知事が訪問!立地企業の魅力発信事業 訪問日…8月17日(月) 対談に先がけ、弊社工場の視察を行い、業務内容の説明や業務の様子をご覧いただきました。 ~対談~ 河野知事…本日はお忙しいところありがとうございます。こういう形で訪問し、勉強させてい ただくとともに、企業のアピールのお力添えができればという思いで立地企業を訪 問させていただいているところです。 御社は日本を代表するファクトリーブランドとして有名ですし、私もダーバンスー ツを宮崎市内の百貨店で購入させていただいています。 杉井社長…ご購入ありがとうございます。大変喜ばしい事です。 河野知事…初めて見学させていただいた印象としては、工場には人手はもちろん、面積の広さ 技術などが重要だと思いました。 早速ですが、御社が宮崎県に立地した経緯などを教えてください。 杉井社長…設立が昭和49年と古いこともあり、当時の詳しい立地の経緯を分かっている人が なかなかいない為、分かる範囲でお答えします。当時のダーバン本社において国内 で良いスーツを作る為、また当時の北郷町の誘致もありこの宮崎県に立地したと聞 いています。国内には、大阪・静岡・鹿児島と工場がありましたが、現在は当社の みとなっています。 河野知事…経済の状況や競争環境の変動がある中で、宮崎がただ1つの拠点として残ったこと は大変すばらしいことですね。 杉井社長…当社で作るダーバンブランドの重衣料(スーツ、コートなど厚手で重さのある衣料 品)は100%メイドインジャパンで、という本社の意向もありましたが、常に良 いスーツを作られる状態とパターンオーダー(個別受注品)を作られる仕組み作り を目標として努力し続けた結果だと思います。 河野知事…パターンオーダーとレディーメイド(既製品)の両方の生産に対応できることが一 つの大きな特徴ですね。 杉井社長…おっしゃる通り、この両方の生産ラインこそが当社の特徴です。 河野知事…これだけ大きい工場になると、従業員の確保にはいろいろとご苦労があるのではな いですか。 杉井社長…当社には約160名の従業員がいまして、その95%が地元の日南市からの雇用と なっていますが、現在では地元からの雇用も厳しい場合もあります。それに対応す る為、外国人実習生(現在は中国のみ)を受け入れています。 高校の新卒採用人数については2003年から比較すると回復しましたが、県外へ の就職希望の方も多く、地元からの採用は難しいのが現状です。 ただし、今後も地元からの雇用促進を進めていきたいと思っています。 河野知事…よろしくお願いいたします。 次に競争するべき環境についてはどうでしょうか。私も量販店のものを着用したり 利用目的によってお店の使い分けを行っていますが、御社のこだわりはどのような 点でしょうか。 杉井社長…当社は百貨店向けの日本製、「メイドインジャパン」であることにこだわっていま す。 河野知事…最近はメイドインジャパンも見直されていますね。 杉井社長…もともと、当社はメイドインジャパンにこだわった服作りを数年前から行っていま したが、今般、日本ファッション産業協議会のジャパンクオリティー企業として認 証を取得しました。具体的には、「安全安心コンプライアンス企業 と「縫製企業」としての認証を受け、今年の秋冬物よりジャパンクオリティーのタグを付けた 製品を販売することとなっています。ジャパンクオリティーは原反から国内生産に こだわった製品です。もちろん、舶来の生地も当社は扱っていますが、あくまでも 国内産にこだわった製品を申請したうえで認証していただき、秋冬物から店頭にて 販売します。 河野知事…とてもおもしろい話題ですね。食に関する安心・安全や日本製のこだわりなどはよ く聞きますが、衣類についてもクオリティーという差別化を図っているのですね。 杉井社長…はい、おっしゃる通りです。 河野知事…ブランドはダーバンがほとんどと言われていますが、アクアスキュータムの生産も あるのですか。 杉井社長…ダーバンが6割、アクアスキュータムが1割あり、2つのブランドで約7割あり生 産の中心となっています。 河野知事…私もアクアスキュータムを持っていますが、ダーバンと言えば昔あったアランドロ ンのCMなどから老舗のブランドというイメージもあります。しかし、衣料業界の トレンドを先取りされているというイメージもありますが。 