くちきデイリーニュース

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〒973-8411
2015 年 6 月 8 日(月)
福島県いわき市小島町2-9-15
株式会社朽木会計事務所
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所得拡大促進税制
中小企業の留意点
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た者です。加えて、高年齢者等の雇用の安
定等に関する法律に基づくところの継続雇
用制度の対象者は除く、とされています。
所得拡大促進税制、正式には、雇用者給
与等支給額が増加した場合の法人税額の特
別控除です。
大企業に配慮した改正
大企業といえども適用要件の1つである
①適用年度の給与等支給増加額が基準年度
の給与等支給額に対する増加率5%はその
ハードルが高く、また、雇用者の新規採用
に比して今後もかなりの退職者が見込まれ
中小企業への配慮があってしかるべし
いったい何が問題なのか、ですが、対象
となる雇用者給与等支給額から、使用人兼
務役員の給与等支給額は除かれている、と
いうことです。そして、その上で、適用年
度の給与等支給増加額が基準年度の給与等
支給額の 2%増の要件を満たさなければこ
の特例が使えない、ということなのです。
仮に、基準年度において、使用人であっ
たものが、その後の適用年度において役員、
ることから、もう1つの適用要件である②
平均給与等支給額が前期の平均給与等支給
額以上とはならず、結果、この特例が適用
できないこととなる事態も想定されること
から、平成 26 年度税制改正で次のような改
正が行われました。
1つは、増加率は平成 26 年度 2%、27 年
度は 3%、平成 28・29 年度 5%、そして、
もう1つは、継続雇用者をベースにした平
均給与等支給額の算定と平均給与等支給額
例えば、取締役経理部長、取締役営業部長
といった役員に昇格した場合、当該使用人
兼務役員になった者の給与等は基準年度で
は雇用者給与等支給額に含まれ、一方、適
用年度において除かれることになり、適用
年度の給与等支給額が基準年度のそれを上
回ることにはならず、結果、この特例の適
用を受けられない可能性は大となります。
平成 26 年度の税制改正においては、中小
企業のこの点にも配慮した、使用人兼務役
が前期のそれを超えるとする改正です。こ
の2つの改正により、大企業でもこの特例
を容易に適用できる環境が整いました。
ちなみに、この継続雇用者とは、雇用保
険の加入対象者で給与等の支給を受けた国
内雇用者であり、前期と適用年度のいずれ
の事業年度においても給与等の支給を受け
員の給与等支給額の取扱いについての改正
が望まれたところでした。
役員になると、雇用者
給 与 等支 給額 に カ ウ
ントされませんよ!
補足と解説
1.適用要件の整理
要件1
〇比較平均給与等支給額とは、次の算式で計算し
雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給
た金額をいいます。
額に対する割合である「雇用者給与等支給増加割合」
(算式)
が2%以上(平成27年度3%、28 年・29 年度 5%)
継続雇用者比較給与等支給額/前年の給与等月
であること。
別支給額対象者の数を合計した数
〇雇用者給与等支給増加額とは、次の算式より
※継続雇用者とは、適用年度及び適用年度の前年に
計算した金額です。
おいて給与等の支給を受けた国内雇用者をいい、雇
雇用者給与等支給増加額=適用年度の雇用者給
用保険の一般被保険者に該当する者で、かつ、高齢
与等支給額-基準雇用者給与等支給額
者の雇用安定化に基づく法律の適用対象となって
〇基準年度雇用者給与等支給額とは、基準事業年
度の所得の金額の計算上、損金の額に算入され
る国内雇用者に対する給与等支給額です。
いる「継続雇用制度対象者」を除くとなっています。
2.国内雇用者とは
法人の使用人(その法人の役員の特殊関係者及び
〇基準事業年度とは、平成 25 年 4 月 1 日以後に開
使用人兼務役員を除く)のうち、国内の事業所に勤
始する各事業年度のうち最も古い事業年度開始
務する雇用者をいいます。具体的には、その法人の
の日の前日を含む事業年度をいいます。
国内に所在する事業所につき作成された労働基準法
要件2
雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額
以上であること。
〇雇用者給与等支給額とは、適用年度の所得の
金額の計算上、損金の額に算入される国内雇
用者に対する給与等の支給額をいいます。
〇比較給与等支給額とは、適用年度開始の日の
前日を含む事業年度における雇用者給与等
支給額をいいます。
要件3
平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を
超えていること。
〇平均給与等支給額とは、次の算式で計算した
金額をいいます。
(算式)
継続雇用者給与等支給額/給与等月別支給対
象者の数を合計した数
第 108 条に規定する賃金台帳に記録された者をいい
ます。パートやアルバイトであってもその対象にな
ります。
3.同制度の対象外となる者の給与等
法人の役員、使用人兼務役員、役員の特殊関係者
の給与等
根拠法令
措置法第 42 条の 12 の4
政令 27 条の12の4
規則 20 条の9
参考文献
・週刊税務通信No3308(平成 26 年 4 月 21 日)
・平成 26 年
改正税法のすべて
P263~266