電気工学科 適応ディジタル信号処理に関する研究 携帯電話など様々な通信機器では、通信品質を向上するために適応信号処 理が使われています。その適応システムを提案し評価しています。 ■適応ディジタル信号処理 携帯電話をはじめとする様々な通信機器や、BS などに代表される放送機器は、近年急速にディジタ ル化が進んでいます。これらの機器にはディジタル シグナルプロセッサ(DSP)と呼ばれる信号処理 専用コンピュータが入っています。このDSPを利 用することで、従来のアナログ機器では困難であっ た通信品質を向上するための処理を行うことが可能 になりました。 代表的な処理としては、反射などで生じた不必要 な信号の除去、雑音に埋もれてしまった必要な信号 の摘出、そして、騒音などの発生を抑圧する方法、 などがあげられます。これらには、適応ディジタル 信号処理技術が用いられています。 ■適応システムと学習アルゴリズム 例えば、電話で通話中に自分の声が遅れて受話器 から聞こえる事があります。これは、相手の受話器 で出力された自分の声が、その送話器に拾われて伝 わってきた音です。この様な反響音を発生させる環 境は使用する状況によって異なる特性を持つなど一 定ではありません。そのためこれらは未知システム と呼ばれます。 この未知システムの特性に対して、適応システム の特性は学習によって求められます。未知システム 出力と適応システム出力の差によって、それが最小 になるように適応システムの特性を更新します。学 習が進むと、適応システムの特性は未知システムに 近似し、特性の推定が完了します。 適応システムの学習方法には、多くのアルゴリズ ムが提案されています。これら学習アルゴリズムに は様々な特徴があり、それぞれ利点や欠点がありま す。残念ながらすべての用途に最適なアルゴリズム は存在しないので、用途に応じて適切な学習アルゴ リズムを選択し用いることが適応ディジタル信号処 理を導入する上で重要になってきます。 私たちの研究室では、適応ディジタル信号処理で 用いる学習アルゴリズムや、適応システムの構成方 法について提案しています。また、提案したシステ ムやアルゴリズムの数値計算シミュレーションによ って、特性などの評価を行っています。また、未知 システムの特性推定についても行っています。 未知システムと適応システムのモデル図 適応システムの学習モデル 徳井 直樹(とくい なおき) [email protected] 076-288-8119 【生年月】1964 年 11 月 【職名】助教授 【学位】博士(工学) 【学位論文名】入力の直交化を行う適応フィルタの収束解 析と高速学習法に関する研究 【学歴・職歴】長岡技術科学大学工学部卒業(1987),長岡 技術科学大学大学院修士課程修了(1989),金沢大学大学院 自然科学研究科博士後期課程修了(2002),石川工業高等専 門学校電気工学科助手(1989),石川工業高等専門学校電気 工学科助教授(2003) 【専門分野】ディジタル信号処理 【研究課題】適応信号処理用システムの提案と評価 【キーワード】ディジタルフィルタ,適応システム,数値 シミュレーション,適応アルゴリズム
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