アフリカ - キャピタル・インターナショナル株式会社

機関投資家向け資料
Investment Insights
選別的な投資機会の宝庫:
アフリカ
2015年9月
選別的な
投資機会の宝庫:
アフリカ
サブサハラ・アフリカ
「アフリカの成長機会」に関心のあ
る投資家にとって最も確立された
債 券市 場と株 式 市 場を提 供する
国は南アフリカでしょう。実際、キ
ャピタル・グループは長年にわたり
南アフリカの債券と株式の双方に
投資してきました。
ただし、本 稿ではその南アフリカ
を意図的に取り上げず、より新興
で認知度の低い「サブサハラ・アフ
リカ諸国」* 1に焦点を当て、その特
徴的な投資機会と課題を考察しま
す。
アフリカの債券市場は、クレジットの改善に伴う投資機会と分散効
果を投資家に提供すると見込まれます。ただし、アフリカ諸国は多
様であるうえ、市場の発展も不十分であるため、長期投資には依然
として課題が多いことも事実です。そのようなアフリカ各国のファン
ダメンタルズに関する見通しと債券のバリュエーションを比較評価
するには、実地調査と包括的なデータ分析が最善の方法であると考
えられます。
アフリカ債券:拡大する投資ユニバース
アフリカは、資源価格の上昇や中国から
の低利融資、ガバナンスの改善などに支
えられ、過去20年間で、エマージング・ア
ジアに次いで高い経済成長を達成しまし
た。エマージング債券市場においても、
国債を中心にこの数年でアフリカの重要
度は高まっています(図表1)。アフリカ全
体では2014年だけで約100億米ドルの
国債が発行され、その大部分がサブサハ
ラ・アフリカ諸国の国債でした。その中に
は、初めて起債を行ったエチオピアやケ
ニアのほか、市場に復帰したコートジボ
ワールなどが含まれています。
サブサハラ・アフリカ諸国の債券は圧倒
的に米ドル建てが多いものの、ガーナや
ナイジェリアなど、現地通貨建て債券を
thecapitalgroup.co.jp
発行する国もあります。
米ドル建てエマージング債 券の代 表的
な指数であるJPモルガン EMBI グロー
バルのなかで、南アフリカを除いたアフ
リカ国 債の時 価 総 額は20 09年以 降 着
実に増加し、250億米ドル以上* 2に達し
ています。一方、現地通貨建てエマージ
ング債券の代表的な指数であるJPモル
ガン GBI-EM グローバル・ディバーシ
ファイドのなかで、サブサハラ・アフリカ
諸国(南アフリカを除く)が発行した国債
は 、2011年以前にはありませんでした
が、その後、ナイジェリアのみが同指数に
組み込まれ、その時価総額は120億米ド
ル* 2まで増加しました。
*1.サブサハラ・アフリカは、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国を指します。慣習的に南アフリカ共和国を除くこともあります。
*2.2015年6月末現在。 出所:JPモルガン
当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。
当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、
その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。
また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。
当資料中に示された予測や見通しにつき 1
ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。
機関投資家向け資料
Investment Insights
選別的な投資機会の宝庫:
アフリカ
2015年9月
図表1:
アフリカの債券のユニバースは過去数年間
で急速に拡大
*3. バークレイズ・エマージング・ハードカレンシー・アグ
リゲイト・インデックス
出所:Bloomberg、バークレイズ・リサーチ
2015年3月現在
国際市場での
アフリカ国債の発行額(左軸)
100(億米ドル)
債券インデックス*3における
アフリカ諸国の数(右軸)
20
80
16
60
12
40
8
20
4
0
2010
2011
2012
十分に確立されていない債券市場に投資
することは、ポートフォリオに分散効果を
もたらすと同時に、クレジットの改善に伴
うスプレッドの縮小(債券価格の上昇)を
追求できる可能性があります(図表2)。一
部のサブサハラ・アフリカ諸国では、政府
の政策変更と構造改革が前進しており、
その結果、2014年のルワンダやウガンダ
のように格付けが引き上げられた国もあ
ります。世界銀行グループが発表した「ビ
ジネス環境の現状2015」では、サブサハ
ラ・アフリカはビジネス慣行が2番目に大
きく改善した地域となっており、環境が
改善した上位10ヵ国のうち5ヵ国が同地
域にありました。
弊社グループのポートフォリオ・マネジャ
ー兼EME A(中東欧、中東、アフリカ)地
図表2:
アフリカ債券のクレジット・スプレッド縮小