杉井社長…トレンドのデザインを取り入れることは大きな課題で、特にパターン作りが大変重 要です。その為、技術部と企画部がタイアップして、『良い服・軽い服・丸い服』 を作るというこだわりを持って作ったスーツが今のダーバンスーツとなります。 河野知事…企画して、製造して、店舗に並ぶまでの期間を含め、相当先を見据えたデザインを 考慮して作らなければならないのですね。 杉井社長…工場としてはそういう流れについていくのがやっとで、まだまだ努力が必要だと 思っています。 河野知事…御社のマイスター制度についても教えていただけますか。 杉井社長…マイスター制度は、『裁断・縫製・仕上・検査』の4工程をさらに細分化し、各区 分に関する資格を取得していく制度となっています。本来、4工程すべての技術を 取得した方を『匠』と認定したいのですが、そこまで行くのには相当の時間がかか ります。その為、マイスター制度によって各区分の技術を1つ1つ積み上げていく ことで、技術の継承を行っていきます。試験は年2回行い、担当職務によって違い はありますが、一部手当の支給も行っています。 河野知事…マイスター制度はよくある技能士の試験ではなく社内基準ですか?また、どれくら いで取得できるものですか。 杉井社長…基準は社内基準です。よくある技能検定などを探しましたが当社に合った検定が無 かった為、当社独自の制度を作りました。 審査は厳しいのですが、自分の業務の内容に沿った資格を取る場合だと、数年で取 得する方もいます。みなさん終業後に訓練を行うなど努力しながら取得しています。 河野知事…取得後も3年に一度の維持認定試験があると聞きましたが。 杉井社長…資格を取ったら終わりではなく、3年に一度維持認定試験を行うことで、技術の維 持を行っています。 河野知事…油断できない資格制度なんですね。 杉井社長…当社の社員は現在、20代が4割強、50代が4割強と、今後、技術の継承が難し い年齢構成となっています。しかし、マイスター制度のおかげで20代の方が、1 0年後には資格を持った若い技術者を育成することができる仕組みになっています。 河野知事…現在は日南市と連携しての取り組みも行っていらっしゃいますね。 杉井社長…日南市と連携して『日南の幸開き』という企画に立ち上げ当初から企業見学という 形で参加しています。 応募された一般の見学希望者の方に対して当社の見学を行っていますが、見学者特 典として格安でのスーツ販売なども行っています。地元の方のご参加も多いですが 、 県外からご参加いただくこともあります。 河野知事…県内の販売店にももっと宮崎県で作っているというアピールが必要ですね。 杉井社長…全国のダーバンコーナーではパネルで『メイドイン宮崎』という点はアピールはし ていますが、まだまだ浸透していないですね。 他に、当社を別の角度からアピールする為、地元の中学・高校のインターンシップ や地元の方の見学など、可能な限り対応させていただいています。 河野知事…幅広い地域貢献をしていただき、ありがとうございます。 河野知事…このような工場が宮崎県に立地していただいていることは大変誇らしいことです。 杉井社長…宮崎県にこのような工場があることがなかなか目立っていないので、これからもア ピールしていきたいと思います。 河野知事…私も昔からダーバンがあることは存じていましたが、実際に訪問してはじめて、こ れだけの大きな工場であることが分かりましたし、国内でこれだけの役割を担って いる工場ということも初めて知りました。今後、県民のみなさんに大いにアピール していただきたいですし、今回の訪問が人材確保等につながればと思っています。 また、今は地産地消を推奨していますので、宮崎で作った服を着ようということに もつながればいいと思います。 杉井社長…当社としてはメイドインジャパン=メイドイン宮崎という気持ちでがんばっていま す。 河野知事…競争が厳しい中ですが、ジャパンクオリティーの認証は大きな武器だと思います。 これからも良い物を作ってください。また、今後も地元を支え、地元の雇用の場と なる企業として活動していただけるようお願いしたいと思います。 本日はお忙しいところ本当にありがとうございました。 杉井社長…こちらこそ、ありがとうございました。
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