2015 年 3 月 10 日 第 1 号 http://kokkai.ndl.go.jp

2015 年 3 月 10 日 第 1 号
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/189/0031/18903100031001a.html
189-衆-予算委員会第一分科会-1 号 平成 27 年 03 月 10 日抜粋
○平沢主査 これにて宮崎政久君の質疑は終了いたしました。
次に、阿部知子君。
○阿部分科員 民主党の阿部知子です。
本日は、分科会のお時間を頂戴いたしまして、中谷防衛大臣と少しじっくりと、自衛隊員
の人権問題について、幾つかの事案を挙げながら質疑をさせていただこうと思います。
まず一番目は、いわゆるいじめ自殺問題であります。
既に大臣も御承知のように、横須賀の護衛艦の「たちかぜ」艦内で起きたいじめ自殺問題、
昨年の四月、高裁の判決が、いじめであったという認定をされて、しかるべく御家族にも金
額的な謝罪という形であらわされたものであります。この事案は、まず、二〇〇四年に御家
族側が息子さんを亡くして、二〇〇六年に提訴。約十年がかかった事案でございます。
一九九九年には、佐世保の「さわぎり」という護衛艦の中で同じような事案があったとい
うことで、この事案以来、自衛隊の、特に隊内におけるいじめ自殺問題が大きくクローズア
ップされております。
そうした高裁判決が確定しましたと同時に、ほとんど時間を置かず、今度は八月には、防
衛大学校で二年生の生徒が上級生八人にいじめを受けて、この事案はもう大臣も御承知と
思いますが、陰惨の一言に尽きます。例えば、委員会でも取り上げられたことがありますが、
陰毛にライターをつけたり、本人の写真を黒枠で囲ってLINEに流したり。私は、最近起
きた十三歳の少年の殺害事件と同じ質の、抵抗できない者を無理やりに力をもっていじめ
ていくという構造があるなと大変残念に思っている事案です。
そうこうしておりましたら、今度は工科学校、これはいわゆる高等学校、これも横須賀に
ございますけれども、そこでもいじめ事案が発生して、親御さんが提訴なさるという、相次
いでおります。
さらに、また護衛艦の中で、上司によるパワハラで自殺をされた事案が昨年の九月に発覚
いたしまして、これも海上幕僚長が謝罪をするという形になっております。
これだけ相次いでまいりますと、一体自衛隊のいじめ自殺対策はどうなっているのだ、隊
員の人権、大事な宝である人権を守るべき自衛隊内で何が起こっているんだろうと、国民も
大変に懸念の目を向けております。
まず冒頭、大臣のいじめ自殺問題についての御見解と今後の御決意、取り組みを伺いたい
と思います。
○中谷国務大臣
以前からこの問題を先生から御指摘いただいているわけでございますが、
私も、いじめ自殺はあってはならないと考えておりまして、防衛省・自衛隊においていじめ
自殺事案が生起をしているということは、まことに遺憾に存じております。
この対応といたしましては、服務指導の徹底、隊員の心情把握、カウンセリング体制の整
備等の措置を講じまして、事案の発生防止に努めております。昨日も私は部隊視察を行いま
したけれども、エレベーターに乗りましたら、その壁に相談担当官を写真で掲示しまして、
何かあったら相談してくださいというような対応をしておりました。
そして、防衛省の中におきましては、いじめ等の防止に関する検討委員会を昨年九月の十
七日に設置いたしまして、この第一回の検討会議を開催した後、検討委員会のもとに設置さ
れた幹事会、これを二回開催するとともに、幹事会のもとに設置された作業部会、これを週
一回程度開催するなどいたしまして、いじめや自殺、事故等の防止に係る有効な施策につい
て検討しているところでございます。
○阿部分科員
今大臣のおっしゃったような幾つかの取り組みがありながら、逆に私が冒
頭紹介したようないろいろな事案が起きてくるということは、今の対策に大きく欠けたる
ところがあるからなんだと私は思います。
先ほど大臣のおっしゃった検討委員会も、私の方で、どんなメンバーで、どんな内容を検
討しておられますかと公開を求めましたところ、ほとんど内容をお伝えいただけない。
そして、実は、私は医療現場ですから思いますが、医療事故等が起きたとき、もちろん内
部調査の委員会は立ち上がるんですけれども、と同時に、最近では、第三者委員会と申しま
して、外部の目できちんとこれを点検して、瑕疵なきか、あるいは、患者さんの人権は守ら
