サーボモータを利用した汎用デジカメシャッター装置の試作 Shuttere pressing device for digital camera by using servo motor unit ○ 横浜市総合リハビリテーションセンター・藤記拓也飯島浩キーワード：カメラ、サーボモータ、試作 1. はじめに上肢に障害のある障害者の方から、余暇活動・趣味の一つとして、あるいは、日常生活の一部として写真撮影をしたいという希望を聞くことがある。特に、デジタルカメラの普及により、フィルムの枚数などを気にせず気軽に撮影できるようになったため、周囲の人々が写真撮影をする機会が増えていることにも影響されているようである。今回、サーボモータを利用して、ワンスイッチで気軽にデジタルカメラでスナップがとれるように、汎用デジタルカメラシャッター押し装置(以下：シャ図 1 デジカメとレリーズ付ブラケットッター装置とする)を試作したので報告する。 2. 装置の概要ズも接続することができないものが多い。このようカメラのシャッターを外部から切る方法の一つにな機種用に、レリーズケーブルで機械的にシャッタは、レリーズと呼ばれるケーブルを接続する方法がーを押すように固定できるレリーズ付ブラケットとある。このレリーズケーブルのボタンを押すことがいうカメラのアクセサリーが発売されている(図 1)。できれば、シャッターを切ることができる。フィルレリーズのボタンを押すことにより、内部のワイヤムカメラが主流の時代には、一眼レフなどの大きめが押され、他端がデジタルカメのシャッターボタンのカメラには、レリーズの接続端子がついていた。を機械的に押すことができるようにする、レリーズしかし、デジタルカメラの時代になり、一眼レフの及びコンパクトデジタルカメラを固定する器具であデジタルカメラも、電子レリーズと呼ばれるスイッる。チを用いた電子的なデバイスを接続して外部からシ今回は、ラジコンで使われるサーボモータを駆動ャッターを切る方法に移行してきた。従って、ワンして、レリーズのボタンを押し、レリーズが接続でスイッチでシャッターを押す方法を、この電子レリきない機種については、レリーズ付ブラケットを使ーズの改造をすることで、実現することができる。用することで、シャッター押し装置を試作することしかし、メーカー毎、中には機種毎に電子レリーズとした。の規格が違うため、カメラを買い替えると改造もやり直しとなることが多い。また、コンパクトデジタルカメラの場合は、レリーズケーブルや電子レリー 3. 装置の実際かい動作や特殊な動作を可能にする方法を工夫することも必要かもしれない。この場合は、汎用的な装置というよりも、人間の指の代わりをさせるという位置づけの装置として考えることができるかもしれない。著者らは、以前にサーボモータを利用して、改造できないマンションのインターホンのボタンを押す装置を製作したことがあった 1)。上肢の障害により、電子・電気機器が使用できない場合、スイッチなどの部分を改造して操作可能となるようにすることが図 2 試作したシャッター押し装置あるが、改造できない、あるいはコストの問題などから改造したくない場合に、機器のスイッチなどを指で押す代替として、サーボモータ(及びレリーズ) 実際に試作した装置を図 2 に示す。サーボモータの回転核を制御するための装置として、ATMEL 社のを使用する方法は汎用性の面において有効ではないかと考えている。ワンチップマイコンである AVR を使用し、サーボモータのユニットは、大きさ・耐久性・価格から、 6. 参考文献 GWS(Grand Wing Servo Tech.)社の Micro/2BB/MG というモデルを使用した。レリーズは株式会社エツミのレリーズ付ブラケットに付属のものを使用した。駆動電源は、可搬できるよう単三電池 3 本を使用している。 4. 実際の使用例現在、作成した装置をある脳性麻痺の方に使用してもらっている。電動車椅子で移動しているので、テーブルにクランプを利用して、レリーズ付ブラケットとコンパクトデジタルカメラを固定し、ジェリービーンスイッチによりシャッターを押している。デジタルカメラは、以前家族が使用していたコンパクトデジタルカメラをそのまま使用することができた。 5. 今後の課題および応用現在の装置は、シャッター押し装置としては問題なく使用できているが、コンパクトデジタルカメラの側に設置すると、デジタルカメラと比して見た目がやや大きい。そのため、さらにコンパクトにすることが課題である。また、シャッターの半押し(ピントのみ合わせる)状態で停止し、再度のスイッチ動作 (または長押し)によりシャッターを切るような動作を望まれる場合もあると考えられる。このような細 1)藤記ほか:サーボモータを利用したボタン押し装置の試作,第 27 回リハ工学カンファレンス予稿集,201-202,2012