くちきデイリーニュース 〒973-8411 2015 年 6 月 8 日(月) 福島県いわき市小島町2-9-15 株式会社朽木会計事務所 TEL 0246-27-3631 FAX 0246-26-4234 Email 所得拡大促進税制 中小企業の留意点 [email protected] た者です。加えて、高年齢者等の雇用の安 定等に関する法律に基づくところの継続雇 用制度の対象者は除く、とされています。 所得拡大促進税制、正式には、雇用者給 与等支給額が増加した場合の法人税額の特 別控除です。 大企業に配慮した改正 大企業といえども適用要件の1つである ①適用年度の給与等支給増加額が基準年度 の給与等支給額に対する増加率5%はその ハードルが高く、また、雇用者の新規採用 に比して今後もかなりの退職者が見込まれ 中小企業への配慮があってしかるべし いったい何が問題なのか、ですが、対象 となる雇用者給与等支給額から、使用人兼 務役員の給与等支給額は除かれている、と いうことです。そして、その上で、適用年 度の給与等支給増加額が基準年度の給与等 支給額の 2%増の要件を満たさなければこ の特例が使えない、ということなのです。 仮に、基準年度において、使用人であっ たものが、その後の適用年度において役員、 ることから、もう1つの適用要件である② 平均給与等支給額が前期の平均給与等支給 額以上とはならず、結果、この特例が適用 できないこととなる事態も想定されること から、平成 26 年度税制改正で次のような改 正が行われました。 1つは、増加率は平成 26 年度 2%、27 年 度は 3%、平成 28・29 年度 5%、そして、 もう1つは、継続雇用者をベースにした平 均給与等支給額の算定と平均給与等支給額 例えば、取締役経理部長、取締役営業部長 といった役員に昇格した場合、当該使用人 兼務役員になった者の給与等は基準年度で は雇用者給与等支給額に含まれ、一方、適 用年度において除かれることになり、適用 年度の給与等支給額が基準年度のそれを上 回ることにはならず、結果、この特例の適 用を受けられない可能性は大となります。 平成 26 年度の税制改正においては、中小 企業のこの点にも配慮した、使用人兼務役 が前期のそれを超えるとする改正です。こ の2つの改正により、大企業でもこの特例 を容易に適用できる環境が整いました。 ちなみに、この継続雇用者とは、雇用保 険の加入対象者で給与等の支給を受けた国 内雇用者であり、前期と適用年度のいずれ の事業年度においても給与等の支給を受け 員の給与等支給額の取扱いについての改正 が望まれたところでした。 役員になると、雇用者 給 与 等支 給額 に カ ウ ントされませんよ! 補足と解説 1.適用要件の整理 要件1 〇比較平均給与等支給額とは、次の算式で計算し 雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給 た金額をいいます。 額に対する割合である「雇用者給与等支給増加割合」 (算式) が2%以上(平成27年度3%、28 年・29 年度 5%) 継続雇用者比較給与等支給額/前年の給与等月 であること。 別支給額対象者の数を合計した数 〇雇用者給与等支給増加額とは、次の算式より ※継続雇用者とは、適用年度及び適用年度の前年に 計算した金額です。 おいて給与等の支給を受けた国内雇用者をいい、雇 雇用者給与等支給増加額=適用年度の雇用者給 用保険の一般被保険者に該当する者で、かつ、高齢 与等支給額-基準雇用者給与等支給額 者の雇用安定化に基づく法律の適用対象となって 〇基準年度雇用者給与等支給額とは、基準事業年 度の所得の金額の計算上、損金の額に算入され る国内雇用者に対する給与等支給額です。 いる「継続雇用制度対象者」を除くとなっています。 2.国内雇用者とは 法人の使用人(その法人の役員の特殊関係者及び 〇基準事業年度とは、平成 25 年 4 月 1 日以後に開 使用人兼務役員を除く)のうち、国内の事業所に勤 始する各事業年度のうち最も古い事業年度開始 務する雇用者をいいます。具体的には、その法人の の日の前日を含む事業年度をいいます。 国内に所在する事業所につき作成された労働基準法 要件2 雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額 以上であること。 〇雇用者給与等支給額とは、適用年度の所得の 金額の計算上、損金の額に算入される国内雇 用者に対する給与等の支給額をいいます。 〇比較給与等支給額とは、適用年度開始の日の 前日を含む事業年度における雇用者給与等 支給額をいいます。 要件3 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を 超えていること。 〇平均給与等支給額とは、次の算式で計算した 金額をいいます。 (算式) 継続雇用者給与等支給額/給与等月別支給対 象者の数を合計した数 第 108 条に規定する賃金台帳に記録された者をいい ます。パートやアルバイトであってもその対象にな ります。 3.同制度の対象外となる者の給与等 法人の役員、使用人兼務役員、役員の特殊関係者 の給与等 根拠法令 措置法第 42 条の 12 の4 政令 27 条の12の4 規則 20 条の9 参考文献 ・週刊税務通信No3308(平成 26 年 4 月 21 日) ・平成 26 年 改正税法のすべて P263~266
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