の可能性*4
アフリカ債券
1,600 (bp)
2013
2014
0
2015 (予想)
(年)
域担当ソブリン・アナリストのカースティ・
スペンスは、「最近、ケニアの首都ナイロ
ビを訪問しましたが、政府高官と意見交
換し、都市の変貌を目の当たりにしたこ
とで、同国がアフリカのなかでも最も信
用力の改善が著しい国の一つであると確
信するようになりました。それは、現時点
の同国の赤字や債務水準などよりも、同
国の経済構造や投資計画、また政策立
案者や政 府当局の資質を踏まえた将来
性に基づくものです」と述べています。さ
らに、政府がインフレを抑制し、貯蓄と
投資を促 進するために有効な改革を実
施している国では、現地通貨建て債券市
場が発展し、多くの場合に通貨高につな
がる可能性があります。
EMBIグローバル
1,400
1,200
1,000
800
*4. 米国債に対するスプレッド。アフリカ債券に含まれ
る国は、アルジェリア、アンゴラ、エジプト、エチオピア、
ガボン、ガーナ、コートジボワール、ケニア、モロッコ、モ
ザンビーク、ナミビア、ナイジェリア、セネガル、タンザニ
ア、チュニジア、ザンビア
出所:JPモルガン
2015年6月22日現在
600
400
200
0
‘10/12
‘11/6
‘11/12
‘12/6
‘12/12
‘13/6
‘13/12
‘14/6
‘14/12
‘15/6
(年/月)
当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。
当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、
その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。
また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。
当資料中に示された予測や見通しにつき 2
ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。
機関投資家向け資料
Investment Insights
選別的な投資機会の宝庫:
アフリカ
2015年9月
アフリカの多様性
サブサハラ・アフリカ地域の債券に投資す
ることで利益が期待できるとしても、経
験のない投資家が広大なアフリカを網羅
することは困難でしょう。アフリカ大陸に
は54ヵ国が存在し、人口は計11億人に達
し、世界人口の17%を占めており、2,000
を超える種類の言語が話されています。
図表3:
中国、インド、日本、米国、メキシコ、西欧
の大半に相当するアフリカの国土
一部の国は分割もしくは方位を変更
出所:ピーター・H・ディアマンディス、スティーブン・コ
トラー「Abundance:The Future Is Better Than You
Think」(2012年、邦訳は「楽観主義者の未来予測:テク
ノロジーの爆発的真価が世界を豊かにする」)
図表4:
主なサブサハラ・アフリカ諸国の主要経済
データ
国
米国
中国
インド
メキシコ
フランス
スペイン
日本
ドイツ
イタリア
英国
合計
アフリカ全体
面積
(単位 : 千Km2)
9,629
9,597
3,287
1,964
633
506
378
357
301
243
26,895
30,221
人口
(百万人)
名目GDP
(億米ドル)
実質GDP インフレ率
財政収支
経常収支
成長率(%) (年平均、%) (対GDP、%) (対GDP比、%)
アンゴラ
24.4
1,286
4.2
7.3
-2.8
-0.8
コートジボワール
22.7
340
7.5
0.4
-2.3
-3.3
エチオピア
91.0
523
10.3
7.4
-2.6
-9.0
ガボン
1.6
172
5.1
4.5
3.0
11.3
ガーナ
26.2
386
4.2
15.5
-9.8
-9.2
ケニア
ナイジェリア
出所:IMF World Economic Outlook(2014年)
また、アフリカ大陸の面積は、中国やイン
ドに加え、日本や米国、メキシコ、西欧の
大半を合わせた規模を上回ります(図表
3)。さらに、大まかに北部、西部、南部、
東部、中央の5地域に分かれ、それぞれの
経済発展段階も異なります(図表4)。
42.9
608
5.3
6.9
-6.8
-9.2
173.9
5,737
6.3
8.1
-2.3
2.2
ルワンダ
11.1
80
7.0
1.8
-3.6
-12.0
セネガル
14.5
156
4.5
-0.5
-5.1
-10.3
ザンビア
15.0
268
5.4
7.9
-5.6
-0.2
ジンバブエ
13.3
137
3.2
-0.2
-1.5
-22.3
アフリカ諸国の課題とチャンス:投資を考えるうえでのポイント
1.ガバナンス
選挙が高めるボラティリティ
民主主義の普及が道半ばのサブサハラ・
アフリカ地 域では 、選 挙はその国の前
進、足踏み、場合によっては停滞や後退
につながる一大イベントとなりえます。自
