2016 年 3 月 2 日 EIZO(6737) 担当 織田真由美 レーティング:NEUTRAL(2015/11/26)→ NEUTRAL 第 3 四半期は想定通り。中長期的な成長には期待がもたれるものの、足元の株価は妥当水準。 売上高 (百万円) 伸び率 (%) 連 12/3 59,559 -8.7 連 13/3 58,270 -2.2 連 14/3 73,641 +26.4 連 15/3 72,576 -1.4 連 16/3(予) 74,500 +2.6 第 3 四半期累計期間 連 14/4-12 51,581 -6.7 連 15/4-12 54,363 +5.4 株価(2016/3/1) 期末発行済み株式数(15/12 末) 期末自己株式数(15/12 末) 時価総額 企業価値(EV) ROE(15/3 実績) 予想配当利回り 予想 PER BPS(15/12 実績) PBR CFPS(15/3 実績) PCFR EV/EBITDA(15/3 実績) 営業利益 (百万円) 伸び率 (%) 経常利益 (百万円) 伸び率 (%) 純利益 (百万円) 伸び率 (%) EPS (円) 1 株配 (円) 4,404 2,056 6,833 4,472 4,900 -14.5 -53.3 +232.3 -34.5 +9.6 4,479 3,101 7,998 4,704 5,200 -14.8 -30.8 +157.9 -41.2 +10.5 1,636 1,598 5,437 3,321 3,600 -53.9 -2.4 +240.2 -38.9 +8.4 74.08 74.96 255.05 155.80 168.85 50.00 50.00 55.00 60.00 70.00 2,961 3,543 2,828 22,731 1,410 64,284 44,515 4.5 2.5 16.7 3,845.63 0.7 67.8 41.7 6.0 -47.0 +19.6 円 千株 千株 百万円 百万円 % % 倍 円 倍 円 倍 倍 3,540 4,364 -48.6 +23.3 2,592 3,195 -44.8 +23.3 121.58 149.89 - 株価チャート(週足) 出所:EIZO、ブルームバーグ、今村証券 パソコンなどのモニター専業メーカーで、高精度画像に強みがある。医療市場向けや出版関 係等のグラフィックス市場向けで高いシェアを持っているほか、航空管制(ATC)や船舶、鉄 道、FAなどの産業市場向けにも事業領域を拡大、映像に関するテクノロジーをコアに事業展開 を図っている。 2016 年 3 月期第 3 四半期連結業績は増収増 益と堅調に推移、会社ではほぼ想定通りとの 認識だ。ビジネス用途向けが好調だったこと に加え、特定用途向けでメディカル市場向け の診断用途向けやシステム商品の売上が伸長 したこと、2015 年 10 月に買収したイメーシ ョン株式会社の医療市場向けシステムインテ グレーション事業が 11 月に営業を開始した ことが寄与した。また、グラフィックス市場 向けが海外で伸長し、産業市場向けが国内で 大幅に増加したことも追い風となり、映像表 示システムの売上高は前年同期比 12.4%増の 390 億 11 百万円と好調に伸展した。一方、ア ミューズメント用モニターは前年同期比 1.4% 減の 114 億 8 百万円、その他が前年同期比 資料1:部門別売上高(四半期) EIZO(6737) 1 2016 年 3 月 2 日 25.7%減の 39 億 43 百万円となった(資料1参照)。 利益面では、増収効果に加え、特定用途(医 療市場向け、グラフィック市場向け、産業市 場向けなど)の伸びによる利益率の改善、生 産性の向上などの企業体質改善による販売管 理費等の減少によって(資料2参照)営業利 益が前年同期比 19.6%増の 35 億 43 百万円と伸 長し、経常利益については有価証券売却益を 4 億 31 百万円計上したことなどによって前年同 期比 23.3%増の 43 億 64 百万円となった。 注)今期より、従来は「コンピュータ用モニター」 としていた名称を「映像表示システム」に変更する とともに、「その他」に区分していたグラフィック スボード、品質管理ソフトウェアや各種周辺機器等 の売上高を「その他」から「映像表示システム」に 含めて集計。前年同期比較にあたっては、前年同期 を変更後の区分に組み替えて比較。 資料2:売上高と粗利益率(四半期) パチンコなどのアミューズメント市場の縮 小は顕著で、モニターの需要も縮小している。 こうした中で同社は、医療市場向けやグラフ ィックス市場向け、ATC用や鉄道車両搭載 用などの産業市場向けといった高機能製品が 求められる特定用途向けに注力してきた。ま た、販売体制についても 2012 年に欧州での販 売を代理店から子会社に変えるなど、体制を 刷新し営業力を強化した。この結果、コンピ ュータ用(現・映像表示システム)の売上高 は 2013 年度から増加に転じている。 また、特定用途向けに注力することによっ て、粗利益率が 2000 年度に比べてほぼ倍の 3 資料3:部門別売上高 割程度に上昇したことも特筆すべき事項であ (年度・区分組み替え後) る(資料4参照)。