好中球アルカリホスファターゼの発現を誘導する造血因子・サイトカインの

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好中球アルカリホスファターゼの発現を誘導する造血因子・サイトカインの探索
◎田中 佳奈子 1)、福田 夏未 1)、折田 彩香 1)、田﨑 晴夏 1)、菊池 亮 2)
熊本保健科学大学医学検査学科 4 年生 1)、熊本保健科学大学 2)
【目的】炎症・感染症において好中球アルカリホスファタ
ATRA 1μM を加え、サイトカイン類を種々の組み合わせで
ーゼ(NAP)スコアが高値を示すが、高値となる機序は依
添加して 7 日間培養した。培養終了後にサイトスピンで塗
然不明な点が多い。NAP 活性を up regulate する因子として
抹し、W-G 染色標本で分葉核球への分化の有無を確認し、
顆粒球生成刺激因子(G-CSF)が知られている。我々のこ
NAP 染色(朝長法、自家製試薬)標本で NAP 陽性率を算
れまでの研究で、炎症性サイトカインのうち好中球遊走因
出した。NAP と Gelatinase の mRNA 発現を検討した。
子 IL-8 が G-CSF と協調して NAP 発現を up regulate し、
【結果】分化前 HL-60 細胞(Myeloblast と Promyelocyte)
TNF-α は逆に down regulate すること、IL-1β と IL-6 には明
の NAP 染色は陰性(0%)であった。ATRA による分化後
らかな作用は認められないことなどを報告してきた。
も陰性(0%)であったが、G-CSF が加わると(ATRA+G-
Niwa らは、先天性好中球減少症(SCN)患者から樹立した
CS)約 15%が陽性となり、ATRA+G-CSF+IL-8 は約 20%陽
iPS 細胞を好中球に分化させる際、幹細胞因子(SCF)、ト
性であった。ATRA+G-CSF+IL-8+SCF+TPO で 20%を超え
ロンボポエチン(TPO)、インターロイキン-3(IL-3)、G-
たが、IL-3 が加わると陽性率は有意に低下した。
CSF などを加えて培養し、培養後に成熟好中球の指標とな
Gelatinase は好中球の3次顆粒に含まれているが、 HL-
る Gelatinase と Lactoferrin の産生を免疫染色で証明してい
60 細胞は分化前でも Gelatinase mRNA 発現が認められ、分
る(PLoS One6(7):e22261, 2011)。そこで我々は、急性前骨
化誘導の指標とはならなかった。NAP mRNA は ATRA+G-
髄球性白血病細胞株 HL-60 細胞を ATRA で好中球に分化誘
CSF で発現が認められた。【考察】SCF と TPO はすべての
導する実験系に SCF, TPO, IL-3, IL-8, G-CSF を添加培養し、
血球の産生に重要な造血因子とされており、NAP 発現にも
これらの造血因子・サイトカインの NAP 活性の発現誘導作
関与している可能性が示唆された。一方、IL-3 は NAP 発現
用の有無を検討した。【試料及び方法】HL-60 細胞に
を抑制した。[email protected]