機能和声の基礎24-オルゲル・プンクト

和声の基礎 24 - オルゲル・プンクト
主となる旋律およびその声部体が移調したあとも、低音で保続される原調の保続音をオルゲ
ル・プンクトあるいはオルガン・ポイント、ペダル、ペダル音等と呼ぶ。パイプオルガンの足ペ
ダルによって鳴らされる保続音からこの名がある。
オルゲル・プンクトは「通常の終止形を非常に拡大したものであり、保続音は通常の終止形に
従った進行をしているにも関わらず、上声部がその間に他の調へ行っている現象」であると考え
ることも出来る。その証拠に、オルゲル・プンクトとして使われる音は、通常は I か V に限られ
る。オルゲル・プンクトだけを見れば、通常の終止形の動きをしていることが次の例から分かる
だろう1。
上の例には上三声部だけを見た場合の和声進行を中段に示したが、四声部体でバスがオルゲ
ル・プンクトになっている間に、テナーが仮にバス声部の役割を果たしているのかというと、そ
ういうことはなく、テナーはあくまで内声として機能するのが基本である。上三声部における転
調等で、実質的に足りなくなる声部に関しては、和音の第五音を省略すると良い。
I のオルゲル・プンクト上での転調は、V, IV, IV/IV への転調が多い。V としては特に短調へ行
く場合が多い。
短調でオルゲル・プンクトが使われることは比較的少ないが、可能であり、実際珍しくはない。
長調の場合と同じだが、IV が短調であることに気をつける。
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オルゲル・プンクトは終止形を引き延ばしたものであるという性格を持っていることが重要で、これが単なる低音
保続音(たとえばドローン音)とは和声学的に異なる点である。ドローン音はバグパイプの音楽にある保続音で、
最初から最後までずっと同じ音が鳴らし続けられる。
上の例は、最後はピカルディーの三度を使って長転しているが、これも短調における典型的な
処理である。
I 上のオルゲル・プンクトは、しばしば変終止(アーメン終止)によって終わることも多い。
変終止の例
V のオルゲル・プンクトには、しばしば I のオルゲル・プンクトが続く。
オルゲル・プンクトは終止形が引き伸ばされた物であるから、曲の終わり近くに配置されるの
が普通であるが、曲によっては冒頭や中間部に用いられる場合もある。そうした場合のオルゲ
ル・プンクトは、通例、I 上の短いものであることが多い。
さらに変種としては、バス声部以外の声部が長い保続音を受け持つ場合もある。
また、特殊な場合(しかし、そう珍しいものではない)として、I と V が同時に使われるオルゲ
ル・プンクトもある。これはバグパイプやミュゼットの模倣であり、和声的オルゲル・プンクト
と言うよりはドローンに近い性格のものであるが、牧歌的あるいは田舎の雰囲気を出すために使
われるものである。
いずれにせよ、テノールとバスが接近するのは良くない。特に大接近(二度や増一度)はやむ
得ない場合を除いて用いない。