102 好中球アルカリホスファターゼの発現を誘導する造血因子・サイトカインの探索 ◎田中 佳奈子 1)、福田 夏未 1)、折田 彩香 1)、田﨑 晴夏 1)、菊池 亮 2) 熊本保健科学大学医学検査学科 4 年生 1)、熊本保健科学大学 2) 【目的】炎症・感染症において好中球アルカリホスファタ ATRA 1μM を加え、サイトカイン類を種々の組み合わせで ーゼ(NAP)スコアが高値を示すが、高値となる機序は依 添加して 7 日間培養した。培養終了後にサイトスピンで塗 然不明な点が多い。NAP 活性を up regulate する因子として 抹し、W-G 染色標本で分葉核球への分化の有無を確認し、 顆粒球生成刺激因子(G-CSF)が知られている。我々のこ NAP 染色(朝長法、自家製試薬)標本で NAP 陽性率を算 れまでの研究で、炎症性サイトカインのうち好中球遊走因 出した。NAP と Gelatinase の mRNA 発現を検討した。 子 IL-8 が G-CSF と協調して NAP 発現を up regulate し、 【結果】分化前 HL-60 細胞(Myeloblast と Promyelocyte) TNF-α は逆に down regulate すること、IL-1β と IL-6 には明 の NAP 染色は陰性(0%)であった。ATRA による分化後 らかな作用は認められないことなどを報告してきた。 も陰性(0%)であったが、G-CSF が加わると(ATRA+G- Niwa らは、先天性好中球減少症(SCN)患者から樹立した CS)約 15%が陽性となり、ATRA+G-CSF+IL-8 は約 20%陽 iPS 細胞を好中球に分化させる際、幹細胞因子(SCF)、ト 性であった。ATRA+G-CSF+IL-8+SCF+TPO で 20%を超え ロンボポエチン(TPO)、インターロイキン-3(IL-3)、G- たが、IL-3 が加わると陽性率は有意に低下した。 CSF などを加えて培養し、培養後に成熟好中球の指標とな Gelatinase は好中球の3次顆粒に含まれているが、 HL- る Gelatinase と Lactoferrin の産生を免疫染色で証明してい 60 細胞は分化前でも Gelatinase mRNA 発現が認められ、分 る(PLoS One6(7):e22261, 2011)。そこで我々は、急性前骨 化誘導の指標とはならなかった。NAP mRNA は ATRA+G- 髄球性白血病細胞株 HL-60 細胞を ATRA で好中球に分化誘 CSF で発現が認められた。【考察】SCF と TPO はすべての 導する実験系に SCF, TPO, IL-3, IL-8, G-CSF を添加培養し、 血球の産生に重要な造血因子とされており、NAP 発現にも これらの造血因子・サイトカインの NAP 活性の発現誘導作 関与している可能性が示唆された。一方、IL-3 は NAP 発現 用の有無を検討した。【試料及び方法】HL-60 細胞に を抑制した。[email protected]
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