込まれ
ている。
としてだけでなく、福祉の現場
でロボット・セラピー効果を実証
【動くPOP広告】
【人の位置情報を
センサユニットで計測】
ダンボール部分に商品の画像や
ロゴなどをプリントしたロボット
商業施設などの広い空間で、多
が、
“動いて・魅せる”POP広告を くの人々の位置を素速く精確に計
展開。各関節には
「サーボモータ」 測するシステム。システムから得
が用いられており、制御機能を られる人々の動きを蓄えることで、
駆使してさまざま
マーケティング分析も可能になる。
なポーズをとるこ
とができる。
しているように、新たな役割を創
出している例もある。豊かな生
活を送るためには、もはや欠か
せない存在となっているRT。あ
らゆる分野で研究開発が進んで
おり、ロボット・RTを活用した
ビジネスの可能性は無限大と言
えるだろう。
ネットワークを
介してサービス
を提供する知
的システム
ⓒATR
医 療・介護・福祉
【上肢リハビリロボット】 【小型軽量の電動車イス】
身体が不自由な人のリハビリを助
け、日常生活をサポートするとも
に、介護者の肉体的負担を軽減
する。スーツ型や人体に機構を
装着するタイプがある。
「電動ア
クチュエータ」等が、体の動きを
増幅し、動作を助ける。
小型で効率の良い
「リチウムイオ
ン二次電池(充電用バッテリー)
」
を搭載することで、大幅な軽量
化を実現した小型車イス。機動
的に動かす上で、電池の重量を
抑えることが普及に向けた課題。
軽量化によ
って用途拡
大が期待さ
れる。
技術開発
RooBO ロボット産業でのビジネス創出をめざす企業のネットワーク
02 b-platz press vol.105
RTを活用した商品
生 活空間
ケーブルテレビ回線やインター
ネットを使って、気象庁から配信
される緊急地震速報を知らせる
装置。緊急地震速報電文を受け、
予測震度・猶予秒数を演算し、
音声情報に切り替え、スピーカー
で伝える。
RTを活用した商品を
使ったサービス
製品開発
【動物型ロボット】
高度な音声認識
技術を備えた家
庭用コミュニケー
ションロボット
近年注目されているのがロボット
の癒し効果。その代表である動物
型ロボットは、人間の行動をセンサ
が感知し、かわいいしぐさや表情
で応える。
“飼育の手間のかから
ないペット”として介護福祉施設
などでの活用が見込まれている。
街全体の安心・
安全を確保する
ユビキタスセキュ
リティシステム
空間に新しい価
値を創り出す屋
上緑化知能化管
理システム
サービス開発
組み込みソフトウエア技術、金型技術、電子部品・デバイスの実装技術、プラスチック成形加工技術、溶射技術、鍛造技術、
ものづくり基盤技術 動力伝達技術、部材の結合技術、鋳造技術、金属プレス加工技術、位置決め技術、切削加工技術、溶接技術、めっき技術など
長距離無線通信技術、近距離無線通信技術、無線タグ
(RFID)
、有線・無線シームレス接続、IPv6、
ユビキタスネットワーク技術 アドホックネッ
トワーク、ネットワークセキュリティ技術
http://www.robo-labo.jp/
今後、発展が見込めるRT活用ビジネス・サービスの創出にむけて、実証実験や人材育成プログラム、
b-platz press vol.105 03
イベントなどを開催するほか、技術開発企業とRT導入企業との橋渡しを行っている。