れたか、これを言いかえると、自衛隊員の人権は守られたかということになってまいります。
まず、この情報の非公開性、そして、早急に、もうこれは十年やってきたことです。私が
当選して間もないころに問題も取り上げ、社民党当時でございましたが、こぞって各議員で
取り上げて、カウンセリング体制を含めて、つくっていただいた。だが、やはり内向きで、
外からの目が入らないということが非常に閉塞感を高めているように思います。
ぜひ調査の第三者委員会を、警務隊も内側のものであります。今やっている検討会も内向
きであります。外の目を入れて、本当に風通しよく、国民のための自衛隊にするための第三
者調査という手法を考えてみられてはいかがでしょう。
○中谷国務大臣 この問題は非常に、自殺、またいじめの事案が減少しないということは極
めて遺憾であると思っておりまして、こういった部内の検討もそうでございますが、先ほど
御提案がありました部外有識者、これに対するヒアリング、現在は実施しておりませんが、
今後の検討において、必要に応じて実施してまいりたいと思っております。
○阿部分科員
内部の調査委員会と独立性を持った第三者委員会の方が、内部の委員会が
ヒアリングしても、それは聞く側にとっての情報の取捨選択が起こりますので、大臣、きょ
うのところはその御答弁かと思いますが、きちんと独立性を持った第三者委員会、何度も申
しますが、医療ではそれが当たり前になりました。起こしてはいけない事故、でも、起こっ
てしまった場合にどうするかということで、自分たちの瑕疵なきかを外の目で見てみて、よ
りよくするということですから、御検討をいただきたい。
と同時に、きょうは大臣に、軍事オンブズマンという、これはスウェーデンで一九一五年
に発足し、第二次大戦後、ドイツで、実際に動き出したのは一九五九年と伺っておりますが、
ちょうどメルケルさんも来日のさなかで、ドイツでは、再軍備に際して、なぜあの優秀だっ
たドイツの国防軍がナチス・ドイツという勢力によって席巻され、差別を起こし、殺りくを
起こしたかを自己点検するという意味合いもあって、軍事オンブズマンというものをつく
りました。超党派の国会での議決に基づいてつくったものであります。
これの特徴は、あらゆる隊員がオンブズマンと称する一人の人間に、この方はドイツでは
副議長あるいは議長などをなさった公平中立な方を任命しているようですが、その方に、自
分の隊での出来事、あるいは、この命令は不当ではないか、おかしいのではないかというよ
うなことを直接訴えていけるという制度で、毎年六千件からの相談があるそうでございま
す。
大臣任期中に、ぜひこの軍事オンブズマン制度、いろいろ情報を集め、また、ドイツに行
って、当事者であるオンブズマンの方に会っていただいても結構です。
私は、実力組織で一番大事なものは人、人権だと思います。そこをたがえると、異常なこ
とが内側にも外側にも必ず起こってくると思いますので、軍事オンブズマンについての大
臣の御所見を伺います。
○中谷国務大臣 御指摘ありがとうございます。
くしくも、昨年の一月に、私は、国会に情報監視審査会をつくるべきだということで、平
沢委員長も一緒でしたが、超党派でドイツへ行ってまいりまして、ドイツの国会にあります
軍事情報委員会の委員長にお目にかかりました。その委員長にお話を伺いまして、やはり軍
に関するものにおいてはこの委員会が全ての権限を持って調査することができるんだとい
うことを言われまして、こういう意味では、御指摘の軍事オンブズマン制度が国会にあると
いうことで、見聞を広めてまいりました。この記録は国会の方に提出しておりますので、御
参考にしていただきたいと思っております。
そういった件で、防衛省としましては、こういった自殺等の事故が起こった場合に、公正
な立場で調査し得る隊員によって調査を実施しておりますが、必要な対策を講じてきてお
りまして、現時点では、必ずしも内部調査等に限界があると認識はしていない。また、防衛
省としては、従来いろいろな対策を講じておりますので、今後とも強力に推進をしてまいり
たいと思います。
御指摘をいただきました軍事オンブズマンにつきましては、私も、現場を見てまいりまし
た人間といたしまして、さらに情報収集を図るなどいたしまして、引き続き調査研究に取り
組んでまいりたいと思いますが、国会で設置をされておりますので、防衛省以外での検討も
必要になってくるのではないかというふうに思います。
○阿部分科員 私は、前段の御答弁の、内部調査で十分だというのは、やはり違うと思いま