由かつ公正な選挙は民主的な政権の移
行を可能にしますが、一方で、選挙運動
の前後に政府の構造改革計画が頓挫す
るリスクが高まることもしばしばあるか
らです。最近、選挙が行われた国ではナ
イジェリアがその好例で、同国史上初の
民主的な手続きによって政権交代が実現
しました。また、エチオピアでも最近 選
挙が行われ、コートジボワールとタンザ
ニアでは今年後半、ガーナとザンビアで
は2016年に選挙の実施が予定されてい
ます。
当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。
当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、
その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。
また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。
当資料中に示された予測や見通しにつき 3
ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。
機関投資家向け資料
Investment Insights
選別的な投資機会の宝庫:
アフリカ
2015年9月
高まる安全保障
ケニアやナイジェリアを始めとする多く
のアフリカ諸国政府は、イスラム過激派
による市民へのテロ攻撃の脅威が高まる
なか、一段の対応策を迫られています。
腐敗
腐敗に取り組む国際的な監視機関であ
るトランスペアレンシー・インターナショ
ナルによれば、2014年に腐敗度が最も
高い上位10ヵ国のうち4ヵ国がサブサハ
ラ・アフリカ諸国でした。
2.経済の多様性
サブサハラ・アフリカ諸国の多くは、原
油を含むコモディティ(一次産品)が主要
な輸出品目や外貨獲得手段となっていま
す(図表5)。このコモディティへの依存度
の高さは、図表6のように、コモディティ
価格が下落した場合に債務返済が困難
になる可能性があるという点で問題とな
り得ます。例えば、アフリカ有数の原油
輸出国であるナイジェリアは、原油安が
進むなか、2014年11月と2015年2月の2
回にわたって自国通貨を切り下げました
が、市場の通貨安圧力に追いつくことは
できていません。また、ガボンは、原油
価格に対する感応度が 高いことと経済
の分散化が進まないことから、最近、大
手格付け機関であるフィッチ・レーティン
グスから格付けを引き下げられました。
一方で、コートジボワールやケニア、セネ
ガルなど、原油価格の下落から恩恵を受
ける輸入国も存在するように、昨今の原
油安による潜在的な影響の違いはアフリ
カ経済の多様性を示しています。当然な
がら、そうした違いは、ある国の債券に
投資するか否かを判断する上で有益な
情報をもたらします。実際、弊社グループ
のエマージング債券運用でも、原油依存
度を考慮して、ガボンが最近発行した国
債への投資を見送る判断を下しました。
一方で、ケニアについては、原油安のメ
リットを受けることに加え、農業や製造
業、旅行業およびサービス業が経済の相
当程度を占めることなども勘案して、同
国の国債を積み増すなどしています。
エチオピア:際立つファンダメンタルズ
エチオピアは、過去10年間の年平均
経済成長率が10%を上回っている世
界で 最も成 長 率が 高い国の 一つで
す。同国には高インフレの歴史があり
ますが、金融引締め政策が奏功し、イ
ンフレ率はこの数年間で一桁台にま
で低下しています。現政権は、経済改
革プログラムに着手しており、現在も
進行中ですが、海外からの投資の獲
得につながり始めています。こうした
状況を背景に、弊社グループでは、同
国が2014年12月に初めて発行した10
年債を組み入れました。
カースティ・スペンス/
Kirstie Spence
アナリスト/
ポートフォリオ・マネジャー
「フロンティア・マーケットの債券を検
討する際には、①良好かつ分散された
経済成長、②管理可能な不均衡(債務
や経常赤字)水準、③妥当もしくは割安
な債券価格バリュエーションの3つの
条件のうち、2つを満たしているかどう
かが鍵となります。私は、2014年11月
にエチオピアの首脳陣と面談し、エチ
オピアはこれら3つの条件をすべて満
たしていると判断しました」。
「エチオピアの主な魅力は、その力強
い経済成長と長年の実績です。同国
は他のサブサハラ・アフリカ諸国から
一歩抜け出し、今では500億米ドルの
経済規模となっています。また多角的
な経済発展に取り組んでおり、成果
を上げていると見ています」。
「確かに、エチオピアにも深刻な干ば
つや誤った認識に基づく海外からの
投資、管理が行き届いていない大掛
かりなインフラ・プロジェクトなどとい
った問題がないわけではありません。
しかし、これらはより長期的な課題で
す。今現在はといえば、エチオピアの
財政赤字が非常に小幅であることの
方が、投資を検討するに当たりはるか
に重要なことだと思うのです」。
