インドシナ半島の タテとヨコ - 一般社団法人 中部経済連合会

行間注意
インドシナ半島の
タテとヨコ
丸紅株式会社
執行役員名古屋支社長 矢部 勝久
7月に
「日本・メコン地域諸国首脳会議」が東京で開催され日本が同地域に更なる支援
を実施することが表明されました。
また、
5月には中華人民共和国(以下、中国)がリーダー
シップをとった「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立が世界で話題になりました。
カンボジアを訪
昨年 11月に中部経済連合会 東南アジア経済視察団の一員としてラオス、
問させていただき、感想を
「東南アジア経済視察団 エアポートセールス報告書」に載せて
いただきましたが、今回はその続編として、注目されている同地域の日中の経済支援の
状況を
「インドシナ半島のタテとヨコ」
と題して書かせていただきたいと思います。
日本はアジア開発銀行とともにこれまでベトナムのダナン、
ラオス、
タイ、
ミャンマーを結ぶ
交通インフラである東西経済回廊の整備を支援してきました。
この回廊は域内の水平分業
の実現と経済発展に大きな役割を果たしています。
また、少し南に下った南部経済回廊
は、ベトナムのホーチミン、カンボジアとタイのバンコクを結び将来は西端をミャンマーの
ダウェイまで延長することで東西経済回廊同様にインド洋と南シナ海をヨコで結ぶことが
期 待されています。日本は今 後 2 0 1 6 年から3年 間で 7 , 5 0 0 億円規 模の政 府 開 発 援 助
(ODA)
を実施し、同地域の経済発展を支援するとともに関係強化を図ろうとしています。
一方でインドシナ半島をタテに貫く南北経済回廊は中国が多くの資金を提供しています。
中国雲南省を起点として、
タイ、
カンボジア、ベトナムを繋ぎ、同地域の農産品や資源を中国
に送り込む大量輸送インフラで中国内陸部の発展にも寄与する重要な交通インフラです。
北京駐在中の2013 年に訪問した雲南省の省都である昆明は輸送基地のハブとして活気
に満ちていたことは今でも鮮明に覚えています。新設されるアジアインフラ投資銀行はこの
縦軸を核に投資を行いこの地域での存在感を大きくしていくことでしょう。
それぞれの思惑に沿って、インドシナ半島のヨコとタテの整備がこれからも進みます。
安い人件費を武器に世界の工場を目指す同地域にとって、
これらの支援は経済発展の
追い風となり、更なるビジネスチャンスを生み出すでしょう。中国とインド市場の間に位置
し、
ASEAN経済共同体の発足を控えて消費市場としても注目されているこの地域からは
しばらく目が離せません。
中経連 2015.9
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