す。私が抱えてきた医療の事故の長い歴史から見ても、やはり第三者というのは必要です。
それから、後段の御答弁は、確かにそれこそが文民、シビリアンコントロールなんだと思
います。
議会が軍事にかかわるいろいろな情報というものを点検し、なお軍事オンブズマンとい
うものは特定の人を任命するという仕組みで、これをぜひ、実は、防衛大学校御出身の中谷
大臣が現大臣であるときに積極的に推進をしていただきたい。大臣は、やはり自分の後輩が
大事と特に思われる、現場を知っている、だったら、よりよい人材を、本当に国民のために、
人権意識を持って育てていただきたいので、うなずいていただいているので御決意と思い
まして、次の問題に行きます。
次は、同じように自衛隊内で起きております、教育訓練と称します訓練における死亡事案
でございます。
大臣のお手元に、この十年間のいわゆる教育訓練というものの中で起きている死亡件数、
陸海空それぞれ、私の方でまとめて出しました一覧があるかと思いますが、十年間で、陸で
あれば四十九、海上自衛隊であれば十四、そして航空自衛隊は九人。
この教育訓練、逆に、自衛隊の訓練といえば過酷なのは当たり前じゃないかというふうな
一言で、多い死亡数が隠れてしまっているように私には思えます。それぞれに原因があり、
それぞれに救えた命があるのではないかと思いますので、その観点から次に質問をさせて
いただきます。
まず、具体的な事案ですけれども、海上自衛隊の潜水医学実験隊、横須賀にございます最
新の、水深四百九十メートルまで深く潜るということを技術的に開発している、日本記録も
お持ちの実験隊でありますが、そこで、昨年の五月二十三日に、十メートル余りのプールの
中で教官お二人が溺水、死亡されました。
私は、何でそんな高度な実験隊で、わずか十メートルで、四百九十メートルまで潜ろうか
という方が、それも、教官ですから実力も知識も随分お持ちの方が亡くなったのかと思って、
現場を視察させていただきました。
大臣のお手元に、どういう事態で起こったかという図がございます。
これは、実は、そこに潜るときに、外側から酸素を引いて、それをとりながら潜っていく
ということで、一人が潜り、溺れたといって、もう一人の方が潜り、この方も溺れ、救出に
向かった三番目の方は、今度はタンクを背負って救出に向かいました。すなわち、酸素の配
管からとったお二方は亡くなり、三番目の方は、恐らくその二人を見たからでしょう、御自
分は酸素ボンベを背負って救出に向かわれました。
これが、今一年近くたとうとしておりますが、いまだに調査中ということで、事の真相、
再発防止などが解明しておりませんが、大臣は御存じでしょうか。
○真部政府参考人
今委員が御指摘になられました、潜水医学実験隊の潜水訓練中におけ
る死亡事故につきましては、事故発生後に直ちに事故調査班を部隊の方につくりまして、調
査を実施いたしておるところでございます。また、それとともに、捜査当局の捜査に全面的
に協力している、そういう状況にございます。
本件は、今御指摘のとおりの事案でございまして、そういった、訓練を受けた、むしろ練
達と言っていい隊員二名が亡くなるという特異な事案でございまして、調査には慎重を期
して、今鋭意行っているという状況にございます。
○阿部分科員 通常、自衛隊内の事案ですから、警務隊が調べられて、事件性があれば警察
にも行くということですが、実は、まだ捜査中というかお調べ中である中で、ここの最高責
任者は転勤を既になさいました。私は、やはり、事態が起きたときに、本当に、その隊員の
命を守れなかった、どうしてだろう、そこの最高責任者がくるくるかわっていったのでは、
隊員にも申しわけが立たないと思います。
大臣は、じかに現場に行っていただきまして、私は、行ってみて、何でこんなところで溺
れただろうと正直言って思いました。配管の問題ではないかと。だって、お二人は同じよう
な状況で、熟達した人が亡くなるわけです。そうであれば、環境整備をすれば、このお二人
は死なずに済んだんだと思います。若い隊員を育てて、五十代の、本当に経験豊かな方お二
人を亡くした、重大な人的損失であります。
大臣、ぜひ現地にも行って、これは自衛隊にとっても重要な機関です、潜水訓練の実験の
場所というのは。治療にも応用できます、潜水医学で。ぜひごらんになって、早急な善後策
をとっていただきたいが、いかがでしょうか。
○中谷国務大臣 昨年発生しまして十カ月たちましたが、私も、非常に優秀な二名の隊員が
死亡したこと、まことに残念でありますし、心より哀悼の意を表します。