当資料に記載されている運用・調査に関わる人員は、必ずしもキャピタル・インターナショナル株式会社の所属ではありませんが、キャピタル・グループ傘下の関係会社に所属し
ております。
当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。
当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、
その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。
また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。
当資料中に示された予測や見通しにつき 4
ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。
機関投資家向け資料
Investment Insights
選別的な投資機会の宝庫:
アフリカ
2015年9月
図表5:
コモディティ輸出国の品目別輸出依存度
(対GDP比)
原油・ガス
石炭
アンゴラ
ガボン
コートジボワール
ザンビア
ナミビア
ガーナ
モザンビーク
ナイジェリア
金
ダイアモンド
カカオ
その他
アルミニウム
セネガル
タンザニア
ケニア
出所:バークレイズ・アフリカン・マーケッツ・ガイド
(2015年3月)
図表6:
2014年以降、下落が目立つコモディティ
価格
銅
ウラン
0%
10%
原油
貴金属
160 インデックス
20%
銅
30%
40%
50%
カカオ
120
80
40
2012年12月末を100として指数化
出所:Bloomberg
2015年3月末現在
0
2013/1
2013/7
2014/1
3.インフレーション
クレジットが 価 格変 動の主 要因となる
米ドル建て債券市場では、一般にインフ
レ・リスクは現地通貨建て債券市場にお
いてほど重要ではありません。しかし、
経済 発展が他のエマージング 市場より
全般的に遅れているサブサハラ・アフリカ
諸国の場合、米ドル建て債券についても
インフレの影響が大きいと言えます。高
いインフレ率は当該国の通貨安をもたら
し、米ドル建て債務の返済を困難にする
リスクがあります。
インフレ率は、地域内の一部の主要国、
なかでも、脆弱な財政状態のガーナや、
為替レートが制限され、政情不安定にあ
るナイジェリアなどにおいて上昇すると
予想されます。一方、一部の中央銀行は、
インフレに対してより能動的な姿勢をと
り、利上げを行う態勢にあると見受けら
2014/7
2015/1
(年/月)
れます。たとえば、ケニアでは、最近、政
策 金 利が予想以 上に引き上げられまし
た。
4.財政収支
コモディティ価格が下落している昨今、
サブサハラ・アフリカ諸国の政府支出は
公共投資ニーズとのバランスをとり、持
続不能な債務水準を回避する必要があ
ります。産油国であるナイジェリアの前
政権は、低水準に設定した原油価格に基
づく予算を編成し、設定油価と実際の油
価の差額を「余剰油価勘定」に計上して油
価下落時の財政上のバッファーとする制
度を設けていました。しかし、最近の油
価下落を受けて当該バッファーは枯渇し
つつあるため、新政権は燃料補助金を再
び削減する方針のようです。ガーナも、
国際通貨基金(IMF)の支援プログラムの
要件として、財政収支の改善に取り組み
当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。
当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、
その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。
また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。
当資料中に示された予測や見通しにつき 5
ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。
機関投資家向け資料
Investment Insights
選別的な投資機会の宝庫:
アフリカ
2015年9月
始めていますが、来年に選挙を控え、賃
金支払いの大幅な削減には踏み込めそ
うにありません。一方、ザンビアでは、主
要産品である銅の価格低迷や生産量の
低下ばかりでなく、政府支出増加の結果
として、今年は財政赤字が2倍に膨らむ
可能性があります。
5.対外収支
昨年来のエネルギー価格の下落は、アン
ゴラやナイジェリア、ガボンなど、サブサ
ハラ・アフリカ地域のエネルギー輸出国
の対外収支を著しく圧迫しました。しか
し、IMFによれば、南アフリカを除くサブ
サハラ・アフリカ諸国への海外からの直接
図表7:
増加する海外からサブサハラ・アフリカ諸国
(南アフリカを除く)への直接投資
投資(FDI)は2014年に前年比5%増加して
350億米ドル(予想値)に達し(図表7)、これ
が各国の懐を潤したと考えられます。
さらに、海外労働者による本国への送金
は、多くのアフリカ諸国にとって大きな外
