『夢はでっかく 根は深く』

平成27年度
第2学期
始業式
8月24日(月)
『夢はでっかく
校長
根は深く』
1学期終業式では、「何かに本気になって取り組むことができたか」と振り返り、「犬も歩けば棒に
当たる」「転石苔むさず」という2つのことわざに共通する対極的な解釈の中、積極的に行動すること
で選択肢を広げていくような夏休みにして欲しいと話しました。何かしら君たちの視野を広げたり、
自分を深めたりすることのできる主体的な行動を今後も続けて欲しいと思います。
この夏、私に刺激を与えてくれたことの一つに、芝浦工業大学の村上雅人学長の講演があります。
超伝導工学がご専門で、資源に乏しい日本が世界で輝くためには科学技術立国であることが大切。そ
れを支えるのは若者、教育が大切であるという話しでした。演題は、「夢高くして足地にあり」。ある人
から聞いた言葉だそうです。この演題を聞いて、1・2年生は、私が学年集会で話した言葉を思い出
しませんか。私が使ったのは、相田みつをの「夢はでっかく 根は深く」です。この二つは、同じこと
を言っています。
「夢はでっかく」ですが、私は、本校の使命は、君たちにしっかりした夢=進路目標を抱かせること、
そして、その夢を実現できる力を育成することだと考えています。
夢は、様々です。将来就きたい職業には限りません。村上学長は、自分の為すことが社会の役に立
っていると感じられるような、心に安寧をもたらし人生を豊かにしてくれるものが「夢」と言われました。自分
に合った、自分を生かした分野や働き方で、誰かの何かの役に立ちたいという想いが「夢」を育むのだと思
います。そういう点では、夢は「志」と言い換えてもいいかもしれません。
本校では、今、校外から色んな方を招いて講演や講義を開いたり、
「理想の社会」や「理想の島根」
についてグループワークしたり、職場見学に出かけたりして、皆さんの「夢」を育む、東高なりのキャ
リア教育の試みをしています。今年初めての実施となる2年生の東京研修はその核になります。これ
らの取組を意義あるものにするために、ぜひ自分事として、当事者意識を持って臨んで欲しいと思って
います。
一方の「根は深く」「足地にあり」は、どうでしょうか。村上学長は、これについて「応用力とは基礎力
である」「基本(読み・書き・そろばん)が大切」、そして「知の探求には限りがない」と言われました。私も、
その通りだと思います。部活動をしている人は、基礎基本がどれほど大事か分かっています。夢を叶
えるためには、自分の基礎力を高める努力に真剣に取り組んで欲しいと思います。
今日は、2学期を過ごすのに、「夢はでっかく 根は深く」を意識して過ごして欲しくて話をしま
したが、こんな話をしようと思ったきっかけは、先日久しぶりに出会った教え子の一人からもらった
名刺でした。私が、浜田高校で教員2年目に初めて担任した学年の生徒です。いま、浜田で食品会社
の社長をしています。名刺の裏に、経営する会社の社員憲章が印刷されています。
我々は、浜田圏域の市民生活にとって必要不可欠であり、さらに地域住民同士の生きる「絆」を強く結び
つける為になくてはならない存在となる。
我々が接し、提供する商品・サービスによって「生きる勇気」が湧き、「幸せ」を感じ、「笑顔」の素晴らしさ
を知ってくださる多くの方々がいらっしゃる。
我々は、お客様にとっていつまでもこの上なく「なくてはならない人」としてあり続け、この人がいてくれて
本当に嬉しいと笑顔で喜んでいただける、我が社はそんな人によってのみ構成される会社である。
こんな想いで働いてくれていることを知って、本当に嬉しかったです。ここにも、大きな夢とそれ
を実現する、地に足をつけた確かな力があると感じ、一つのモデルだと思ったのです。
さて、東雲祭がやってきます。8月4日に夢チャレで聞いた国立情報学研究所の新井紀子センター
長の講演では、新井さんは高校時代、文化祭の運営に一生懸命だったそうです。将来の職業など全く
分からず、ただ「文化祭のような仕事をしたい」と考えていたそうです。今やっている、人工知能の開発
に係るプロジェクトは、殆ど毎日多くの人と協働する文化祭のようなものだと話されました。今、君
たちにとって東雲祭というプロジェクトに当事者意識を持って取り組むことは、将来に亘って生きてきます。
周囲に「May I help you ? 」 「なんか、手伝うことない?」と気軽に関わっていく姿勢を持って、充実
した東雲祭にしてくれることを楽しみにしています。いい2学期にしましょう。