この事故につきましては、現在、潜水医学実験隊に設置された事故調査班において、原因
究明も含めて慎重に調査を実施いたしております。現場を視察ということも、責任者として
は当然そういった点も考えていかなければなりませんので、適切に対応してまいりたいと
思っております。
○阿部分科員 一点目のいじめ自殺でもそうですし、この事故事案でもそうですが、私は、
対応が遅いと思います。だって、組織された実力部隊で、再発防止というのは至上命題だと
思います。あたら命をここで失っていくということを繰り返させてはならない、その一点の
決意がなければ、私は、次々問題が起きてくると思います。
例えば、自衛隊では、大臣にお示しした中にもあると思いますが、雪の中の訓練で死亡が
相次いでおります。これは、寒いと、五度下がると心停止のリスクは二倍以上に高まるとい
う中で、冷たいところではAEDもききません。そういう状態で、スキー訓練で死亡が相次
ぎました。照屋さんが質問をして、何でこんなに多いのだと。そういう環境下でやる訓練で
あれば、AEDの装置も含めて、十分救命対応ができるようにしなければならない。
その後、最近は事案が少ないので、恐らく改善されたと思いますが、思いたいですが、ほ
かにも、持久走中の死亡も、陸上自衛隊四十九人の死亡のうち十九人、半分近くは走ってい
る訓練で亡くなっちゃう。
何が問題かといえば、健康診断、そういうリスクをかけていいかどうかのチェックも、私
は不十分じゃないかと思います。ぜひ、再発防止のため、スピード感を持って、貴重な隊員
の命を守っていただきたいと思います。
三点目の質問に行かせていただきます。
これは、昨年の七月一日、武力行使の新三要件、集団的自衛権も含むという閣議決定がな
された直後に、中学生をお持ちの御家庭にダイレクトメールで、御家庭ではなくて子供本人
宛てに高等工科学校の募集のダイレクトメールが届きました。びっくりした親御さんが、一
体これは徴兵制になっちゃったのと思って、私のところに声をかけてこられました。
余りにもいいタイミング。別に、そこでそう思ってやったのではないことは私は理解いた
しますけれども、ベネッセだって、受験情報を、持っている個別の名簿を勝手にほかに回し
て、ほかの案内が来たらびっくりという世界で、この自衛隊における中学生に対する地方協
力本部から行ったダイレクトメール問題、これは法律の根拠もございません。
送った事務所は一カ所で、五百一件というふうになっておりますが、この事案も、それか
らさらに、住民基本台帳で抜き出して、ダイレクトメールを送るなりなんなりするに必要な
基本情報をとるのも、十八歳以下というのは適用にはなりません。いわゆる工科学校は、昔
は自衛隊員でしたけれども、そういう扱いをしておりませんので。
二重三重の法令違反でこういうダイレクトメールが行くという事態は、大臣はどうお考
えですか。
○中谷国務大臣
自衛官等の募集において、中学生本人に対して文書による直接の募集を
行ったこと、及び、自衛隊法施行令第百二十条に基づいて中学生の氏名、生年月日等の情報
に関する資料の提出を市町村長に依頼したことが生起したということは、甚だ遺憾でござ
います。
この理由について、やはり、自衛官等の募集事務の実施部署において、根拠となる規則等
の理解が徹底されていることが重要であると考えておりますので、今後、募集事務を行う関
係部署への教育を徹底しまして、関係規則等の周知徹底を図り、再発防止に努めてまいりた
いと思います。
○阿部分科員 自衛隊は国民との信頼があってこそですから、本当に、受け取った側がびっ
くりして、何が起こっているんだろうという不安を抱くことのないような、法令にのっとっ
た運用をすべきだと思います。
その中で、地方自治体は、自衛隊法の要請に基づいて、住民基本台帳から適齢者という、
例えばその三月に高校を卒業する人などを含めた情報を引き出して、それを紙媒体ないし
は電子データで協力本部の方に送っているということであります。
私もこの事案をずっと聞いてきて、最近になって、電子データでも送っているんだという
ことを知って、これは電子データの取り扱いにおける秘密の保護というのでしょうか、ベネ
ッセの問題もそうだと思いますが、そこが極めて不十分な中で、大体、御家族にしてみれば、
我が子の情報がそういう形で協力本部に、紙であれ電子データベースであれ、上がっている
ことなどは御存じないわけであります。なおかつ、セキュリティーも、紙でも問題ですが、
電子データベースの場合はさらに問題と思いますが、この事案はどう思われますか。