その半面、研究開発費など が嵩むために売上高営業利益率は伸び悩んで いることは課題といえよう。 今後も成長のけん引役となるのは特定用途 向けだ。医療市場向けはこれまで診断分野で 事業を展開していたが、昨年度には手術室分 野に参入し、事業領域を拡大した。また、2015 年 10 月にイメーション株式会社の医療市場向 けシステムインテグレーション事業を買収し たことで、モニターを中心としたハードウェ アに加えてソフトウェア、品質管理ノウハウ などを総合したソリューションの提供を図る。 グラフィックス市場向けでは映像制作分野で 資料4:売上高と粗利益率(年度) の採用拡大を目指し、ハリウッドなどで攻勢 を強めている。産業市場向けではシェア 3 割 を握るATC向けに加え、IT化やECDIS(電子海図表示システム)の搭載義務化で船舶向 けでの伸びが期待される。また、新規分野開拓に向けてMIL規格(米国国防総省規格)に適合 する製品開発を目指している。世界で最高に厳しいとされるMIL規格に適合できればどんな規 EIZO(6737) 2 2016 年 3 月 2 日 格にも対応できるとして、基礎的な製品開発力の強化をもくろんでいる。 今期を初年度とする中期経営計画では、2018 年 3 月期の連結売上高 830 億円、連結営業利益 率 10%を目標としている。目標達成には来期以降、年平均 6%弱の増収、3 割程度の営業増益が必 要だ。達成には課題が多いとみられるものの、医療市場向けや産業市場向けなどの高付加価値製 品の販売拡大が図られることを期待したい。 今期業績は 2 期ぶりの増収増益見通し。売上高、営業利益は想定通りとなりそうだが、経常 利益については上ぶれ期待ももたれる。ただ、足元でユーロが下落している影響は懸念材料だ。 今期の想定為替レートは対ユーロが 130 円、米ドルは 125 円。為替感応度は対ユーロで 1 円の円 高で年間約 1 億 5 千万円の経常減益要因、対米ドルで 1 円の円高が年間約 1 億円の経常増益要因 となることから、足元の水準では影響は相殺されそうだが、為替市場の動向には注意したい。 尚、同社は株主への還元にも積極的な姿勢を見せており、総還元性向は 40~50%を目標として いる。今期は 3 期連続の増配予想だ。 株価は 2600 円から 3000 円のボックス圏で推移している。中長期的な成長期待はあるもの、 足元でのバリュエーションは妥当とみられる。投資判断はNEUTRALを継続する。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明 本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解 を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬 も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義 O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。 N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場 合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様 への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お 客様に対して投資の助言を提供するものでもありません。また、本資料に記載されている情報もしくは分析がお客様に とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま すようお願い申し上げます。 本資料に記載された内容は、信頼できると思われる情報、または信頼できる情報源から得た情報を基に今村証券が作成 しておりますが、機械作業上データに誤りが発生する可能性があります。当社はその内容の正確性や妥当性、適時性ま たは完全性を保証するものではありませんし、本資料における過誤又は遺漏に対して何らの責任を負うものでもありま せん。本資料でインターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている 場合を除き、アドレス等の内容について当社は一切責任を負いません。本資料は、当然にお客様の投資結果を保証する ものではございませんので、今村証券は、本資料の内容について第三者のいかなる損害賠償の責任を負うものでもあり ませんし、お客様が本資料に依拠した結果としてお客様が被った損害または損失については一切責任を負いません。ま た、今村証券は本資料に関するお客様からのご質問やご意見に対して、何ら対応する責任を負うものではありません。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社 および関係会社は、本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買い 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