電磁波探査による 洪積台地下 の揚水源選定 (Ⅲ ) Selectivity of the groundwater resources in thediluvial terrace by electricprospecting( CSAMT )( Ⅲ ) ○ 奥野日出 * Hizuru Okuno 小山修平** Shuhei Koyama 1. はじめに 近 年, 灌漑目的 や都 市 近 郊の 水 環 境 整 備 ● F3 の一 環と し て深 井 戸に よ る水 源 確 保 は , ● F2 ア ー ス ダ ム やため 池に よ る水 不 足を補 う ことや防災用の 非常時水源だけではなく, ● F1 W1 ● F4 地域 の環 境 保 全に 資す る水 と し て広 く注 目 さ れ て い る. 基盤岩隆起部 著 者ら は特 に地 形 地 質 的 に地 下 水 涵 養 域 が乏 し い と考 え ら れ る兵 庫 県 S 市 周 辺 ● F5 F7 ● Wd の 洪積台地 を対 象 と す る地 域に お い て, 電 磁 波 探 査( CSAMT 法 )よ り 深 井 戸 揚 水 源 の確 保し 易い位 置を 検討し て き た. 1), 2 ) 本 稿で はF地 区( 19 点 ),N地 区( 11 点 ) F 6 ● W2 の探査結果 より比抵抗基盤面を 追跡し , その 地域 の地下水盆 や断 層 系を 明らかに することにより新設井戸位置を 提案し , 200m 0 Fig.1 比抵抗基盤面の分布状況 施 工 後の 揚水試験結果 から 豊富 な揚水量 が 得られた井戸性能 と地質条件と の関係 に つ い て考 察した . 2. 調査結果及 び考 察 (1 )比抵抗基盤面 の分 布と 井戸選定位置 丘 陵 台 地か ら な る当地域 は中生代 の花 崗 閃 緑 岩を 基盤 とし ,新 第 三 紀 鮮 新 世 の大 阪 層群粘土 ・砂 ・礫 等の 地層 に覆 われ ,造 構 活動 による 基盤岩起伏の 著しいところで あ る が, 本 探 査を 用い た地 下 構 造の 可 視 化 に よ り想 定し た地 質と 地下水盆領域 は新 設 井戸位置の 選定や 井戸長 の計画 に適切 で Fig.2 F 地区の比抵抗断面図と井戸位置 あり ,施工後は 良好 な井戸性能 が得 られた . 箇 所 の 候 補 地 を 選 び ,比 抵 抗 基 盤 面 を 求 め 平 成 15 年 F地区 に計 画 揚 水 量 500m/day 3 の新設井戸を井戸干渉を避けて設ける ため ,既往調査地 1 ) ,2) の 北方 50ha の ほ 場で 7 て 地 下 水 盆 領 域を 想定し た( Fig.1). 比抵抗基盤面は各測点のファーフィール ド 領域 とニ ア ー フ ィ ー ル ド補 正を 行っ た境 * 株式会社 アスカソイルコーナー Co.,Ltd. Asuka SoilCorner * * 大阪府立大学大学院 環境情報工学研究室 Osaka PrefectureUniversity Environmental Information Science and Application Engineering Lab. キ −ワ−ド: ①電磁波 ② 地下水盆 ③ 井戸性能 界 付 近の 変化点 を連 ね た も の で あ り, Fig.1 よ り, 基 盤 岩 隆 起 部 が求 め ら れ F1 付 近 に 基 盤 底が 想定できた . Fig.2 に F6-F7-F1 測 線 の 比 抵 抗 断 面 図 を 示 す . 新 設 井 戸 W1 は 既 設 井 戸 W2 か ら 650m 離 れた F1 付 近に選 定し た.尚 ,こ の 間の 既設井戸 Wd は も と も と 水源はなく , 基 盤 面 凸 部に あ る こ と か ら も , W1 と W2 は殆 ど井 戸 干 渉が な い も の と判 断できる . *は 井戸性能 に関わる 留意すべき 項目 状 況にあると 考えられる . 次に連続揚水時か ら得 られた 透水係数 k,k' よ り, W1 は Δ S から 求め た k と回復時 の k' と は大 差 はないが , W2 で は半 オーダ ー 程度 の差が あ っ た( k' > k). W2 で は 揚水時 に 井 戸 損 失 が生 じ た も の Fig.3 N 地区の比抵抗断面図と井戸位置 と 考えられ ,井 戸 構 造の 原因 と し て開口率 Fig.3 に 示 す N 地 区 の ほ 場 地 内 で は 地 下 が 小さ い こ と や 目詰 まり 等が 考え ら れ た. 水盆領域が 狭く井戸干渉 を避けるため , 3 .おわりに 断 層 破 砕 帯に水 源を 設けた . 地 下 構 造 の 可 視 化 を 目 的 と す る CSAMT ( 2 )井 戸 性 能と 地 質 条 件 法 は ,基 盤 岩 の 起 伏 が 著 し い 基 盤 面 を 追 跡 新 設 井 戸 W1 , 既設井戸 W2 の仕 様・ 性 し て 地 下 水 盆 領 域や 断 層 系 を 把 握 で き る 能, 地質状況及 び揚水試験結果 を Table1 に こ と か ら深 井 戸 位 置 の選 定に 有効 な手 法と 示す . 考 え,比抵抗値 から想 定した 地質と 施工 W1 は 基 盤 岩 直 上の 礫 層 まで 掘 削し て 礫 か ら確認 した地 質とに 大差のないことが 層 と中 間 砂 層に ス ク リ ー ン を設 け , W2 で 分 った .ま た井 戸 損 失の 少な い設 計 施 工を は未着岩 で中間砂層 に そ れ を設 けた . 行 うには ,基 盤 底 付 近 に揚 水 源を求 めて 両 者の 帯水層厚 には 若干 の差 があるが , 井戸長 を計 画し 開 口 率の 大き いス ク リ ーン W1 の 揚 水 量(計画 より 増量 )は W2 の 2 倍 を 用い る こ と が望 まれる . 近く 得ら れ,連 続 揚 水 時 1 サイクル に お け < 引 用 文 献> る水位低下量 Δ S は W1 で 3.4 m, W2 で 1)奥 野 ・ 小 山 : 電 磁 波 探 査 に よ る洪 積 台 地 は 4.2m と な り W1 で の井 戸 効 率の 良い こ 下 の 揚 水 源 選 定,平 成 13 年 度 農 土 学 会 講 演 とが 分か る( Table 1 ). 会 ,P.656 ∼ 657 これは 着岩付近 の礫 層からの 湧水効果 や 2)奥 野 ・ 小 山 : 電 磁 波 探 査 に よ る洪 積 台 地 ス ク リ ー ンの 開 口 率が 大き く帯水層 の流 れ 下 の 揚 水 源 選 定 ( Ⅱ ) , 平 成 15 年 度 農 土 学 会 の抵 抗が 少な い た め, 井戸損失 が殆 ど な い 講 演 会 ,P.932 ∼ 933
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