○中谷国務大臣
紙であれ電子データであれ、個人情報の管理というのは非常に重要でご
ざいます。
時代が進歩しまして、電子媒体の利用というものも非常に多くなってまいりましたので、
よくしっかりと情報管理に努めてまいりたいと思います。
○阿部分科員 私がこう申しますのは、現状において、もちろん、大臣おっしゃるように、
紙も大事、電子データも、どっちも情報は個人情報ですから守られねばいけませんが、相次
ぐ事案の中で、御家族側も、国民の側もなかなか安心できないということが一番問題なんだ
と思います。やるやるといっても、どこに漏れていくかわからない不安を国民に抱かせると
いうことが問題です。
大臣、御存じでしょうか、先ほどちょっと申し上げましたが、自分の子供の情報あるいは
自分の情報がこういう形で協力本部を通じて届け出られているということを住民は知りま
せん。住民基本台帳で自分の情報がどこに行っているかということを、この場合、住民は知
らされておりません。
となると、やはり個人情報保護の、もちろんこれは防衛省だけの問題ではございません。
住基台帳を扱う自治体の側の問題もあろうかと思います。どういう情報をどこに出したか
ということを全く知らされていない中で起こっていることでございます。
私は、自衛隊の信頼のためにも、こうした陰から陰というか、わからないところでという
ふうなことはなくしていくべきで、もちろん、住民基本台帳の個人情報保護における扱いと
知る権利と重なってまいります。問題意識の所在を大臣も共有していただけて、今後何らか
の、自治体側との対応を含めて検討をしていただきたいが、いかがでしょう。
○中谷国務大臣
自衛官等の募集に関しまして必要な募集対象の個人情報については、自
衛隊法の九十七条及び施行令の第百二十条の規定によりまして、法定受託事務を根拠とし
て、市町村から当該情報に関する資料の提出を得て、自衛官及び自衛官候補生の募集に利用
いたしております。
また、自衛隊法の二十九条一項及び三十五条を根拠とした自衛官等の募集事務の遂行の
ために、住民基本台帳の一部の写しの閲覧を通じて当該情報を得ておりまして、自衛官、自
衛官候補生、陸上自衛隊高等工科学校生徒等の募集に利用いたしております。
具体的には、個別に文書による募集を行うなどの方法により、この遂行のために利用いた
しておりますが、こういった取り扱い等につきましては、かつて自衛隊の中でリスト問題が
発生しまして、特に電子データの管理等について、私も、大臣のときの問題でしたから、そ
の後しっかり対応していると思っておりますが、さらに電子媒体の情報の管理に努めてま
いりたいというふうに思います。
○阿部分科員 今、大臣は写しの閲覧とおっしゃいましたが、実際はそれだけじゃなくて、
住民基本台帳から抜き出した情報を閲覧して写してきているだけではなくて、電子データ
で送っている。ないしは、最近では、協力本部が自治体職員に対して、そのリストを紙媒体
並びに電子データで送ってくれという要求をするわけです。
これは、実は法令根拠はありません。どのような形で出すか、どのような協力をするかは
自治体側の問題であります。必要な情報を出して写していかれるところまでは、恐らく大臣
の側の所掌になるでしょう。しかし、こうやって自治体職員側に過剰な要求をするというこ
とも、私は法令根拠がないと思っております。
この点について、大臣の今の御答弁はちょっと、もう時間がないので残念ですが、十分配
慮していただきたい。自治体の職員に過重な業務になりますから。いかがでしょう。
○真部政府参考人
今委員御指摘の点でございますけれども、自衛隊法施行令の百二十条
を踏まえまして、防衛省からは、市町村長に対しまして、自衛官及び自衛官候補生の募集に
関して必要な募集対象者の氏名等の情報について、資料の提出を依頼いたしておるところ
でございます。
この資料の提出につきましては、地方公共団体に対する国の関与の基本原則や地方公共
団体との関係に配慮して、防衛省からのあくまで依頼を申し上げているところでございま
す。
防衛省といたしましては、この資料の提出をいただくことは自衛官及び自衛官候補生の
募集事務の円滑な遂行のために必要でありまして、今後とも、この依頼に際しましては、地
方公共団体に対し、資料の提出の根拠たる法令等を丁寧に説明申し上げて、その上で、地方
公共団体が実施可能な範囲での協力をお願いしていくつもりでございます。
○阿部分科員 あくまでも依頼であるという明確な答弁、ありがとうございます。
終わらせていただきます。