「尿路結石について」 泌尿器科部長 木村元彦 1.症状・経過 片方の背中や脇腹が突然激しく(あるいは鈍く)痛むことで発症する患者さんが多いで す。しばしば血尿を伴います。 激しい痛みは数日以内で落ち着くことが多く、たいがい 痛み止め(座薬や飲み薬のほか、注射)でコントロール可能です。しかし痛みがおさまっ ても必ずしも石がなくなったわけではないので、泌尿器科医による診察やレントゲン検査 などが望まれます。また結石に尿路感染を併発すると、高熱をきたし重症になるため、早 急な治療が必要となります。 2.治療 (1)自然排石 小さい結石は、水分を多くとって自然に排石されるのを待つことになります。 (2)衝撃波治療 (写真) 体外衝撃波結石破砕術は、体の外から衝撃波を当てて、体内で結石のみを細かく砕く治 療です。砂状になった石が、尿と一緒に出てくるのを待つことになります。入院をせずに 外来で行っており、麻酔も必要としません。新潟県下越地区としては他院に先駆けて 1990 年に衝撃波治療の器械を導入し、 これまでに 4000 人以上の方に衝撃波治療を行いました。 2006 年 9 月から 2008 年末までの 2 年間 448 例において、 (単回および複数回治療を合わせ た)完全排石率 79%、有効率 89%の成績でした。 (3)内視鏡手術(図) 石の場所や大きさによっては、内視鏡手術(経尿道的砕石術など)を行っています。入 院や麻酔が必要ですが、衝撃波治療に比べて石のかけらが体内に残る率が低いなど長所も あります。2002 年から 2009 年末まで 8 年間の経尿道的砕石術 253 例で、 (単回治療の)完 全排石率 89%、有効率 91%の成績でした。2010 年からは新式の砕石レーザーを導入し、成 績はさらに向上しています。 3.再発予防 水分(水か麦茶)をよく摂取するのが第一です。肉類を減らし野菜を多めに、カルシウ ム(牛乳・小魚)をやや多めにとりましょう。朝昼夕食のバランスをとる(夕食は少な目 に)ように心がけたいものです。 <患者の皆様へ> 紹介がなくても外来受診は可能です。しかし、急な症状(激痛・高熱など)でない限り、 まずかかりつけの先生や泌尿器科診療所(医院、クリニック)を受診してください。その 上で必要に応じて当院へ紹介してもらうことをお勧めします。限られた外来診察時間をよ り有効に使うため、無理のない範囲でぜひご協力下さい。
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