特別支援教育の 特別支援教育の推進分科会 中・高のしなやかな連携を考える テーマ ~ 中から高へのとぎれない支援をめざして ~ 主な内容 1 「 提案発表 中・高の連携を考える ~中から高へのとぎれない支援をめざして~ 県立教育センター 指導主事 」 井部 剛 23 年 3 月、中学校の特別支援学級の卒業生 349 人うち、特別支援学校の高等部へ 240 人(69%)、 高等学校へ 102 人(29%)が進学している。特別支援学級の卒業生の進学先として高等学校が選ばれ る傾向は、21 年度から顕著になっている。当教育センターでは、中・高の連携をプロジェクトの テーマと定め、新発田胎内地域の中学校及び高等学校と連携してこの課題に取り組んだ。 特別支援学級在籍の生徒の進学に関するアンケートでは、次のような結果が明らかになった。 ・多くの中学校は、計画的又は高等学校の求めに応じて、合格発表後に情報の伝達を行っている。 ・すべての高等学校は、合格発表後、中学校に対して情報収集を計画的に行っている。 この結果を受けて、情報交換に活用できる Excel シートを当センターから提案した。 2 「 実践発表 特別な支援を必要とする生徒を高校へ送るために中学校ができること 新発田市立本丸中学校 瀬藤 敬一 」 教諭 校内委員会を年間 20 回開催し、対象生徒の実情、指導方針等を 十分に把握し、保護者等に提案した。「連携」「学び(=研修)」の 2つのキーワードから校内研修を実施し、時代や環境の変化に伴い、 変化する子どもたちへの対応が適切にできるように研修をした。 この研修は、通常学級に在籍している特別な支援を必要とする生徒 の指導にも有効であった。特別支援学級の生徒とその保護者対象に、 特別支援学級の卒業生が在籍している高等学校を訪問し、各々の見 識を深めた。新発田高等学校を会場に行われた研修会に中学校の代表として参加し、高校の先生方 とつながりをもった。 「 特別な支援を必要とする生徒の受け入れについて 」 県立新発田高等学校 岡田 淳 教頭 本校では教員研修、情報収集、中学校との連携を三本柱として いる。教員研修は年2回の校内研修及び年数回の地区高校研修会 を実施している。情報収集は校内では情報記録シート、保護者に は教育相談委員会の活用を促している。中学校との連携では、合 格発表後に中学校に支援調査票の作成を依頼し、入学者数の多い 中学校を訪問している。また入学後も必要に応じて中学校の担任 に連絡を取り、問い合わせが指導の参考になった例がある。中学 校にはスムーズな受け入れに役立つことがあるので些細なことでも情報提供をお願いしたい。高校 の課題は教職員の知識経験の不足と、学校適応支援・学習支援・進級支援・進路選択支援の一体化 である。 3 協議 中学校、高等学校を中心に、小学校、特別支援学校、行政関係 の方々が一堂に会して、意見交流ができた意義は大きかった。 その中で、次の5つの課題浮かび上がった。 1 連携の必要性は十分に感じているが、お互いの学校のシス テムや学習内容を含めた状況が十分に理解されていない。 2 互いに情報は欲しいのだが、連絡を取っていいものかどう か、躊躇や遠慮がある。 3 高校でも中学校同様に、特別な支援を必要とする生徒の進路に不安を感じている。 4 私立高校と公立高校の間に、意識や取組の温度差が感じられる。(私立高校の関心が高い。) 5 中・高だけでなく、もっと早い時期から出口を見据えた系統的な支援・連携が必要である。 協議会で出されたどの感想や意見にも、連携なしに特別支援教育は進まないという意識が表れて いた。それをどう具体化するかはこれからの課題であるが、「中・高のしなやかな連携」は、今後 の特別支援教育を進めていく上で重要なキーワードになると痛感した。 【参加者数:38人】
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