貨資 金 源となってきました。現在、この
本国送金は地 域全 体のGDPの約2.5%
にのぼり、多くのアフリカ諸国で直接投
資と証券投資の総額を上回ってさえいま
す。ある国のドル債務の返済能力を評価
する際に考慮すべき重要な要素は、その
国が外貨資金源を安定的に確保し、外貨
準備を維持できるか否かです。
FDI (南アフリカを除く)
400 (億米ドル)
300
200
100
出所:IMF World Economic Outlook(2015年3月)
0
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014 (予想)
(年)
アフリカへの投資を成功させるには
多様性の理解とバリュエーション評価
の重要性
アフリカへの投資を考えるうえで、投資
機会や課題はどのように考えればよいで
しょうか。考慮すべき重要な要素は、経
済に関するものであれ、政治、宗教、民
族、文化、その他多くの要因に関するも
のであれ、アフリカ諸国がそれぞれ異な
るということです。投資家にとって危険
なことは、画一的な考え方に陥り、多様
な各国の強みと弱みを理解しないことで
す。
個別国のファンダメンタルズに関する見
通しを、債券の絶対的および相対的なバ
リュエーションと比較評価することも重
要です。例えば、弊社グループではルワ
ンダについて、1990年代後半以降の飛
躍的な経済発展や、IMFとの協調体制の
下、着実に前進している複数の経済戦略
など、俗に「アフリカの奇跡」と呼ばれる
同国の成長神話を前向きに受け止めてい
ます。しかしながら、2013年4月に同国
が 初めて発行した国債には投 資しない
決断を下しました。その主な理由はバリ
ュエーションでした。いかに見通しが有
望といえども、初めて発行される同国債
が、JPモルガンEMBIグローバルにおけ
る同格付けの平均的な水準をはるかに
下回るスプレッド水準に値付けされてい
るなど、経済・政治状況に関連して想定
されるリスクに見合う利回りではないと
考えたからです。
十分な調査力とファンダメンタルズ調
査の必要性
このようにファンダメンタルズの多様な
サブサハラ・アフリカ諸国の債券をバリュ
エーション分析も交えて評価するには、
やはり調査力が重要となります。弊社グ
ループにおける独自の調査は、お客様に
提供するすべてのポートフォリオの基盤
当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。
当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、
その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。
また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。
当資料中に示された予測や見通しにつき 6
ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。
機関投資家向け資料
Investment Insights
選別的な投資機会の宝庫:
アフリカ
2015年9月
であり、他社との主要な差別化のポイン
トと考えています。グローバルなネットワ
ークの下、多くの異なる市場における幅
広い証券に対して、詳細な定量・定性調
査を実施しており、投資アイデアの大部
分が弊社グループ内の調査から生まれて
います。
エマージング市場に関しても、弊社グル
ープでは債券、株式、プライベート・エク
イティの広範囲にわたるアナリストが在
籍し、それぞれが十分な裁量の下、独立
して調査を進める一方で、意見の交換や
集約、特定のテーマに基づく集団調査な
どにおいては、担当者が結集し、統合さ
れたチームとして活動を行っています。ま
た、エマージング債券の場合、エコノミ
スト、担当地域や国の特殊事情を理解し
ているソブリン・アナリスト、グローバル
に各業種を担当する社債のセクター・ア
ナリストが連携し、調査活動を行うこと
が可能な体制を敷いています。
現場の視点の重要性
弊社グループでは、調査活動において、
実地調査を通じた「現場の視点」を重視
しています。実地調査と包括的なデータ
分析を組み合わせることで、はじめて投
資対象の真の姿や全体像をつかむこと
が可能となり、ボトムアップで銘柄を選
別し、長期的に安定した投資成果を提供
することにつながっていくと考えるからで
す。
アナリストやポートフォリオ・マネジャー
は投 資 対 象国を頻繁に訪問し、各国政
府当局の高官や政治家、企業経営者、業
界のリーダーなどと面談しています。こ
の現場訪問を通して得た知見は、経済指
標をはじめ様々なデータを分析する際の
大変重要な基礎情報となります。また、
データに制約があり、信頼性に欠けるこ
との多いアフリカ地域の場合、遠く離れ
た場所でデータ分析にどれほどの力を注
いでも、その効果には限界があります。
例えば、ナイジェリアは2014年に前年の
GDPを80%も上方修正しました。そのた
