平成27年3月13日 第2回口頭弁論/原告代理人陳述要旨 原告準備書面1の要旨について 1 地下水を巡る法令・条例について 地下水を巡る法令・条例の概要について説明しています。 摂津市と旧国鉄が最初に環境保全協定を締結した昭和52年当時,旧国鉄が鳥飼基 地で地下水をくみ上げることを規制する法律や条例は存在しなかったことに触れてい ます。 2 本件環境保全協定締結に至る経緯について 本件環境保全協定締結に至る経緯について説明しています。 昭和48年4月に摂津市は要望書を旧国鉄に送付しています。 その要望書の表題は,「東海道新幹線鳥飼基地における地下水くみ上げの抑制につ いて」であり,摂津市が旧国鉄に対し,鳥飼基地における地下水くみ上げを抑制する ように要求しております。 これに対して,昭和48年6月1日に,旧国鉄から保線所長他3名が摂津市を訪問 した事実があります。その際に,旧国鉄側は,地盤沈下と地下水くみ上げの因果関係 を認める発言をしております。 旧国鉄側は,摂津市の要望書に対して,同年7月19日付けで,原告に「新幹線鳥 飼基地における地下水くみ上げの抑制について」と題する書面を提出しておりますが, 地盤沈下と地下水くみ上げの因果関係を否定するどころか「関係業務機関に対し水の 使用節約について極力努力するよう指導いたしております。」と指摘しております。 昭和50年2月28日付けで,旧国鉄は,「新幹線鳥飼基地における地下水くみ上 げの抑制について」と題する書面を摂津市に提出しておりますが,その中で,地盤沈 下と地下水くみ上げの因果関係があることを前提に「路盤沈下対策」のために,鳥飼 基地の用水を地下水から工業用水に切り替える旨言明しております。 現在,JR東海側は,鳥飼基地で地下水をくみ上げても地盤沈下の具体的危険性は ないと主張していますが,当時は,地下水くみ上げと地盤沈下の因果関係を認めてお - 1 - り,今更地盤沈下の危険性はないと主張することは許されない旨指摘しております。 また,摂津市は,旧国鉄に鳥飼基地全域にわたる地下水くみ上げ抑制を要求してい ることは明白ですし,旧国鉄も鳥飼基地全体について地下水くみ上げをする旨述べて いるものであり,こういった経緯からしても鳥飼地域全体について環境保全協定の効 力が及ぶことは明かである旨主張しております。 3 これまでの判例との比較 行政協定を根拠に事業者に対し,差止請求を認めた判例2つを紹介し,その事案と 本件事案を比較しております。 簡単にいえば,両事例とも,行政協定締結に応じなければ,事業を行うことができ ないという切羽詰まった状況で締結されたものであり,事業者側は,行政協定の任意 性について争いましたが,判決は任意性を認めて差止請求を認容しました。 本件について,旧国鉄ないしJR東海側に環境保全協定を締結しなければ事業を継 続し得ないような切羽詰まった状況は一切存在せず,鳥飼基地において,地下水くみ 上げを制限する法令が当時一切存在しなかった点からも,旧国鉄ないしJR東海が環 境保全協定締結を拒否することは容易であったのに,拒否せずに締結したのだから, 約束は守られるべきである旨主張しております。 4 被告側答弁書及び第1準備書面に対する反論 また,前回提出された被告側答弁書及び第1準備書面に対する反論を行っておりま す。 5 工事中止の要求 最後に,JR東海側は,昭和51年9月から今まで長年にわたり地下水を利用して いなかったのであるから,工事を中止しても何ら支障がないはずです。 また,本件については摂津市民の関心が極めて高く,平成26年12月19日には 「東海旅客鉄道株式会社に『環境保全協定』遵守を求める決議」が摂津市議会は全会 一致で採択され,さらに地下水汲み上げに反対する3万3685名分もの署名(摂津 市民は約8万5000名)が集まっているところ,かかる民意を踏まえて,また,公 共性を有すると自認する巨大企業である被告の社会的責任に鑑みて,少なくとも本件 - 2 - 訴訟において判決が出るまでの間は井戸の掘削工事を中止すべきであることを主張し ています。 以上 - 3 -
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