め、弊社グループでは現地に足を運ぶこ
とで直接得られる情報に高い価値を認
めています。
前出のアフリカ担当ソブリン・アナリスト
のスペンスは次のように話しています。「今
日、新興アフリカ諸国を分析するには、多
くの時間を実地調査に費やす必要があり
ます。実地調査を行うことで、経済見通し
を立てる上で極めて重要なデータや情報
に接することができるようになるからで
す。加えて、より重要と思われるのは、経
済の実態を肌で感じることです。政策立
案者や企業、現地の投資家を訪問し、生
の声を聴くことで、物事がどこへ向かって
いるのかを直感できるようになるからで
す」。
「弊社グループがエマージング市場で25
年を超える期間にわたって蓄積してきた
知識と経験は今日、私たちの運用や調査
活動にとっての生命線となっています。ア
ナリストは、各地域で既に築かれた強力
なコネクションやネットワークを利用で
きます。これだけの長きにわたり、これだ
けの規模で新興国を調査している運 用
会社はまれですから、現地でのプレゼン
スはかなり高く、弊社グループだからこ
そ面談に応じてくれるキーパーソンや次
へのアクセスが得られることなど、そのメ
リットは数多くあります。また、古参のポ
ートフォリオ・マネジャーや歴代の担当者
を通じて、はるか昔からの現地の情報が
伝承されます。それは若手のアナリスト
に新たな視点を提供し、自らが多角的な
分析力を養うという点で、組織全体の底
上げにつながるものと考えています」。
※時点の記載がない場合は2015年7月現在の情報または見解です。また、当資料は、キャピタル・グループ全体ではなく、個人の意見や見解を含みます。
当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。
当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、
その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。
また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。
当資料中に示された予測や見通しにつき 7
ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。
機関投資家向け資料
金融商品取引業者
商号
関東財務局長(金商)
第 317 号
キャピタル・インターナショナル株式会社
代表取締役社長
トーマス・クワントリル
東京都千代田区丸の内二丁目 1 番 1 号 明治安田生命ビル
TEL : 03-6366-1050 (営業部代表)
加入協会
一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
投資リスクについて
当資料に記載されている有価証券運用は、国内外の株式及び債券などの値動きのある有価証券
等に投資するものであり、組入有価証券の価格の下落や、組入有価証券の発行者の業績悪化や倒
産、国内もしくは国際的な政治・経済情勢、市場の需給関係等の影響により、運用資産の投資価
値が下落し、損失を被ることがあります。従いまして、投資家の皆様の投資元本は保証されてい
るものではなく、投資価値の下落により損失を被り投資元本を割り込む可能性があります。当運
用における主要リスクには、有価証券等の価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスク、
信用状況の変動リスク、カントリーリスク、有価証券先物取引等のリスク等、グローバル運用に
おける通常のリスクに加え、新興諸国市場投資に伴うリスク(政治・社会的不確実性、決済シス
テム等市場インフラの未発達、情報開示制度や監督当局による法制度の未整備、為替レートの高
い変動、外国への送金規制、税制等)、低格付け債券のリスク(デフォルト、金利変動に対する価
格変動等)等があります。
ご負担いただく費用について
当資料に記載されている投資一任契約に係る運用報酬は以下の通りです。
 直接投資を行う運用の場合:0.972%(税込)を上限とします。
 外国籍投資信託を用いた運用の場合:投資信託に係る運用報酬、投資一任契約に係る報酬
などの総計は 1.200%(税込)を上限とします。
また、組入有価証券の売買時に発生する売買委託手数料等については、運用状況や取引量に応
じて変動するものであり、事前に具体的な料率や金額、上限または計算方法等を示すことができ
ません。その他、特定(金銭)信託契約に係る管理報酬を信託銀行にお支払いいただくこととな
りますので、その詳細につきましては信託銀行にご確認ください。
当資料の記載内容について
当資料に記載されている個別銘柄等への言及は、情報提供を目的として例示したものであり、
特定の有価証券や業種、国等を推奨しようとするものではありません。また、当資料に記載され
ている運用・調査に関わる人員は、必ずしもキャピタル・インターナショナル株式会社の所属で
はありませんが、キャピタル・グループ傘下の関係会社に所属しております。